夏の終り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101144016

感想・レビュー・書評

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  • 読書会の課題図書。
    瀬戸内寂聴さんのことはテレビでたまに見かけるぐらいしか知らないし、本も初めて読んだのだが、とても「女性」を感じた。

    「恋」が「愛」に変わっていく様や、「習慣」が想像以上に人を支配し安住させている様や、それらをスパッと断ち切ることのできない様や、恋の終りの冷静なすがすがしさや、それらのあくまで個人としての女と男のダメな感じや、人間的なもどかしさなどがそっと心に寄り添う感じであった。

  • 若き頃の寂聴さん、イケイケだなw

  • 瀬戸内寂聴がベッキーだった頃の話。

  • 2013/11

  • 「あふれるもの」「夏の終わり」「みれん」「花冷え」
    主人公は官僚かなにかの妻だったのだけど
    終戦後の混乱のさなか、男をつくって家を飛び出してしまう
    それはもしかすると
    戦争に負けてなお国家によりかかる生き方しかできない
    そんな亭主への失望があって
    そういうことになったのかもしれないし
    またそうではないかもしれない
    どっちにしても、その年下の男とは長続きせず
    次には売れない小説家の愛人となって、8年間をやり過ごすのだが
    そこに再び、かの年下の男があらわれるのだった
    …どうも主人公には
    オイディプスやエレクトラに自らを擬そうとする願望があって
    そのためのお膳立てを無意識におこなっているようにも思えるんだが
    そんなことで周囲の人間が、望みどおりの役を演じてくれるわけはない
    結果的にこれらの短編群は
    再現不可能性を通じた物語批判となっており
    そういう意味で
    戦後自然主義のありようを非常にわかりやすく…はないものの
    あらわしていると言えるだろう

    「雉子」
    雑誌の取材で、堕胎手術に立ち会う主人公だったが
    そこにおいて彼女が発見したのは
    自分こそ、娘に殺されるべき存在であるという事実ではなかったか

  • 満島ひかり主演の映画がとても気にいったので原作も読んでみた。当然、文字になったことで登場人物達の心象はより直接に描かれているが、そうした描写を読んで改めて、映画がこの世界を見事に醸し出していたと思う。小説と映画どちらを先に手に取っても楽しめる2作品だ。

  • 4角関係は読んでいて、もどかしかった。知子がある意味2重の愛人であったところは業である。『雉子』は読後感が悪かった。

  • 映画を観てから読んだ。
    自叙伝の性質を持つのに、そんなものを書く人は自己愛がとても強いはずなのに、その嫌悪感がほとんどないのは、作家としての冷静からかと思うと素晴らしい。
    雉子は同じ点から広がる話なのに、より前に書かれた感があった。
    発表年月はそう変わらず。

  • ン十年ぶりに寂聴さん読みました。
    綾野剛は適役だと思います。

    こういう女性の生き方は賛否両論ありましょうが、
    私はむしろ好きです。
    いろんな縛りを緩くして、
    自分の決断に任せる。
    実に正直でまっすぐだと感じる。
    人はいろんな制度や形式等に囚われて
    正直に生きることを見失う、
    見ぬふりしているのかもしれない…。

  • 課題図書。社会人だった頃に一度読んだので、10年ぶり。

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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