どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101131528

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  • 北杜夫という人物のルーツを垣間見る。
    旧制松本高校時代、寮生活。東北大学医学部、下宿生活。主にその2つの時代を回顧して書かれた日記。

    40歳間近の著者は、ただ昔を懐かしんでいるわけではない。嵐のように駆け抜けた10代20代の記録は戦中戦後の激動の時代を反映して活力、雄々しさを感じさせる。

    父、斎藤茂吉を父に持ち”おっかない父”に医学に進めと強制されながら、文学への憧れを捨てず、詩や短歌、小説を書きつづける。
    大学を卒業くらいになると内省はどんどん進み、当時の文学と相まって死をも思うようになる。

    そんな北氏だからこそ、生きる事についてや、愛という言葉が重いのだ。

    これは高校時代から書いていた日記を読み返し、それをもとに書かれた青春記。
    青春とは生きた時代によって内容がガラリと変わってしまうのだと思うと共に、これだけの日記が残せた著者は客観的、内省的な目を持っていて天性の作家なのだと思った。
    (天性の精神科医でもあったらしい)

  • 「自己を高めてくれるものはあくまでも能動的な愛だけである。」


    俵万智の解説にもあるように、北杜夫のユーモアとシリアスな二面性が刺さってくる。

  • 爆笑必至。愛すべき北さんの学生時代。

  • 「動物のお医者さん」にはまっている中2のAdさんは試験の答案に”カレーライスの作り方”を書くH大学の学生の話がお気に入り。”こんなこと本当にあるの!?””まあ、旧帝大系には昔からよくある話だ””先生もカレーライスの作り方を書いたの?””いや私はマカロニグラタンが得意だった””グラタン!””意外に安いんで一晩に何皿も焼いて友達に売ったことあるな””お金取るんですか!?””当然!””いーなー、こんな大学行ってみたい!”。そういえば私も中学生の時にこれを読んで旧制高校生の青春に憧れて大学に行きたくなったもんだ。

  • 軽妙洒脱。楽しく読めて、なおかつ深い。

  • かなり長時間かけて読みました。
    戦前、戦中、戦後という激動の時代を駆け抜けた北先生や同じ松校の学生たちが過ごした青春時代。読んでいて心から羨ましくなりました。昔の学生は娯楽が少ない割には何か見つけて楽しんだり、のんびりしてたんですね。学業に励むだけが勉強じゃないんだとつくづく思いました。最後の方はもう爆笑しっぱなし。
    「自殺するなら30歳まで生きてみろ」という言葉が重く響きました。

  • 北杜夫が亡くなってすぐ、
    「北杜夫という作家が人生に影響を与えた一人」だという話を、
    大学の先生と音楽家の叔父から立て続けに聞いた。

    二人が憧れたという、マンボウ氏の青春。


    笑っていながらの、どこか、負け惜しみ。

    ブルース、的な。

    読めば読むほど、
    「ここには俺のことが書かれている!」
    と、自意識過剰な気持ちになれる。


    この本で描かれている舞台と、そう遠く離れていないところで育ったということは、ラッキーだった。かもしれない。

  • 高校時代、何度も何度も繰り返し読んで、
    (私は女子高だったのでまた違った独特のコミュニティに属しておりましたが)
    当時の泥臭い青春、知的成長への追求…
    すべてが憧れでした。

    ご冥福をお祈り申し上げます。

  • これを読まずと大学生は語れない。
    バイト先の社長にそう言われ読んでみた本の中に僕はなにか運命を感じた。

    人生は棒に振れ、しかし一日はもっと大切にすべきだ。

  • 中学か高校の時に読んで、こういう生活をおくりたくて、大学では寮に入りました。つうか、狙いの寮に入るために大学を決めたようなもの(^^;)。

著者プロフィール

北杜夫
一九二七(昭和二)年、東京生まれ。父は歌人・斎藤茂吉。五二年、東北大学医学部卒業。神経科専攻。医学博士。六〇年、『どくとるマンボウ航海記』が大ベストセラーとなりシリーズ化。同年『夜と霧の隅で』で第四三回芥川賞受賞。その他の著書に『幽霊』『楡家の人びと』『輝ける碧き空の下で』『さびしい王様』『青年茂吉』など多数。『北杜夫全集』全一五巻がある。二〇一一(平成二三)年没。

「2023年 『どくとるマンボウ航海記 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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