橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

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著者 : 住井すゑ
  • 新潮社 (1981年3月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101137025

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 差別はされた側はもちろん、した側にとっても黒歴史なのだな。お互いに思い出したくないであろう、しかし忘れてはけない過去。
    子どもたちの「なんで、どうして」という純粋ない問いに満足な返事をすることができない大人たち。うさん臭さをかぎ取る能力を持っている子どもには、生半可な答えは通用しないしかえって大人に対する信用を無くすだけなのだ。
    兵隊ごっこの大好きな小学生だった誠太郎が大阪に丁稚奉公に出て急に大人びるのに驚いた。村の外に出て、彼は何を悟ったのだろう。弟の孝二が直感で「兄が遠くへ行ってしまう」と感じるのが切ない。でもそれは彼自身もこれからたどる道かもしれない。

  • 8月中旬からずっと読み続けていました。
    時々、立ち止まりながらじっくり読んで、
    さっきようやく最終巻の最後のページを閉じたところ。

    考えたことはたくさんあって、その全てをうまく言葉にはできそうにない。

    だから、自分がこれからどうしていきたいか、ということだけ記しておきたい。

    常に想像力を働かせること。
    今あるものを当たり前のように受け入れるのではなく、
    色んな角度からしっかりと物事を見据えられる人になること。
    これは、孝二やまちえの生き方から教わったこと。

    そして、どんな境遇にあっても、自分なりに価値観を磨いていくこと。
    そのためには観察眼を鋭くし、どんな人の言葉にもしっかりと耳を傾けること。
    これは、文盲でありながら孫達にも劣らない価値観を体得した、ぬいから学んだこと。

    高校の頃日本史の授業が大好きで、登場する歴史上の事件も
    もちろん聞き覚えがあったけれど、見方によってはこんなに変わるのだと改めて自分の得てきた知識の偏りを痛感した。
    習ったことがまちがいだった、ということではなくて
    本当に骨組みの部分だけだったんだ、ということ。

    ここに肉付けをしていくのは、自分自身の意志なんだと強く思いました。
    その意志がなければ、思考は固く狭くなってしまう。
    そんな危機感を抱きました。

    この夏に、この本を読んだことは自分にとって
    意味のあることだったと思う。

  • 部落差別を知らなかったので、かなりショックを受けた作品でした。
    図書館で借りて読んだのですが、貸付の方が「私もこれ2回読みましたよ」と言っておられました。

  • 小学生のときに読んで、大衝撃。

  • 読みたい気持ちとめんどくさい気持ち。
    読みたい気持ちになかなかなれず
    未だ読まずじまい
    いったんブックオフに買い取ってもらうしかない

  • 明治、大正、昭和初期という激動の時代、とても考えられないような差別に虐げられてきた被差別部落に生きる幼い兄弟、誠太郎と孝二。日露戦争で父を失った彼らを通して、差別、貧困、戦争を問い、そして人間とはなんなのか? ほんとうの幸福とは? じつにスケールの大きな作品です。今の時代だからこそ、多くの人に読んでもらいたい作品でもあります。

    作者の住井すゑさん(1902年~1997年)は、あらゆる命のきざしに対して好意に満ちたまなざしを向けています。読みながらほろと涙が零れるような温かい作品を残してくれた彼女に感謝したい、55歳から90歳超えても書き続け、徹底的な取材を重ねたその労苦と勇気に称賛をおくりたい。

    1961年に第1部発行。1979年までに81版を重ね、発行部数は91万8000部、第6部までの発行部数は382万部(その後のウィキ情報では、第1部~第7部までの累計発行部数は800万部)。第6部の解説では、「橋のない川」は、とくに大宣伝もなく、当時の文壇で評判になったわけでもなかったよう(当時の文壇なるものは何をしていたのでしょうかね?)。英語、中国語、イタリア語、タガログ語などにも翻訳された、日本では静かなベストセラーです。

    大和盆地(奈良)に広がる田園の中を、優しい大和言葉が清流のように流れていきます。たそがれの山々を照らす柔らかい月の光や四季の移ろいが目に映るよう。うわぁ~とため息が漏れるほど美しい描写に惚れぼれします。また、作者は「老子」に傾倒していますので、壮大な宇宙・自然の道(法理)が作品全体に貫かれていますし、詩人ホイットマンの「草の葉」やトルストイといった世界文学も視野に入れながら、非常にスケールの大きな作品に仕上がっています。被差別部落の人々を通して、日本のみならず世界に問いかけ、人間存在と人間復興という重たいテーマに迫りながら、とどまることのない自然の営みや生のきざしに満ちて明るく軽やか。笑いと諧ぎゃくに溢れ、まるで世界文学のような大河日本文学です♪

    考えてみれば、人種、民族、肌の色の違いによる差別は今でもあとを絶ちません。世界中でヘイトスピーチの暴力も蔓延しています。偏見や差別の芽はそこここに潜んでいて、原発事故のあった福島から避難してきた先では、ばい菌呼ばわりされて登校できなくなっている子どもがいたり、水俣病やハンセン病に苦しむ人々に不当な偏見や差別が続いていたり、加重な米軍基地負担の差別を長年強いられている沖縄では、取り締まりの警察官から土人発言まで飛び出したり……どれもこれも開いた口がふさがりません。

    ふと、ジョージ・オーウェル「1984年」の「無知は力」という逆説テーゼを思い出して身も凍りそうになります。でも、もっと恐ろしいのは、純粋に知らないことより、多くの偏見や差別や先入観にすりこまれたまま自ら真実を知ろうとしないことなのかもしれない……我が身を振り返って自問してしまいます(汗)。
    あらゆる情報が氾濫していて、あっというまにのみ込まれてしまうような現代社会の中にあっても、読んでみると、この作品には泰然とした山のような力強さと普遍性を感じます。

    美しい田園風景を背に、葛城川のせせらぎにのって、堤をてくてく歩く誠太郎と孝二の唄声が聞こえてくるような……そんな郷愁を誘う名作ですね。

  • めちゃめちゃおもしろいわ。

  • 烏兎の地図ーー庭園案内板
    http://d.hatena.ne.jp/utomin/20101030#sumii

  • 高校生の頃に買ってもらった全六巻を実家の押入れから引っ張り出して読み始めた。
    終始明るく描かれるふでやぬい、そして小森の人たち。不条理な差別に苦しみながらも日々前向きに明るく生きる姿に心を打たれるとともに、作品が書かれて40年経つ今なお、言われなき差別に涙をのんでいる人がいることがやるせない。

  • 再読です。
    差別、この言葉を見たり聞いたりすると心がモヤモヤしてどうも落ち着かなくなります。

    話の中で出てくる子供達も幼いながら、自分の生まれながらにして決められた運命と戦っています。
    何で?どうして?と沢山の矛盾や疑問を抱え、少しづつ大人へとなっていきます。

    長い長い話ですが、とても読みやすいので
    中学生くらいの方も読めるのではないのでしょうか。

    そう遠くない、少し昔の日本の話。

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橋のない川〈1〉 (新潮文庫)の作品紹介

級友が私だけを避け、仲間はずれにする。差別-その深い罪について人はどれだけ考えただろうか。故なき差別の鉄の輪に苦しみ、しかもなお愛を失わず、光をかかげて真摯に生きようとする人々がここにいる。大和盆地の小村、小森。日露戦争で父を失った誠太郎と孝二は、貧しい暮しながら温かな祖母と母の手に守られて小学校に通い始める。だがそこに思いもかけぬ日々が待っていた。

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