- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104348
作品紹介・あらすじ
現教授の東は、学会のボスから学外候補の推薦をうけ財前にぶつける。政界まがいの生臭い多数派工作のすえ、かろうじて勝利した財前に、国際学会から招聘状が届く。栄光に満ち多忙をきわめる日々のなかで財前は、同僚の第一内科助教授・里見脩二から相談された患者の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。だが、財前がドイツに出発する日、その患者は呼吸困難に陥っていた。
感想・レビュー・書評
-
【感想】
とても面白かった為、かなりのスピードで2巻目も読破。
2巻目は、外科の次期教授選挙が描かれていました。
ドラマや原作を読んでいない僕でも、「財前教授」というワードをどこかで聞いたことがありましたので、「問題なく教授になるのだろうな~」と構えて読んでいましたが、教授選の過程がエグイ・・・笑
次期教授の決定には他診療科の教授の投票によって決まるのですが、そこには清い1票などというモノなど殆ど存在せず、それぞれの教授個人のメリットや思惑、今後の考えなど欲望が渦巻いており、生臭い工作が沢山行われていて権力者たちの汚さがかなり生々しく描かれていました。
そこに巻き込まれてしまった菊川先生とかは、読んでいてかなり可哀相だな~と思いました。
また、無事教授選をクリアして華々しく教授となった財前に、次なる試練が待ち構える。。。
財前は早くも栄枯盛衰で早くも終わってしまうのか?
次の展開にかなり期待しながら読み進めていきます。
【あらすじ】
現教授の東は、学会のボスから学外候補の推薦をうけ財前にぶつける。
政界まがいの生臭い多数派工作のすえ、かろうじて勝利した財前に、国際学会から招聘状が届く。
栄光に満ち多忙をきわめる日々のなかで財前は、同僚の第一内科助教授・里見脩二から相談された患者の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。
だが、財前がドイツに出発する日、その患者は呼吸困難に陥っていた。
【メモ】
p197
「財前教授と浪速大学のために乾杯!」
鵜飼の発唱で、賑やかに盃が干されたが、乾杯に託した各々の胸の中は、財前教授と浪速大学のためという言葉とはおよそ縁遠かった。
これを機会に鵜飼は次期学長選の足固めを考え、葉山は鵜飼主流派でますます中心になることを企み、野坂は巧みに主流派便乗を、岩田・鍋島はそれぞれ現役教授のうまい利用を考え、又一はさらにこの上の名誉と財力を合わせ持つことを望み、それぞれの思いを託した乾杯が何度も重ねられた。
そして財前自身も、頭を低く垂れて一同の乾杯に謝しながら、新たなる名声に向かって、野心を燃えたたせていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浪速大学医学部第1外科教授選。
助教授・財前に対し、教授・東は対抗馬として、自身と同じ東都大出身の金沢大・菊川をぶつける…
凄まじい多数派工作の末に、財前は…
権力争いとなった教授選。
結局は、東がしっかりとしていなかったことが発端なんであろう。
財前がどうこうと言う前に、自らの教室をしっかり教育、指導できていなかったんだろう。
普通に行けば、すんなり財前教授だったものを。
つまらぬ遺恨を残したわけだから。
東の自業自得、というところか…
財前にも問題はあるのだが…
これがあの時代の大学医学部を中心とした、医学界の実体なんだろう。
学閥が絶対、教授が絶対、というところが…
昔は、患者に告知をしなかっただということを思い出した。
今は、あっさりとはっきり癌と告げられるが…
-
思惑がぶつかり合い互いの予想を裏切り続けた教授選の決着がついに...。
各勢力が票を固めようとあの手この手の作戦で動き回るのが面白い。特にどちらにもいい顔をして状況次第で右にも左にも行けるようにしている立場の者とかもいてどちらに転んでもおかしくない...とドキドキしながら読みました。
決着がついて教授になってからの豹変ぶりもすごい...尊大な態度をとっていると足元掬われるぞ...とこれまたドキドキな展開。不穏なフラグが立っているよ! 次の3巻も楽しみです。 -
