友達・棒になった男 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121192

感想・レビュー・書評

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  • おすすめされて読んだ本。
    どれも不気味で、不条理で、それが面白くもあり。
    全5篇の戯曲形式のお話。
    表題作の「友達」は侵入してくる家族の理不尽な親切心が
    とても不気味。彼らが話す言葉は一見正論。
    だからこそ反論する余地がなく、受け入れさせられてしまう。
    それは「棒になった男」内の「鞄」も同様。
    登場人物たちのココロの有り様、揺れ動きの様が
    いつかどこかで見たような、感じたようなことがあるのだろう。
    それが不快感に繋がっているのかな?

    「棒になった男」も何故突然に棒に??と疑問が付きまとう。
    推測するしかないのだけれども、だからこそ地獄の男の
    最後の台詞にゾクッとさせられた。

    「友達」「棒になった男」ともに同じく新潮文庫から
    出ている「無関係な死・時の崖」に小説バージョンで
    収録されているらしい。
    いつかこちらも読んでみよう。

  • デヴィット・リンチのような、村上春樹っぽいような
    小林賢太郎的な…。

  • ありふれたものは注目されない

  • 古い読書記録より。

    象徴性が全面に出ている作品。中学時代、「モチーフを読みとく」ことの快感を教えてくれた一作。この作品をするする読みといたとき、物語をばらばらにしてふわけできた痺れのようなものが背筋をかけていったことをいまも覚えている。
    別話戯曲のほうも読んでみたけれど、劇場での展開が目に浮かぶようだった。普段戯曲を読むことがないのでいい体験だった。

  • 安部公房の戯曲集。

    表題作『友達』は非現実的な世界観が、主人公を通じて日常的なものへと錯覚させられる、読み進めていくうちに思わず引き込まれていく作品でした。
    日本社会において、個性や個人という考え方を維持することが難しく、全体主義、連帯責任というものに押さえつけられてしまうという現状を表現したものであり、これは現在の日本社会でも通じるとことだと思った。

  • 「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三つの戯曲集。
    戯曲ははじめて読んだけど、会話形式なのでサクサク読めて楽しめた。相変わらずブラックな笑いのセンスが抜群の「友達」がお気に入り。

  • 人類みな友達、この言葉で済ませたい。飄々とした人たちが、やらかしちゃう物語、「友達」。「棒になった男」はいきなり降ってくるとこからナイス。文学的幅を示した、才能あふれる作者の戯曲。他者と自己の関係を恐ろしくも滑稽に描いた、日本昔話的表現にジーンっ。

  • ほら、あるでしょ。
    クイズに不正解だったお笑い芸人が、突き落とされて小麦粉まみれになるやつ。
    あと、少しズレちゃうんだけど、その時自分は面白く無いのにTVの向こうではわざとらしい笑い声がゲラゲラ入ってて、何かから取り残されちゃったなーって感覚。
    その傍観者でいたはずの自分てのも、その実当事者であったりするわけで、知らず知らずに小麦粉まみれの芸人やわざとらしいゲラゲラになってる可能性のが高いんだよね。
    そんな意思は無くても。
    そこがなんか怖くて腹が立つ。

  • 2010/10/30購入

  • またまた安部公房の「有り得そう」と錯覚させてくれる作品。特にこれは戯曲だから、変にリアルなの!

    いくつか作品が収録されているけど、私は「友達」が1番好き。

    無茶苦茶な家族がいい具合に有り得ない。でもだんだん、本当にこの家族が存在するような錯覚に陥る。まさに安部公房の魔法。



    実際に上演されるなら絶対観てみたいな。

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著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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