ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181530

感想・レビュー・書評

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  • カルタゴvsローマ
    ローマのシチリア制覇。
    海戦最強と言われたカルタゴに挑み、
    慣れない操船に笑われてからの、接近戦に持ち込み壊滅させた戦いは爽快だった。

  • カルタゴとの戦争シーンも面白かった。
    ハンニバルの父、ハルミカルがスペインの植民地に移ってくのも気になる。そうとうな手腕だと思うが、そこも掘り下げてみたいところ。
    ローマのなんでも取り入れてく寛容さは本当に面白い。

  • ローマとカルタゴの攻防戦が面白すぎて一気読み!

    シチリアを舞台にした第一次ポエニ戦役。

    農牧民族であるローマ人 VS 地中海最強の軍船団をもつカルタゴ。

    不得意な海戦に「カラス」というアイデアで、得意の戦い方に持ち込む柔軟さと発想がローマ人の強さ!

    次巻はいよいよハンニバルによる逆襲が待っているのか!?

  • 第一次ポエニ戦役全部と戦間期までの話。互いに知恵の出し合いのように戦争していくところは楽しく読んだものの、そこまで印象に残らず。
    エピソードとしては、捕虜となった執政官レグルスが、ローマへの講和の使者として送られたものの、元老院に対して講和はするなと言って交渉決裂となり、結果「約束通りにカルタゴにもどったレグルスを、カルタゴ人は、丸い籠の中に押し込め、それを象たちがフットボールするというやり方で殺した」(P62)と、残酷な処刑をあっさり書いているのが印象に残った。

  • ますます面白くなってきた。世界史の教科書なら5行くらいですまされてしまうような史実を、丁寧にプロセスとともにじっくりと読めるのは大人の贅沢。ローマは敗軍の将を敗戦を理由に罰することはないが、将としてあるまじき行為をした時には罰せられるだとか、システム化が好きとか、百人隊長を使いこなすのが名将など、経営者が好んでこの本を読むことにも納得。

  • カルタゴとの戦い

  • 問題はこの本の中身がどこまで史実に沿った話をしようとしているのか、それともフィクションを語ろうとしているのか、今一つ判然としない点か。
    どうやら前者のようではあるものの、学者ではないとの作家の傲慢とも見えなくもない開き直り、ある意味一番タチが悪い。内容がそこそこ面白いだけに、余計に思考が止まるんですよね、読者として。

  • 「ハンニバル戦記」と題しながら、ハンニバルはまだ戦いません。
    この巻の終了時で18歳。
    亡父の後は姉の夫が継いでしまいます。

    前巻でイタリア半島を統一したローマは、内政に力を入れたいところ。
    しかしその強さを頼りにされ、シチリアの小国・メッシーナから救援を求められる。
    友邦国でもない国からの救援、しかも苦手な海戦を前提とした戦いをしいられるそれを、ローマは断ることができなかった。

    シチリア島はギリシアからの植民を起源にしたメッシーナやシラクサのほかに、北アフリカを拠点とするカルタゴが勢力を増していた。
    メッシーナがどこかの国に征服されてしまえば、幅3キロの海峡を越えて敵がローマに進行してくるのがたやすくなってしまう。

    当時世界最強と言われたカルタゴの海軍と、軍船を一艘も持っていないローマは戦わなければならない。
    これはもう、ローマとしても相当な覚悟で援軍を出したわけですが、意外にもローマは連戦連勝なわけです。
    そんなわけで冬場はお休みのポエニ戦役、23年も闘い続けてローマの勝ちで終わります。

    終戦協定を結んだ後、ローマはつかの間の平和を謳歌し、カルタゴは不満分子を掃討することに終始します。
    この時終戦協定を結び、不満分子を掃討したのが、ハンニバルのお父ちゃんハミルカル。
    ローマへの恨み忘れるまじ、と息子を育てます。

    学校で習う歴史は、結果としての歴史だけど、大人のための歴史はそこではじかれたプロセスであるがゆえに、愉しみともなり考える材料も与えてくれる、と冒頭著者が「読者へ」で書いている通り、面白いのよ、大人になってから読む歴史って。

  • 第3巻はローマ最大の敵、ハンニバルの登場。ただし、あくまでゆっくり緻密に進むこのシリーズでは、まず登場するのはハンニバルの父親。著者が言う通り、大人が楽しむのはプロセスとしての歴史であり、教科書で習う歴史のような結果としての歴史とは違うのである。

    ここまで海軍を持たなかったローマが、アフリカ側にある大国カルタゴと事を構えるにあたり、初めて軍船や漕ぎ手といった海軍力を手に入れる必要が生じている。その紆余曲折も楽しいが、読み進めてみるとローマはカルタゴに積極的に打って出ようとしたのではなく、近隣諸国からの救援要請に応えるうちにカルタゴから敵視されるようになってしまったというのが実際のところだったのだろうというのが分かる。

    この巻の冒頭から半分ぐらいは、ハンニバルの父親、ハミルカル・バルカとローマとの戦い、第一次ポエニ戦役について語られる。中盤以降はカルタゴから出ざるを得なくなったハミルカルとハンニバルが脱出先のスペインでどのように基盤を築いていったかということと、ポエニ戦役後のローマの発展について述べられている。
    面白いのがやはりローマの発展についてのくだりで、ローマは自分たちが打ち負かしたはずのギリシア文化に熱を上げ、ギリシア語や劇作の習得などに時間を費やすようになったという史実だろう。普通、戦勝国が負けた国に対して自国文化を広げたり、戦後の日本のように戦勝国アメリカのものであれば何であっても良し、となるのが当然だと思うのだが、いくら客観的に見て確かにギリシア文化のほうが優れていたとはいえ、気軽にギリシア文化を取り入れてしまうローマ人の開放性にはここでも驚かされる。

    著者はローマ人を「何でも自分でやろうとはしなかった」「どの分野も自分たちがナンバーワンでなければならないとは考えなかった」と書いているが、これもローマ人の面白い特性だったのだろう。それは、前後するがこの巻の冒頭で触れられている、「どうかした民族、即ちかつての敵を、かなり早い段階で自分たちの軍の最高指揮権を握る執政官に任命してしまう」という寛容さにもつながる。
    こういうところが、ローマ文明を探求する人や、それをこのような本にして紹介する著者、それを読む読者にとって堪らないローマ人の魅力なのだろう。

  • 今巻は第1次ポエニ戦役とその後の物語。前巻でイタリア半島を統一したローマが、目と鼻の先のシチリア島をめぐって、フェニキア人の都市国家カルタゴと対立する。海を渡る必要性に迫られて、初めて海軍を持つローマ。カルタゴ側は、ハンニバルのお父さんのハミルカルが登場。ハンニバルとローマとの因縁は親子二代にわたるのか。

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