- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101126036
感想・レビュー・書評
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十五少年漂流記のダーク版?
すごく明確に時代と場所を設定してあるのに、なぜか無国籍かつファンタジックな印象のある不思議な本でした。
太宰治にハマっていた青春真っ盛りの頃に読んでいたら、すごく感銘を受けただろうなぁと思わなくもないですが、中年真っ盛りな今の私には、「えー なんか素人くさい文章だなあ。いちいち面倒くさくて青臭い」と感じられ、とにかくリズムが悪い印象の方が強いです。(ノーベル文学賞作家に対して我ながら大胆な発言ですが)
しかし、この表紙はいいですね。内容にピッタリだと思います。選んだ人はすごい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
疫病が発生し始めた僻村に棄てられた感化院(今の児童自立支援施設)の少年と仲間の話。垢、傷、泥にまみれた臭いが伝わってきた。どうしようもなく大きなものに踏み躙られながらも、断固として抗う少年は(使い古された例えだけれど)硝子の破片を思わせた。割られてバラバラにされてしまったが、その先は鋭い。
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いろんな感情の衝動がこまやかに表現されていて、さすがだなと唸りながら読み続けた。
圧倒的なパワーにくたくたになった。 -
圧倒的な表現力。植物の匂いや動物の生臭さが読み手に伝わってくるようで、ぐいぐいその世界に引き込まれた。
物語のひとつのテーマである「中と外」という対立関係は、決して特殊な環境ではなく、私たちの身近な生活の中もあるのだと気づかされる。 -
2013/11/24にアマゾンで買いました、とさ
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若さの中にある鬱屈さを、
独特の文体で表現しているのが、
厭なようでいて癖になる。
若いゆえの苦しみというか、
やるせなさ、無力感、大人に対する意地みたいなのが
主人公から感じ取れた。 -
苦手だ。だけど読んでしまえた。
どうも文章が血生臭くておそろしい。
モチーフは嫌いじゃない。
はめこまれる=屈することを暴力的に強いられる環境において、自分としてどう生きるか。主人公のまっすぐな想いはただ美しい。 -
戦時中、少年院に入っている少年たちの疎開先の村に疫病が発生し、村人たちは少年たちをその村に置き去りにし、村を封鎖してしまう。
とにかく、暗っ!重っ!そして、悪いことはしないに限るな。という教訓。 -
大人と子供かつ百姓と疎開してきた少年院たち、厚い壁と深い溝。
ジメジメしていた。圧倒的な暴力だった。 -
大江健三郎の処女長編だが、既に古典の風格有り。
疫病が蔓延する谷間の村に置き去りにされた感化院の少年たち。
閉ざされた空間での少年たちの日々を描いたと言う点では「十五少年漂流記」「蠅の王」の系譜に連なる作品と言えそうだ(作者が意識してのことか実際に少年たちの数は十五人だったりする)。
まだ、大江健三郎の粘っこいような独特の文体が成立する前なので文章は比較的読みやすいが、暴力的やグロテスクな描写は読む人を選ぶかも。