- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101131030
感想・レビュー・書評
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20180422
北さんの船医としての旅行記。
1950年代あたりの少し前の時代、レトロでノスタルジックさを感じる船旅であり、船内の話や寄港地での話を面白おかしく書いている。
ユーモアさは群を抜いており、酒飲みの話、女性での失敗談など陽気さをここまで感じられる作品もなかなかない。
海という旅に対してイメージがあまりなかったが、このような陽気なものが本来の姿かもしれない。海とは綺麗なもの・母なる大地であり、人と旅をする船旅というものは楽しさをいかに追求するかが真理なのかもしれない。
旅に出る
不測の事態に慣れる。現状維持では幸福がない
船酔いと酒飲みは負の相関がある。海賊が酒飲みのイメージは一理ある詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あくまで肌に合う合わないの問題でしょうが、『深夜特急』とか『何でも見てやろう』ほどのめり込めなかったかな。
この作家の私的部分が見え過ぎることがその因のような気がする。『楡家の人びと』もまぁその極致ではあるんですが、どうもエッセイだけにそれが露骨かなぁという感じ、何と言うか醒めた視線が前2作ほど鋭くないと言いますか。
ちなみにドイツ料理にあまり感心しないことにはまったく不同意、まぁこれも個人的嗜好に過ぎないことではありますけれども。-
私も50年ぶりの再読で、つい「深夜特急」と比較してしまうところがあり貴方のおっしゃる「のめり込めなかった」というのが分かります。
けれど本作...私も50年ぶりの再読で、つい「深夜特急」と比較してしまうところがあり貴方のおっしゃる「のめり込めなかった」というのが分かります。
けれど本作品の深夜特急的な部分を除いて、航海記、それも船内でのエピソードに注目して読めばやはり面白かった。
寄港地での町や人々の話はやっぱり深夜特急に比べるのは無理だと思いました。
ただ意外に抒情的な、私はですが「イイなあ」と思う文章が所々見られてそれも楽しかったです。2022/04/28
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大して外国に行ったことがあるわけじゃないけど、海外に行くと言えば交通手段はもちろん飛行機。でも、船じゃなきゃ船がなかったら意味がない目的もたくさんあるっていうこと、考えてもみなかった自分にびっくり。船医として乗り込んだ船での半年間が、ユーモラスに語られる。
船上生活には憧れない(不眠症も虫垂炎も十二指腸潰瘍もまっぴらごめんだ)。それでも、船上生活や寄港地での出来事を、虚実ないまぜに、おもしろおかしく表現されてるから、読むのは楽しい。 -
うーん、ここまで名著だと感想書きづらいですね(苦笑)。
言わずと知れた、北杜夫の世界旅行記。とにもかくにも文章表現が独特で、どこそこに行きました、と記すだけの並の紀行文とは一線を画しています。後に写真を入れて再発売されたのですが、かえって文章の魅力を減殺してしまったと編集者は恥じ入ったとか(宮脇俊三「旅は自由席」より)。
初版の発売から既に半世紀近くが経過しており、文章のあちこちに顔を見せる昭和30年代のニッポンの空気が、どこか物珍しくも感じられる1冊です。海の上にいるのにそんな連想をするのも、ちょっと奇妙ではありますが(笑)。 -
肩肘張らず、ときにサトリをひらいてダラダラと。
面白い航海記。どのページにも笑えるポイントあり。ユニークな妄想のような描写もあり、実際の航海記なのに物語を読んでいる気分にもなる。
これが昭和35年頃に書かれたなんて、今読んでも楽しすぎる。ワクワクしながら旅先を想像。 -
再読。大好き。ナンセンスなユーモア満載のようで、実は抒情に溢れている。景色や自然の描写は紛れもなく超名作『幽霊』を書いた人だ。ちょっと突き放した視線で、ちょっと乱暴な口調で、場面場面の隠れた真の表情を艶やかに導き出す。こんなヤンチャでとんでもない船医さんは絶対御免だけど、きっとユーモアは照れ隠し。そんなバランスが著者の人柄を映していて、著者自身を好きにならずにはいられない。さんざん笑わされてじーんとしてドキドキした。惚れるわー。
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「どくとるマンボウ」シリーズ、第1作。
ひょんなきっかけと周囲の後押しにより、水産庁の漁業調査船に船医として乗り込んだ"どくとるマンボウ"こと「私」。その船上生活とそこから見える海の景色、次々と立ち寄る国々の様子や民族性を、彼視点で生き生きと表現された航海記。北杜夫さん自身の実体験をもとに書かれています。
大きな事件が起こるわけでもなく、「私」の見たまま感じたままの世界が素直に描かれています。従来の日本文学にないユーモアに富んだ文体でベストセラーとなった本作の初版は今から約50年前。当時の読者は本作を通して、活字の向こうの広い広い世界に想いを馳せたのかと思うと感慨深いものが。
薄い本ですが、その中身は広い世界への魅力で溢れていました。 -
(1983.07.10読了)(拝借)
(「BOOK」データベースより)
水産庁の漁業調査船に船医として乗りこんだ若き日のどくとるマンボウの興味あふれる航海記。船上生活と海の風物、アジア、アフリカ、ヨーロッパと次ぎつぎに立ち寄る港の人間と風景、あるいは事件が、著者独特の観察眼を通してユーモラスに、ときには文明批評をまじえて語られる。現代日本を代表する傑作旅行記。
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マダガスカル島にはアタオコロイノナという神さまみたいなものがいるが、これは土人の言葉で「何だか変てこりんなもの」というくらいの意味である。
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☆関連図書(既読)
「喋り下し世界旅行」斎藤輝子・北杜夫著、文芸春秋、1977.05.30
「マンボウ夢遊郷」北杜夫著、文芸春秋、1978.03.25 -
地図と照らし合わせながら読み進むと旅行している気分になった。
後半がややワンパターンだが、作者のユーモアにはまった。 -
中学のころだったかにキオスクで購入。いかしたセレクトをしてくれていたキオスクに感謝。
真面目な文章でこーんなに面白く書けるんだよーと教えてくれた本。
世界は面白いことでみちている!と素直だった若い私は大興奮したのでした。
リゾート旅行先など、気楽な脳味噌で読むと一番良さが分かる気がする。