- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101121192
感想・レビュー・書評
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文学
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「安部公房だから」とちょっと気合いを入れて読み始めたのだけど、地の文がないためか案外さらさらと読めた。
『友達』は実際に起こっても不思議がないような変な説得力があった。
『棒になった男』のボクシングシーンは赤子に読み聞かせた。
『榎本武揚』は俺にもうちょっとレディネスがあれば楽しめたのかも。 -
安部公房の戯曲はスラスラ読めてグッド。
「友達」は善意の集団リンチ
「棒になった男」は鞄・棒と化した人・・・
「榎本武揚」はABEへの批判w
棒になった男のボクシングの部分は寺山修司ワールドを感じさせてくれるような。でも別に無くてもよかったような・・・
マルクスとともに、快楽のラーメン。
榎本武揚は榎本武揚が榎本武揚ではなく榎本武揚に化けた現代人なのかしらね?
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【友達】人間の心の隙間に緩急つけたカーブでこじ開け、粘りのファウルで対抗するも、追い込まれた最後の一球、最速165キロのストレートで人生スリーアウト。【棒になった男】明日棒になったらどうしよう。【榎本武揚】イケメン過ぎて北海道に行きたくなる。
そんな至極の戯曲たち。安部公房の深さは計り知れない。 -
私たち図書館学生ボランティアACS(アカデミックコモンズサポーター)は、2016年12月19日に「みんなで戯曲を読む会」というイベントを開催しました。(イベントURL:http://new.lib.u-tokyo.ac.jp/post_acs/4645)
そもそも戯曲とはどのようなものか、ご存知でしょうか?演劇に興味のある方以外には、あまり馴染みがないジャンルなのではないでしょうか。
戯曲とは、演じられることを前提に作られた文学作品のことです。そのため、誰がどのセリフを読むかや、俳優たちがどのような動きをするべきかなどが詳細に書かれています。
ACS企画の「みんなで戯曲を読む会」では、集まった学生さんや職員の方に役を割り当てて、作品を声に出して読んでいきました。一人で静かに読むのとは違い、様々な人の声が聞こえてくることで、作品が立体的に感じられるようになり、楽しいイベントになりました。
今月は、授業で使用した本ではありませんが、そのイベントで使用した戯曲、安部公房の「友達」を紹介したいと思います。
もし、一人暮らしでそれなりに楽しい生活を送っているところに、急に縁もゆかりもない9人家族が「一人ぼっちはいけない」、「孤独は人間にとっていちばん不幸なこと」だと隣人愛を語って乗り込み、居座られたらどうしますか?別に自分としては特に孤独を感じていないにもかかわらず…。
みなさんは9人家族を追い出しますか?それともおせっかいを断れずにしぶしぶ受け入れてしまいますか?家族は特には危害を加えてきません。なので、警察に逮捕させることもできないのです。
これが「友達」のだいたいのあらすじです。
急に居座られた9人家族に対し、どう接するかは人によって異なる意見があると思います。私は、それがこの戯曲の最も面白いところだと思っています。そして、こういう問題は今でも似たようなものがあるはずです。
例えば、他人が良かれと思ってやっている行動がなぜか迷惑に感じてしまったり…。でもはっきりと断れない…。その逆ももちろんあると思います。自身が親切心からやっている行動が相手になぜか受け入れられていないということもあるでしょう。
このような体験がある方でしたら、「友達」を読んでいると共感できる部分が多いと思います。
さすがに、一人でいたい人の隣に無理やり居座ることを心から良いことだと思っている9人家族は極端な例ではあります。ですが、この家族は「良かれと思って」という行為の怖さを象徴しているかのようです。
他者と関わることはどんなに年齢を重ねても難しいことです。他者が良かれと思ってしてくれることが重荷に感じることもあるでしょう。
しかし、昔からある文学作品にもこのような題材が取り上げられていると知ることで、少し気持ちがラクになるような気がしませんか?今回取り上げたこの作品が、人間関係を築くうえで何か少しでもヒントになれば幸いです。
親切って、難しい。
文責:アオイ(人文社会系研究科 文化資源学研究専攻所属)
※「みんなで戯曲を読む会」で実際に使用した本は図書館に所蔵されていませんが、「友達」が収録されている本は東大内にもありますのでご参考ください。
しかし、一人で静かに読むと単調になりがちです。また、登場人物の違いもそこまで出ず、あまり面白くないかもしれません。そんな時は複数人で声に出して読んでみると楽しいですよ!
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=2000046673 -
初めての戯曲だっけど、そんなに違和感はなかった。
「友達」は闖入者が原作とすぐわかったので、
闖入者を読んだ時のほうがインパクトが強かった。 -
『友達』が特にいい。家族の個性あふれる挙動・言動がおもしろい。「男」とその「婚約者」とのあいだの間もさすがだ。
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「友達」のみ読了。安部公房の世界観は抽象的で分かりにくい。それでいてどこまでも不気味だ。この男は私で、家族は社会だ。社会はいつだって正しい顔をする。優しく微笑みながら毒の入った牛乳を飲めという。彼女はそれが私のためだと信じて疑わず、だから私は死ぬしかしない。けれども私が孤独に耐えられなくなった時、私もまた知らずのうちに誰かに牛乳を差し出しているのだろう、と気付いて絶望した。
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本人が亡くなって20年経った今になって、すっかり安部公房ワールドのファンになってしまった。
氏の文章はあらゆるものに対して「なんかみんな常識、常識って言ってるけど、それ、ほんと?」という疑問を投げかけるような内容のものが多いのですが、ここではおよそ物語と名の付くものが持ちがちな人情至上主義に対して同じ疑問を投げかけている(ように見えた)。親切心とか、人は一人でいてはいけないとか、忠義とか。
で、普通の作家がそういう事を描こうとすると、とかく不良や犯罪者といったアウトサイダーな人物に乱暴を働かせながらこれ見よがしに言う、という形になりがちですが、安部公房の場合、至って普通とされる人が異常な状況に巻き込まれてだんだん常識に疑問を持つ、となるパターンが多い。だから身につまされるのかな…。 -
とりあえず友達だけ…舞台で見たい。