ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181530

感想・レビュー・書評

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  • 上中下巻のまとめ。
    ハンニバルとスキピオ。世界史で授業でそんなに取り上げられていなかったから、稀代の戦術家とは知らなかった。まぁ、戦史の勉強ではないからね。
    正面からの歩兵戦で、相手に10倍の被害を与えるって、戦術の一大革命だったんだろう。
    カルタゴの滅亡は、気の毒だった。それに引き替えギリシア人たちがどんどん劣化していくw。
    ポエニ戦争のポエニはフェニキア人の意味。

  • 前半は、スキピオの祖父やハンニバルの父親たちが紀元前264年から前241年にかけてシチリア島を奪い合う第一次ポエニ戦争の戦記。後世から見ればハンニバルらが活躍する第二次ポエニ戦争の前史であるが、当事者たちは、戦争が始まる時も終わる時も、まさかこんな因縁の対決となるとは誰も思っていなかっただろう。海軍を持つどころか、海での戦いなどついぞ経験したことがなかった陸のローマと、既に西地中海を手中に治めていた経済大国カルタゴ。数字だけ見ると有利であったカルタゴを、戦続きで洗練された戦術を持ったローマが幾多の海難事故に見まわれつつも撃破していく戦歴はまさに痛快。そしてついにはローマの勝利で一旦は両者とも矛を収めるが、それでおしまいとならないのが人の戦争の歴史というものか。

    恨みつらみを背負ったまま、スペイン征服により力を蓄えるハンニバル一族。西に続き、東のアドリア海と北のケルト人領土で戦火を広げるローマ。いよいよ本番ともいえるハンニバル戦記本戦は、次巻に持ち越し。後半で語られるのは、さらに発展が進むローマのシステム。

    シチリア・コルシカ・サルデーニャと支配領域が増えたことによって拡張される連合方式と、街道のインフラ整備。選挙と抽選でバランシングした軍団編成のシステム化。そして編成方法はもちろん、同盟軍の編入単位から戦列の組み方、軍規や賞罰、宿営地建設方法にまで至る、徹底されたマニュアル化。軍のトップから一兵卒に至るまで、一年単位で離散集合を繰り返すことから必要とされた共和国ならではのこのシステム化・マニュアル化こそ、人類が獲得すべくして獲得した現代にまで続く”システム"という考えの発端なのではないかとさえ思わさせられる。
    しかし、そんな大企業のような内部の変化には強いシステム化・マニュアル化が、ベンチャーのようなマニュアルを必要としない熟練達と、それを率いる天才に如何に苦しめられ、またそれを克服するのか。因縁の対決は次巻に続く。

  • 本が薄くてサラッと読めるけど、それは筆致のなせる業であって、内容は全然薄っぺらくない。世界史を殆ど学んでないから、ポエニ戦役って言われても全くピンとこないけど、何となく流れは見えてきた。シチリア島をめぐるローマ対カルタゴの合戦なんですね。俄仕立てに思える海軍で勝利しちゃったり、いかにも古代って感じの戦果が目白押しだけど、これから有名人とかが台頭して、いよいよ戦略が大事になってくる、って流れなんでしょうか。

  • 一巻に同じ。

  • 140114 4冊目
    続きが読みたい。
    いよいよハンニバルの登場か。

  • 「-」

    ハンニバルの父

  • ここから3巻は、『ローマ人の物語』序盤の華「ハンニバル戦記」だ。全編を通しても、「ユリウス・カエサル」に次ぐ面白さだろう。ただし、序章にあたるこの巻には、まだハンニバルは登場して来ない。彼の父親のハミルカルと、それ以前の時代だが、地中海の覇権をかけて、ついにローマとカルタゴが第1次ポエニ戦役を闘うのだ。この時から、陸の王者であったローマも海軍を持つことになった。「カラス」の発明など、前半は躍動感に溢れるが、それだけにローマ軍団の説明となる後半は、幾分かの退屈は免れない。しかし、いよいよハンニバルの登場だ。

  • ローマが、時代の大きな流れの中、地中海の覇権国家へとなってく大きなきっかけを扱う巻。当時一流の大国家カルタゴを敵に回すことになり、戦いの場が、地上から海上へ移り行く。戦いの中で、ローマの最大にして最強の敵ハンニバルが生まれることになる。

  • ハンニバル戦記上。ローマの力が大きくなり、地中海シチリアにさしかかる。当時の地中海の大国といえばカルタゴ。カルタゴとの戦争を紡いだ巻の上巻である。海とは関わりを持たなかったローマが海洋都市国家であるカルタゴと、見よう見まねで海戦をしたり、いきおい勝ってしまったり、無知からくる極端な海難事故で痛手をこうむり、おしつおされつ、しかし確実に力をつけ国家にまで成長するところ。ハンニバルが登場する前まで。
     ローマ人がなぜ特別だったのか、いろいろ考えつつ読み進めるが、ここでもいろいろと見えてくる。著者も強調しているが、ローマの価値観の第一は名誉であるというところ。それなので物質的な損得以上のものが市民を突き動かしていたというところが特別だ。戦争は勝つこともあれば、負けることもある。ローマもしかり。しかし名誉心からくる、犠牲精神と寛容さがローマを戦争の時代をして特別たらしめたと感じることができる。

    13/8/21

  •  イタリア半島を統一したばかりのローマがカルタゴと戦ったポエニ戦役のうち,最初の第一次ポエニ戦役とその戦後の両国の対応までが物語られています。
     はじめて海軍を作り,海戦に訴えたローマと,当時の一大経済大国で海軍国,海運国であったカルタゴの違い,そしてローマが勝ち,シチリアを支配下に置き,はじめて「属州」を作ったローマの飛躍などがこの作品での読みどころです。
     ハンニバルとスキピオ・アフリカヌスが活躍する第二次ポエニ戦役の前哨戦としての物語として面白く読めると思います。

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