芽むしり仔撃ち (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.69
  • (88)
  • (127)
  • (166)
  • (16)
  • (5)
本棚登録 : 1406
感想 : 125
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101126036

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 二冊目 割と読みやすかった
    最後のだーっといく流れがいいかんじ

  • (2010/01/05購入)(2010/01/09読了)

    野崎 歓の『子供たちは知っている』で興味をもったので読んでみた。

    子供だけの幸福な時間は崩壊し、幼く美しい秩序は大人たちによって破壊される。子供の世界からも大人の世界からも追放された主人公はどこへ行くのか。

    書名の意味の恐ろしさ。

    ━━ いいか、お前のような奴は、子供の時分に絞めころしたほうがいいんだ。出来ぞこないは小さいときにひねりつぶす。俺たちは百姓だ、悪い芽は始めにむしりとってしまう。

  •  ひとつひとつの表現が凄い。湿った感覚とか、鋭い空気の鋭利さとか、病んだ世界の雰囲気とか、なんだかもう読んでいて引き込まれる世界でした。
     登場人物の色彩も豊かで、やっぱり弟と李が好きな人物でした。弟の無邪気さは話全体に光を齎したし、李の力強さは友情の華やかさを添えてくれました。
     最後の二章ぐらいは、もう一気に読んでしまいました。
     無常な世界観と、他者を人間とみなさない人間の部落のおぞましさを垣間見た気がします。
     他の作品も読みたくなりました。

  • 大江を読んだのは初めてだったけど、噂に聞くほど難しくなかった。
    初期だからかな?
    最後の解説を読むと、もう1回読み返したくなる。よく計算されていて、力量がある。
    これを24歳(だったかな?)で書いたのは純粋に凄い。
    奇妙なタイトルが物語の終盤で分かったときはなんかミステリーのような
    やられたなー感に近いものがありました。

  • ストーリーも文章も超一級。
    静かなのに壮絶で暖かいのに狂気で大人はどこまでも醜いのですね。
    この人の考えるお話しはどれも好きすぎます。

    09.09.11

  • 僅か5日の間に起こった物語。
    無知と差別による悲劇。少年達の生。

  • 少年院の少年達が一時解放され、また隷属に戻る話。
    極限状態での人間性崩壊ネタと思いきや、作者は少年達のリビドーをあくまで常態のものとして描写するため救いが無い。
    フィクションとして一歩離れて見ることができない、不愉快な魅力に満ちている。

  • 脱走兵が捕まった時の体からちょっと洩れている腸の表現がやけにリアル。

  • ひねくれた作品だと思う。それ以上に感じられるセイへのギラギラした憧憬、実践がすばらしい。

  • 初期大江作品に特徴的な閉塞感を見事に描ききっている、
    そんなことはどうでもいいとして
    とにかくおもしろいのだ。

全125件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大江健三郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×