塩狩峠 (新潮文庫)

著者 : 三浦綾子

• 新潮社 (1973年5月29日発売)

感想・レビュー・書評

[kuwaさんの感想 · 2020年3月9日]

あらすじにある事件がどこで起こるのかと思いながら読み進め、もう終わりだよ…？終わっちゃうよ…？と不安になりかけるところで、サラッとした描写。
その部分だけで小説に出来そうなものなのに、その淡白さが逆に衝撃的。
時代背景だけでは説明できない、登場人物の真摯な生き方が丁寧に描かれているところが名作たる所以かな。
主人公は一応信夫ということになるんだろうけど、菊やふじ子の心情の描写があったりして、あまり最近にはない描かれ方でした。

[Shun.Sさんの感想 · 2020年2月26日]

キリスト教・信仰を軸に、1人の人間の生き様を見せてもらった感じ。キリスト教のことはあまり知らないけれど、信仰とか抜きにしてもこの生き様はすごい。
聖書入門的な感じでもあるなあと感じた。なんか聖書読んでみたくなる。

[マツイケンジさんの感想 · 2019年1月5日]

三浦綾子さんは、三島由紀夫よりも年上か!
文章が新しく読みやすい。特に、事故を元にした小説なのに、事故自体はわずか十数ページ。人と人とのつながりを細かく描写することで、そのわずかな変化が読者の心を揺さぶってくるところが面白かった。

[ともさんの感想 · 2019年1月4日]

大学時代に読んだ。実在モデルがいることにまず驚くが、三浦さんの作品はキリスト教が根底にあるが、宗教感が強い訳でもなく、愛とか自己犠牲とかの単語では語り尽くせない、人の生き様のようなものを深く考えさせられる。

[wakkarさんの感想 · 2018年7月9日]

感動した。自分はどうなのか？

[muffinさんの感想 · 2018年7月8日]

以前 バスの車掌さんが坂道で止まらなくなったバスを崖から落ちるのを止めるために自分が下に入って止めた
という実話を紹介していて 衝撃を受けたが これも実話を元にしていると。

頭が下がる… 人を助けるために自分が犠牲になる…
本人は犠牲になるとは考えずに行動していて結果、助からなかったに違いないだろうが…

[jamさんの感想 · 2018年5月23日]

『氷点』しか読んだことがなかった三浦綾子さん。
三浦さんの描くヒロインはなぜにこんなに儚げで心が綺麗でしなやかな人なんだろう〜。
泣ける本ということで読みましたが、こんな衝撃的なラストとは…。
キリスト教に特に関心はないんだけど、あちこちに心に問いかけられる言葉があります。
なんとなく戒められてしまう感。笑。
ほんとに泣ける本デシタ。

[胡桃さんの感想 · 2018年2月2日]

塩狩峠の列車事故で身を挺して乗客を救った勇敢な青年信夫。自分のひとつしかない身を捧げてまで他を救おうと決意した主人公の幼少期からの生い立ちが繊細に描写されていて、彼の下した最期の決断から彼の人となりが伝わってきて、彼だからこそなし得たことだと思えた。
信夫という主人公はとても魅力に溢れた人間だと思う。心惹かれました。感動したけど余韻が切ない…

高校の時読んで、また読みたくなったので読み返しました。変わらず良い作品でした。

[sarunobananaさんの感想 · 2017年10月30日]

20数年前から気になっていた本。それなのに読まなかった理由は、学生のときに『氷点』で衝撃を受け、三浦作品をこれ以上読んだら、自分がキリスト教徒になってしまうような気がして恐ろしくなったからだ。

本書を読んで感じたことは、主人公がキリスト教徒だったからではなく、永野信夫だったからあの結末になったんだと思う。キリスト教とは無縁だった頃から正義感が強く、素直で純粋だった彼だからできた行為なのだ。

人が倒れていても見向きもしない人が増えた昨今。命を賭すことはできないが、困っている人に声をかけられる人間でありたい。

[momosbooklogさんの感想 · 2012年11月28日]

人間の深い愛と信仰心に心うたれました。
強い信仰はここまで人を動かせるのか…と思うと
信念ってすごいと実感しました。

著者プロフィール

1922年４月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ　氷点（下）』 で使われていた紹介文から引用しています。」