- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101171012
感想・レビュー・書評
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現実にもこんな家族が存在するのではと、思わされた。
知りすぎるというのも良くないのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。といっても前回は十代だったので、「人間(特に男性)は汚い!汚らわしい!!」と思いました。折り返しも過ぎた今読むと七瀬もなかなかなものだと思います。若いけど経験値がすごいものね、無理もない。
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ひとの心が読めてしまう少女・七瀬は自らの力を知り、試すためにもお手伝いを職として様々な家で住み込みながら働いていた。
その中の8軒の人々のエピソードをまとめた1冊。
元々ドラマを昔に観て、とても好きだったので手に取った本。
ドラマはかなり原作に忠実だったんだな〜。
人の心が読めてしまう七瀬にとって、住み込みで働くというのは興味深い反面とてもリスキーで、読みながら自分だったら?を常に頭の片隅に置いていた。恐らくもっと人をけしかけたり、コントロールしようとしてしまうだろうなあ。
最後の亡母渇仰のラストが壮絶すぎて、もし自分なら狂ってしまいそう。
生活の中で、相手の気持ちが分かればなあと思うことはままあれど、人の心が読めるのは幸せなのかね、不幸せなのかね。 -
人の心が読めたなら、便利だろうなぁと思うのは普通の人だからか。始めてこの話を読んだとき、「幸せにはなれないんだなぁ」と思って七瀬がいじらしかった。まぁきっとここがヒロインとしての『落とし所』であり当時の私はまんまと『落ちた』事に大人になってから判った。
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中学生のとき初めて読んだ文庫の小説だったことを思い出した。
小説を気持ち悪いと思い、それ以来小説を読まないきっかけを与えてくれた。
今思えば刺激が強すぎる面白さだったため、
本能的に何かの危険を察知して敬遠したのかもしれない。 -
10代後半から30を迎える手前までの10年余の間に読んだ文庫本を、少しずつ読み返すことに。スタートは筒井康隆。当時読んだきり、はなれてしまっていたので新鮮です。
ちょうど一年ほどまえ、NHKで「七瀬ふたたび」がドラマ化されたのを観ました。その時に、この「家族八景」から始まる‘七瀬三部作’のことを思い出し、もう一度読みたいなと思っていたのですが、古い本は全て、実家の納屋の中。最近の帰省で掘り起こして少し整理し、段ボール3箱分、現在の住まいに送り返して、再読リレーを開始…
と、すっかり前置きが長くなりました。本題の「家族八景」。人の考えを丸ごと読む超能力を持つ少女・七瀬が主人公。一所に長く居続けると、自分の特異な力を露呈する危険が大きくなると恐れる彼女は、職場を転々としても不思議に思われないという理由で、家政婦となっている。雇われた家庭内に渦巻く意識下の愛憎が、七瀬の‘第三の目’によってあぶりだされる。
これはこんなに恐ろしい話だったか?目に見えない人の心を覗くということだけでもかなりスリリング。さらに怖いのは、七瀬が自分を守るために力を駆使したときの結末。ほんの‘いたずら’的な仕掛けで、巻き込まれる人々の人生を大きく変貌させてしまう…怖い怖いと思いながら、もっと覗き見したいという好奇心で読み進め、8つの家庭を巡る禁断の旅を終えました。
自分の特殊な力を確実に強めながら、力を隠して生き延びるためのしたたかさ、余りにも醜い現実にのみこまれまいとする抗い、常人じゃないことで感じる孤独…いろんな‘意識’との闘いあるいは共存の道を求めていく七瀬。この先彼女はどんな人生を歩むんだろう?気になる。読み終わったときに、心に残る七瀬の存在感は絶大です。 -
『鮮やかさはほとんど皆無』
題名からしてなんとなく鮮やかそうな場面も
あるのか…?と思いきや全く反する
全体的に何だかどんよりというか洞窟の中を
ひたすらゆっくり進んでいるような感覚
決してそれが居心地が悪いという訳では無いが、
思考がポジティブになるような場面はほとんど無
人間の醜さが小気味良く表現されている場面が
多い印象のため、好みはあるが面白みは沢山ある -
黒い。
グロいとか暗いのではなく、黒い、という印象。
人の心は様々なジレンマによって成り立っているんだなぁ。
特に1話目の奥さんの気持ちは、まるで私の心を透かしているようでどきっとした。
深いことを考えたくないが故に、周りのことを狭い範囲でしか考えない。思考が浅い。もっと外の世界に興味をもたなければ。 -
テレパスを持つ少女がお手伝いとして、8つの家族を渡り歩く話。
人間の生々しい感情、肉欲、恨み、嫉妬を主人公を通してべったりと張り付くような感情を体験できる良本。
主人公も決して善人ではなく、主人公の行動によって次々と家族は崩壊していくが、悪人にも見えない不思議。