5巻にて感想を。
-
2019年4月30日、読み始め。
2019年5月3日、読了。
内科医里見と東元教授に令嬢との関係が、今後どうなるか興味がある。
財前教授タイプは、強引すぎて、リアリティーがなさすぎるような。 -
主人公、財前が教授になるべく周囲の駆け引きも熾烈になっていきます。僅差で勝った財前が、権力を手に入れ、次第に自身の野望を実現させるため、横暴に振舞っていく姿は医師としての本質から離れて行き、来るべき悲劇へと加速して進んでいきます。
-
現金や医療界のポストの約束が飛び交った次期教授選が終了。
物語の既定路線として財前当選。
無記名投票なのをいいことに、二者の決戦投票になった際どちらの陣営からも賄賂を受け、選挙後もしれっとそれらを受け取った野坂教授が悪のMVPかと。いや、贈賄側も悪いのだけど。
そしていよいよ財前教授が本格始動。師であった前教授は過去の人として完全無視。同窓であり学究肌で権力に興味を持たない里見助教授を小馬鹿にし、患者に対する彼の助言も拒む。
執刀を担当した患者からの不調を訴えも無視し外遊へ。
突き抜けた傲慢さに妙な魅力がある、かも
初読は多分十代の頃。その時は里見の権力におもねらない実直さが眩しく、悪い人だらけの大学病院界で彼のひたむきさが救いだった。
黒の財前と白の里見で、見事な対比構造になっていると感じた。でも、今回は初読の時には見えなかった財前側の人間味も理解できるようになってしまっている。時折見せる母親への孝心など、ただの権力追及者としてのみ描かれているのではない。
おそらく著者としては善意一辺倒の里見より財前を描いている時の方が楽しかったのでは?悪い時はとんでもなく悪い財前教授、読んでいても楽しいし。そして彼の毛深い描写は続く -
50年以上前の作品なのに読みやすく、第1巻に続いてアクの強い登場人物たちの熾烈な駆け引きでグイグイ引き込んでくれます。
国立浪速大学の医学部第一外科現教授の東(あずま)は、学会のボス・東都大学の船尾教授から学外候補・金沢大学の菊川昇教授の推薦を受け財前にぶつける。政界紛いの生臭い多数派工作の末、辛うじて教授戦に勝利した財前に、国際学会からドイツへの招聘状が届く。栄光に満ち多忙を極める日々の中で財前は、同僚の第一内科助教授・里見脩二から相談された患者・佐々木庸平の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。だが、財前がドイツに出発する日、その患者は呼吸困難に陥っていた…。
前半は、過熱する教授戦が克明に描かれます。鵜飼(うがい)医学部長をはじめ、財前を教授に当選させようとする一派は、この教授戦を足掛かりに自らの利権を伸張させようと驚くべき執念深さで票固めを図る。一方で、主人公ながら財前五郎の嫌われ方も凄い!我の強い財前をこき下ろそうとする東教授、今津教授とその背後で手を引くフィクサー。手に汗握ります。
後半は、ますます傲慢になっていく財前と、あくまで慎重に慎重を期す里見のコントラストが鮮やか。里見の忠告もそっちのけで、財前がものものしい壮行会を経て渡独へと旅立つ中、噴門癌の患者は呼吸困難に…。次の展開も読み逃せません。 -
全5巻シリーズの2巻目。
財前がいよいよ傲慢さを全開出し、里見助教授との対比も面白い。
このシリーズも一気読みしそうです。 -
(一)(二)巻、読了だけどここまでの感想を書いておく。
なぜって、
上手い語り口に乗せられて、むらむらと怒り込み上げで読み進んでいるのだ。
なんとなく勘弁して欲しいなーという気分になるのはどうしてだろうか。なんかいらいらしてしまって困るのだ。
絶対そうだろうなーと思わせる確かな筆運び。
無理のない設定だし、そんなことこの世の中ありふれてるし、何もそんなに嫌悪しなくてもと思うのだけど。
えげつなく、リアル過ぎ?でもそれって著者が上手いということでしょう。
例えば「悪役」の「財前五郎」だとてひるむ時があるのをちゃんと書き込んであるし、「善の味方」の「東佐枝子」だって友人の夫を取りそうだし、バランスがとれ過ぎるくらい。
「女系家族」(相続)「華麗なる一族」(銀行の内幕)の時は面白い、痛快とまで思って読めたのに、変だ。
テーマが「金」と「権力」プラス「命」だからかもしれない。
ああ!限りなく上手い作家なのだろう。