真田太平記(七)関ケ原 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156408

感想・レビュー・書評

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  • いよいよ関ケ原の戦い。前の巻の終わりからこの巻にかけて、石田三成無能、徳川家康有能、だから関ヶ原の東軍勝利は必然!みたいな後世に書かれた”ものの本”からのエピソードが目白押しでいささかゲンナリ。真田の草のものの、家康を三度、あと一歩まで追い詰めた活躍が救いか。あるいはそちらを鮮やかに描くための石田三成の描き方か。そして昌幸・幸村親子は、東軍の第二軍をさんざんに上田に足止めさせ、本戦に遅らせることに成功。西軍勝利であればどれだけの殊勲であったか、と。その戦乱のなか、昌幸は、お徳に産ませた末娘の於菊を滝川三九郎に預けることに。戦国の世の男たちのくだくだしい説明や理屈を抜きにした鋭い感能のなせるわざと語る作者。戦後、真田家取り潰し、昌幸・幸村に腹を切らせると思い極めていた家康に、信幸は家康の養女を娶った徳川の縁者、殿は遅参した秀忠殿を罰したか?と鋭くせまり、最後は、戦も辞さぬと決死の助命を請うた本多忠勝。それゆえに家康も翻意し、助命の上、っ高野山に流されることになった昌幸・幸村、といったところまで。

  • 秀吉の死後、スッキリとしない状況が続いていて読むペースも落ちていたけど、さすがに関ヶ原の決戦が始まるとどんどん先に進めた。たくさん登場人物がいても、それぞれの性格が言動に表れていて違いが面白い。個人的なお気に入りの大谷吉継の退場が(分かっていても)悲しい。

  • 遂に関ヶ原。第二の主役とも言える「草の者」にも乾坤一擲の一戦になります。作者の武将評価がはっきり書かれていて、なんとなく印象に残ります。世間ほど、直江兼続は評価しないそうです。

  • 石田三成がタカビーで優柔不断の残念な人となっている。
    展開はみんなが知っている史実通り。
    真田の草が大勢死にます((ノД`)・゜・。

  • 真田家が東西に分かれて、臨んだ関ヶ原の戦い。
    どちらが勝っても真田家は生き残る。
    西軍側の愚ばかりが浮かび上がり、家康の優れた部分がクローズアップされる。
    敗れた真田本家は、高野山に封じ込められてしまう。
    ここから、昌幸、幸村父子がどうなってしまうのか、次巻からが楽しみである。

  • 石田三成が関ケ原の合戦後に処刑されたということを、恥ずかしながら初めて知った。大坂の陣まで生きていたのかと思ってた。思い込みというのはおそろしい。

  • いよいよ関ケ原。

    この小説が書かれたのは40年以上前なので、
    今日では関ケ原の戦いも研究が進み、
    「西軍は裏切りが無くても勝ち目が無かった」
    「石田三成は西軍の主導的立場ではなく、
    徳川家康と敵対関係でもなかったが、
    貧乏くじを引いてしまった気の毒な人」
    (腹が痛くなってきた)
    という説が有力になっているらしいが、
    小説なので史実よりロマンの方が大事である。
    白湯を飲めて良かったね治部様。

  • 関ヶ原から昌幸・幸村が九度山へ流される直前まで。

    史実は不明であるが、表の戦いと裏の戦い(忍び)が同時進行で描かれているのが面白い。

    石田三成は、政治家・事務方としては優れているが、軍人としてはまるっきし無能といっても良いような描かれ方をしている。

    石田三成に対する池波の人物評なのだろう。

  • 【読了メモ】あ、あ…三成ぃ…。

  • 関ヶ原なのでこの巻では真田はあまり出てこず、草の者と関ヶ原本戦の話がメイン。

    すごく面白かった。
    戦の手に汗握る臨場感があって先が気になってどんどん読めた。
    草の者たちの活躍もすごかったが、戦死者も多く悲しい。

    島津の退却戦も逃げてるだけなのにあんなかっこいいとは…。

    大谷吉継があの位置に展開したのはやはり小早川を抑えるためだったのかなぁとか、負けるだろう裏切られるだろうと思いながら参戦してのあの最後を思うとどうしても胸が痛くなる。

    石田三成は真面目で筋の通った人で根が悪い人なわけではないと思うが、どうしても人情にかけるというか人との駆け引きや決断力がないと思う。
    もしそこが家康ほどでないにしろもっとあれば関ヶ原は勝てていたと思う。
    なんだか損をする性格なんだなと思うとやりきれない。
    戦に向く性格ではなかったんだろうなあ…。

    こっちにつけば有利だろうとわかっていて行動するのは賢いと思うし、それが結局我が身や領地を守ることにつながるからそれが間違ってるとは言わないし私ならそうするだろうとも思うんだけど、だからこそ自分の信じたものや義のために不利だとわかってても突き進もうとする人に感動しちゃうんだと思う。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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