友達・棒になった男 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121192

感想・レビュー・書評

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  • 読み中の感想>>一幕「鞄」が気持ち悪い。三幕だったか、高校の現代文とかで読んだ記憶があるのだが、それも異質だった。
    その時、教員がなんとなく流行りもの系的な言い方で紹介したため私の中で公房は一昔前の流行、寂れた感のあるものとなってたんだが実際に触れるとちょっとイメージが違うかもしれない。
    前はショートショート的な、謎かけのような哲学を持った作品なんだと思ってたんだけど「鞄」を読んだ限りでは、シュールというイメージがぴったりくる。古典的とは言えなくも無いが、さすがにノーベル文学賞候補まで行っただけあって時代に残る確立されたものを感じた。
    なにが気持ち悪いって、頭の中の会話みたいなのだ、女と客、そして鞄が。

    ちょっと「七色インコ」読んだ影響が出てるかもしれないけど、私の頭の中にも、こんな何かを追求しようとしてそれについて談義する者たちがいて、どっちかが追求しても、それをとめ、戸惑い、苛苛して、たまに立場が逆転し…という図を繰り返す。
    で、意味のわからないことをいうやつもいる。
    自分がそこに見えると同時に、他者という得体の知れない存在も感じる。
    夫もそうだし、得体の知れないという意味では鞄も、そして自分の中にいたはずの客も。
    いつのまにか客は帰ってしまい、女、私はつまらない、とるにたらない問題を追求し終える。
    その後冷淡な感じにラーメンを頼む女がなんか気持ち悪い。本当、気持ち悪い。
    なんだっけ、別役実ちょっと近いかもしれない。気持ち悪さ的に。
    でもあれはまだ血肉がある感じだ。これは三角と四角と丸とって世界。数学的といってもいいような気がする。
    ドキドキもわくわくもしないで淡々と気持ち悪いんだ。いや、話の流れに抑揚はあるんだけど。なんだ、いい言葉が思い浮かばない。
    人間がやってるだろうに、なんとなく幾何学模様のようにキンとした空気がある気がする。正直、ちょっと今はまだわからない。
    鞄がなぜ「先祖」なのか。私たちが使うのと同じの意味で「先祖」なのか。女と客は何者か。全三幕で構成されているが、三幕で謎は解けるのだろうか。
    頭が悪い。ああ、よくなりたいなぁ。
    読了>>『棒になった男』難しい…。
    二場が、なんだろう、あれは。時の崖から、たぶんボクサーは落っこちてしまったんだろうけど…。
    謎かけされてるのかと裏を読みたくなる。
    素直に読んでしまってはいけない気にさせられる、安部公房。
    ボクサーの心の流れるままの混沌とした意識の声を描写してるんだろうか。なんかボクサーが何かの象徴なんだろうか。
    最後に川(水?)の中に落ちたって、崖から落ちて、海か川か湖か、とにかく水の中に落ちたんだろうか。
    すごく気持ち悪い。

  • 『友達』『棒になった男』『榎本武揚』の三部作からなる、安部公房の戯曲集。

    安部公房の戯曲集を読んだのは初めてですが、安部公房の地の文が好きな自分としては、いまひとつ物足りない。
    おそらく、セリフと簡単な舞台指定しかなされていない分、想像力が必要とされてくるからなんでしょうね。
    あらすじを読んで、『友達』にかなり期待をしていたのですが、ぱっと読んだ時点では理解が追いつきませんでした。
    もちろん、安部公房作品を読んだ時に理解できるなんてことは普段無いんですが、字を追うだけで終わってしまう、という点で。

    舞台で観たら観たで、きっと全く違う印象で面白かったんでしょうが、想像力の足りない自分に残念です。
    あと、安部公房の作品の中で『榎本武揚』という歴史上の人物をモデルにした戯曲があったことが、自分の中では意外でした。

  • 戯曲「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三篇。

    「友達」と「棒になった男」は、『無関係な死・時の崖』に収録されている短編の戯曲バージョン。
    脚本として、背景や演技の指定が書き込まれており、ほとんどはセリフだけで構成されているが、阿部公房の独特な世界がしっかりと出ており、一度舞台を見てみたかったと思わされる出来。
    小説とはまた別の阿部公房の世界を堪能できつつ、舞台づくりの巧さも感じられる。

  • 家族

  • 個人的に安部作品で一番不条理だと思う

  • 全部戯曲。
    友達:さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にしか過ぎなかったのに・・・
    すごい。由紀夫ちゃんお勧め
    棒になった男:すごい。有能にして誠実な棒たち。確認はされるが登録はされない、棒になった男たち。棒の形に閉じ込められて、不幸ではないから幸福な彼。
    よのなかのぜんいんを棒め、と思っているけれど、そんな私はきっとフーテン男女とおなじくゴムホースでしかないのだろう。もっとずっと無能で誠実すらもちあわせないゴムホース。わーああ。

  • 戯曲だと知らずに借りてしまった…
    どうやら私には戯曲は合わないみたい…

  • 「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三作の戯曲が収録されています。

    表題作である「友達」は、『水中都市・デンドロカカリヤ』の「闖入者」が原型であり、「棒になった男」は『R62号の発明・鉛の卵』の「棒」が原型のようです。
    いずれも以前に読んでいるので、比較しながら読みました。
    戯曲のために登場人物の数などを一部変えてありますが、大筋は同じです。
    やっぱり、「友達」は理不尽で好きです。
    いや、嫌いなんだけど、好きです。

    「榎本武揚」はそんなに面白くなかった・・・というのが私の印象です。実際に劇で見たら全然違うと思います。
    読み手の問題ですが、登場人物が多すぎて、途中から混乱してしまいましたw

  • 安部公房の戯曲集。
    劇団を主宰していたにも関わらず、彼の戯曲を読んだのは初めて。
    戯曲でも公房ワールドは変わっていなかった。
    「友達」は読んでてイライラしてしまうくらい、家族が怖かった。
    孤独というものに疑問を抱いてしまう、そんな作品。
    「棒になった男」は各幕のつながりが全く分からなくて、少し戸惑った。
    それぞれの幕も不思議な感じ。
    公房の世界観を味わうならこれがピッタリ。
    最後の「榎本武揚」は公房にしては珍しく歴史もの。
    逆に新鮮だった。
    歴史ものなんだけど、公房らしさが出ててるところは流石。
    唸らされた。

  • 安部公房は初めてなのだけど…、
    戯曲は基本嫌いなのだけど…、
    しみじみ面白かった…。
    久々の充実感。
    最近読んでいた本って軽かったんだなーと。

    すごい演劇的なストーリーだと思う。
    当たり前だけど。
    その全体の理不尽さがすごい演劇っぽい。

    表題の『友達』は、
    ちょっと私が不得意なタイプの理不尽物語でした。
    私にはちょっと辛い。
    そして怖い。

    でもこの世界観。
    他の安部公房を読んでみたい。
    全作品素晴らしいのですが、
    私は『棒になった男』が一番好きです。

    収録作品
    ・友達
    ・棒になった男
    ・榎本武揚

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著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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