- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101128061
作品紹介・あらすじ
読書の楽しみを語り、現代の風俗を諷刺し、食味の真髄を探り、釣りの薀蓄を傾け、世界の美酒・珍酒を紹介し、人生の深奥を観照する。-鋭い洞察が溢れ、ユーモアとウィットに富み、自ずと人柄のにじみ出る絶妙な語り口は読者を魅了せずにはおかない。「男の収入の三分法」「面白い物語はまだまだある」「釣るのか釣られるのか」「酒の王さまたち」など珠玉64編。
感想・レビュー・書評
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この人の文章を読むと綺麗な海底のように世界がちょっと深く蒼く空恐ろしく見える。かといって無機物ではなく、凄まじく人間臭い。万人を魅了する香水にはうんこの匂いが含まれていると言ったのは本田宗一郎。
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「開高健」のエッセイ集『開口閉口』を読みました。
『開高健エッセイ選集 白いページ』、『輝ける闇』、『サイゴンの十字架―開高健ルポルタージュ選集』に続き、「開高健」作品です。
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読書の楽しみを語り、現代の風俗を諷刺し、食味の真髄を探り、釣りの薀蓄を傾け、世界の美酒・珍酒を紹介し、人生の深奥を観照する。
――鋭い洞察が溢れ、ユーモアとウィットに富み、自ずと人柄のにじみ出る絶妙な語り口は読者を魅了せずにはおかない。
『男の収入の三分法』 『面白い物語はまだまだある』 『釣るのか釣られるのか』 『酒の王様たち』 『小さな話で世界は連帯する』など珠玉64編。
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毎日新聞出版発行の週刊誌『サンデー毎日』の1975年(昭和50年)1月号から、1977年(昭和52年)1月号に掲載されたエッセイ『 開口閉口』を一冊にまとめたエッセイ集、、、
「開高健」は、小説やルポルタージュも書いていますが、個人的にはエッセイがイチバン好きですね… 「開高健」ワールドにどっぷり浸かった感じです。
■ロートレックがイナゴを食べた
■モルモット食いとネズミ食い
■ネズミの仔は野原のイワシである
■面白い物語はまだまだある
■泣くがいやさに笑い候
■悪夢で甘く眠る
■名は体をあらわすか
■小さな話で世界は連帯する
■十年ののち影もなく
■連発式自動小銃とバナナ畑の昼寝 ほか
■解説 谷沢永一
「開高健」の趣味である、酒、釣り、読書、映画、食、旅を中心に、風俗、文学、政治、人生、俗っぽい下ネタから、銃弾飛び交う紛争最前線まで… 幅広い知識と造詣の深さが滲み出ている作品でしたね、、、
ユーモアたっぷりで面白いんだけど、そんな中に物事の核心を突いてくる言葉があったりと… 愉しめるけど油断できない、そんなエッセイ集でしたね。
エッセイの中で紹介される、女性に対する万国共通?の認識を表した小話や格言が印象的でしたね、、、
《中国の小話》
「女房が怖いようではアメ帝と戦争ができるかと隊長がキメつけたけれど、
いっこうにききめがない。
そこで隊長は、女房のこわい兵隊は右へでろ、
こわくないのは左にでろと命令を下した。
すると、100人のうち、99人が右へ出た。
左へでたのは、たった1人だけであった。
そこで隊長が感動してその男の肩をたたき、
同志、君だけが真の人民英雄だといった。
するとその男は、うろたえて頭をかき、低い低い声で、
ナニ、私はかねがね女房にみんなのあとへついていってはいけないといわれてるもんですから、と答えた。」
《タイの格言》
「25歳までの女は自分を殺す。
35歳までの女は自分と相手を殺す。
35歳以後の女は相手だけを殺す。」
思わずクスっと笑っちゃいますが… 本質を突いているだけに、反論できないですねー -
随筆集。
昭和51(1976)-52(1977)年刊行の本から再編集されたもの。ひと世代上の人の書くものはやはり日本語に厚みとこくがある、と思う。戦中戦後の混乱期を肌で知っていたり、各地の戦争を取材した経験の凄みもあるだろう。その代わりには価値観の古めかしさも目出つ。特に女性に対する視点等。これは時代の違いだから仕方ない。
