Dの複合 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 593
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109282

感想・レビュー・書評

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  • 私が読んだ清張作品の中でベストワン。難解なタイトル、浦島や天女の伝説、日本地図上での奇妙な偶然。それらがつながった時の興奮をもう一度体感したく、改めて購入した。近々再読する。

  • タイトルは知っていたが読んだことがなかったので。

    売れない作家が「草枕」という雑誌の編集者と取材の旅へ出るとそこへ殺人事件が起こる。最初は野次馬気分でそのことを雑誌へ書いたがそこのことで様々な事件が次々に起こる。

    最初は難しくて読みきれないかもしれないと思ったが後半一気に読めてしまうほど展開が早く、面白かった。

  • ●あらすじ●
    作家の伊勢忠隆は、天地社の編集次長である浜中にすすめられて、月刊誌“草枕”に紀行文を書くことになった。内容は僻地に伝説をさぐる旅というもので、各地の民間伝承にある「浦島伝説」や「羽衣伝説」を専門家の考証を加えて解説した雑文だったが、旅の途中に実際に起きた殺人事件も挿話として紹介した。
    しかしその反響の中に「計算狂」の女坂口みま子の指摘による北緯三十五度と東経百三十五度の度重なる取材地の一致が伊勢に不審を与えた。さらに坂口みま子当人の死と、突然打ち切りになった「僻地〜」の企画に伊勢は戸惑う。

  • ダンナに借りて読んでみました。
    「ゼロの焦点」と「砂の器」が、導入部からぐいぐい入り込める感じだったのに対し、この「Dの複合」は、しばらくは我慢して読むような導入部でしたが、途中から勢いがつき始め、後半は一気に読んでしまいました。
    「Dの複合」という題名の意味がわかるまでに、なかなか時間がかかりましたから。
    松本清張の推理小説って、主人公になったような気になって読めるところが面白いと思いました。主人公と一緒に目に見えない流れに気がつくと巻き込まれ、そして、どこからが事件なのかの境目があいまいなまま、次の殺人事件が起こる、みたいな。
    そして、最後の謎解きでは、本編では想像もつかないような壮大な背景が隠れていることになっていたり(そこが社会派たるゆえんなのか?)。
    こじつけめいたところも多く見られるけど、書き手の美意識みたいなものや、博識さのさりげないアピールも感じられて、ほほう、と思いながら、読めてしまう。
    この「Dの複合」は、民話発祥とその土地、緯度・経度などの視点が興味深かったです。

  • 09/11/30
    面白い。『点と線』より完成度高い。
    松本清張の本は、途中から一気に謎解きに入って
    スピーディーなスリリングさが味わえる。

  • タイトルが強引だと思うのは僕だけでしょうか

  • 2009.9.15 了/ まあまあ.あまりスリリングではないかも?浦島伝説など,民俗学的に面白い.

  •  あまり売れない作家の伊勢忠隆は、天地社の雑誌の依頼を受け「僻地の伝説をさぐる旅」の連載を始めた。天地社は財産家の奈良林が道楽で始めたらしい小さな出版社。編集の浜中と浦島伝説、羽衣伝説で有名な丹後半島などを取材旅行に出かけるが、木津温泉で白骨死体の発掘現場に接したり、あるいは明石人丸神社で計算狂の坂口みま子という女にであったりする。ところが第一回の記事が載ると、あの謎の女坂口みま子が尋ねて来て、三十五の秘密を解いたかと思うと、熱海の山の中で絞殺されてしまう。第二回目の取材で美保の松原等に行く内、伊勢は自分たちが歩いている場所が北緯百三十五度、東経三十五度の線上であることに気がつく。愛読者と称する二宮健一とみま子のおぼろげな関係が浮かび上がってくる。
     【ここからネタバレ】
     やがて突然の連載打ち切り、浜中、二宮等の失踪、武田編集長の不思議な水死と続く。警察は自殺と判断するが、直感的に伊勢は他殺と考えた。伊勢の鳥取三朝温泉、網走刑務所などへの事件調査の旅が続く。
    そして浜中の出現と事件の解明・・・・。実は昭和十六年に起こった和歌山県加太岬で密航船の機関長が船長に殺された。しかしこれは船の所有者奈良林の教唆によるものだったが、船長一人が網走に収監され二十年の刑期を過ごした。その息子が実は浜中で、じわりじわりと奈良林に復讐しようとした。一方、奈良林は武田が犯人と考えて、二宮等に殺させてしまった、などという筋書き。
     【感 想】
     前半部分でひろげた風呂敷がどのように収束していくのか。タイトルの意味はなど読ませます。・・・・しかし謎解きが唐突かつちょとご都合主義なのが残念でした。


  • 地理、地図、旅が好きな私には、とてもおもしろかった。

    しかしよく考えるね。こんな話。

    2008年03月10日読了。

  • 作家の伊瀬忠隆は雑誌の依頼を受けて「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。第一回浦島伝説の取材地丹後半島いらい、彼の赴くところ常に不可解な謎や奇怪な事件が絶えない。そして突然の連載打切り。この企画の背後に潜む隠された意図の存在に気づいたとき、伊瀬は既に事件の渦中に巻き込まれていた。古代史、民俗説話と現代の事件を結ぶ雄大な構想から生れた本格的長編推理小説。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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