・戦中、母親がコックリさんをやっていた時の話。場所は大阪南部。(p89)
・クジラ肉の食文化(p365)。
・同志社大学図書館にウォルトン『釣魚大全』初版の完全複写版があるらしい。(P330)
・大学生女子の会話で頻出する「サムシング」という流行り言葉。良いものを意味するようだ。(p303) -
作者の人生哲学や海外生活で経験した話や海外の珍しい食べ物の話や趣味の釣りの話などが短編で64作書かれている。
興味がないと読むの辛いかも -
1976年ごろ書かれた随筆
小説家というより随筆家のような手慣れた書きぶり
著者の志向が良く伝わる見事な作品 -
開高さんのエッセイ。
男臭さがいい。釣りの話は自分に興味がないのでクドイけれど。
各エッセイのタイトルがまたツボ。 -
読書の楽しみを語り、現代の風俗を諷刺し、食味の真髄を探り、釣りの薀蓄を傾け、世界の美酒・珍酒を紹介し、人生の深奥を観照する。――鋭い洞察が溢れ、ユーモアとウィットに富み、自ずと人柄のにじみ出る絶妙な語り口は読者を魅了せずにはおかない。「男の収入の三分法」「面白い物語はまだまだある」「釣るのか釣られるのか」「酒の王様たち」「小さな話で世界は連帯する」など珠玉64編。
どこから読んでも、何度読んでも、思わず、くすり、あるいは、うーむと唸ってしまう面白さ、です。 -
軽妙洒脱。読んでて滋味を得る。自分が生まれた頃に書かれた文章から感じる当時の風俗など楽しみつつ。/小倉百人一首。「気ままに一句一句読んでは床に落していると、回想や想像がつぎからつぎへとわいてきて時間に果汁をみたしてもらうことができた。」p.150/西園寺公望。「私が好きなのは、当時の国定修身教科書に<<艱難汝ヲ玉ニス>>の言葉を入れさせるまいとした挿話である。(略)何も幼少のときから学校でそんな観念を叩きこんで、ためにヒネくれて貧寒な気質の国民をつくってしまう、そのことを憂えて撤回を進言したのだが」p.267/バンコクの金言。稼ぎの三分法。「1/3は水に流す。1/3は大地にもどす。1/3は敵にくれてやる。」p.283 酒、土に埋めて貯金、女房に渡すことなんだとか/バンコクの金言。「25歳までの女は自分を殺す。35歳までの女は自分と相手を殺す。35歳以後の女は相手だけを殺す。」p.288/当時の女子大生は、語末に、”サムシング”とつけて話したりしていたのだろうか。p.304とか。/映画「大いなる幻影」。ジャン・ギャバンとシュトロハイムの競演。計算し抜いた自然さで楽々と演じているのを見てみたい。/グレイ卿がルーズベルトをお忍びで迎えて、二人きりで一日バードウォッチングしたエピソード。「こころの渇きがテロリストのそれでなくなってしまわないことには、滴の音が耳に入らない。オッサンにならないと聞こえてこない音というのもおびただしくあるのだよ。p.416 三十五すぎても滴が耳に入らぬ身としては、まだテロリストの渇きなのだろうか、と自問しつつ、本をおく。ただ、年代ごとに読み返して感じ方の違う本というのはある。自分にとって読み返す強度に足る何冊か、ということになるだろうが。
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時間の合間に読めるエッセイ。
開高健氏のエッセイはおもしろい。
ボリュームあるのに飽きさせないところはさすがだと思う。
昭和を感じられるもの。反して古さを感じさせない世界的な視点から切り込んだ話、が特にお気に入りである。
ただ、釣りの話は私が興味がなさ過ぎてか、正直あんまり面白くなかったなぁ。 -
ぶ厚すぎて読み始めてから読み終わるまでずいぶんと時間がかかってしまった.
こういう本はずっと手元に残して子孫に伝えていくのがよいと思う.
開高健は長編よりも短編が面白いのではないかと思う.なぜならば短編だからといって本気の程度が下がっていないからである.その分よりギュッと圧縮されたエッセンスを感じる.ゆえに,ときどき同じ話の使い回しがあるのは大目にみなければならない.「知的な痴的な教養講座」かこれか.どちらも素晴らしい.寝る前に2-3話ずつ読むと目覚めが素晴らしくよいですヨ