ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181554

作品紹介・あらすじ

一時はローマの喉元に迫る勢いを見せたカルタゴの将軍ハンニバルだったが、ローマの知将スキピオのスペイン攻略に恐れをなした本国から帰還命令を受ける。それを追うスキピオ。決戦の機運が高まる中、ハンニバルからの会談の提案が、スキピオの元に届けられた-一世紀以上にわたる「ポエニ戦役」も最終局面に突入。地中海の覇権の行方は?そして二人の好敵手の運命は。

感想・レビュー・書評

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  • ポエニ戦役ではスキピオのローマがハンニバルに勝ちその後マケドニアとカルタゴが滅亡、ローマは地中海を制覇します。

    スキピオも素敵だけど、ハンニバルもかっこいい。「ローマは一日にしてならず」の巻で武将同士の会話があったが、ここで再び紹介されます。この二人だったんだ!

    何気なくあちこちレビューを見て回ったら、巻を追うごとにレビュー数が減っているように思いました。読者が徐々に減ったのかしら?ハンニバルがイタリアに遠征するとき次々兵士が減っていくのが想定内であったのと重なります。

    ここまでローマは「穏やかな帝国主義」できたけど、徐々に様相が変わっていきます。コリント、カルタゴ、スペインのマヌンツィアを破壊。

    ローマはだんだん嫌な国になっていくのでしょうか?私は40巻まで読み通せるでしょうか?

  • イタリア半島内で暴れまわるハンニバルをなんとか押さえ込んだローマ。そんな中、スキピオはカルタゴ本国をつくことを提案。
    元老院は揉めるものの、スキピオはついにカルタゴ攻略を許される。
    カルタゴからハンニバルが呼び戻され、遂にザマでスキピオとハンニバルの対決に。この戦いを制したローマ。ここで、第2次ポエニ戦役が終わる。
    しかし、マケドニアに不穏な動きが起こり、ローマはギリシア世界に介入することに。マケドニアは、一旦はローマに押さえられる。

    その後、マケドニア、カルタゴがローマに対して反旗を翻し、両国およびスペインはローマによって属州化される。ローマは、穏やかな帝国主義から強硬な帝国主義へと方針を変える。
    以後、ローマの方針はスキピオが進めた穏やかな帝国主義路線から、スキピオを失脚させたカトーの主張する強硬な帝国主義に変化した。

  • ハンニバル戦記最終巻。ハンニバル戦争の決着から、その後のローマの覇権化まで。ローマ帝国主義が、開放的なものから排他的なものになっていく様は残念極まりない。人の業を感じざるを得ない。にしても、ハンニバル戦争の流れは面白すぎる。

  • カルタゴが地上から消滅し、ローマが地中海の覇者となるまで。

  • ローマはその頃の大国カルタゴと戦いを始めてから70年ほどで、地中海の覇権を握るまでになります。そして遂にカルタゴという国が滅亡する第三次ポエニ戦役終了までがこの巻では述べられています。ザマにおける戦いで、スキピオがハンニバルを破り、それから約20年後スキピオは病に倒れ、同じ時期ハンニバルも亡命先で自殺します。ハンニバルとスキピオ、年齢は違っていても二人の戦いは見ものでした。システマチックな戦術が身についていたローマ軍はスキピオの子孫がその後も活躍します。ローマが何故かくも短期間の間に勢力を拡大できたのか。ローマの特色が様々に述べられていますが、敗者に対する寛容な態度、奴隷にさえ市民権をを与えるような自由な社会のあり方を長いこと続けた結果、他の民族も味方するようになったのだと思います。
    これが、紀元前1〜2世紀頃の話、年表を見ると日本では稲作を始めていた弥生時代…同じ地球上でも地域間格差のあまりの大きさにびっくり!

  • ハンニバル戦機が終わり、マケドニアが滅び、そしてカルタゴが滅んだ。 いよいよローマの帝国化が強行になり、ゆるやかな占領から相手の国を完全に滅ぼす強固な占領政策となっていった。

  • 自宅療養で通院リハビリしながらこのシリーズを読んでいる。
    本巻はカルタゴのハンニバルがローマのスキピオに敗れる第二次ポエニ戦役とこの2人の名将の晩年の悲哀、それからマケドニアとカルタゴの滅亡が描かれている。ローマの寛容主義と武力による制圧とに揺れるローマの姿も面白い。地中海の覇者となったローマがこの後どのような道を辿るのか楽しみだ。

  • 話としては、他の(ローマ以外の) 話ほど面白くなかったが、スキピオには興味が持てました。

  • スキピオとハンニバルの戦い。
    第二次ポエニ戦争の終結と、スキピオのなんとなく残念なようで格好いい気もする最後。
    カルタゴの滅亡で終わる。
    スキピオアフリカヌス格好良かったです。

  • なんということだ。分かっていながらも、やはりハンニバルの失脚と死、カルタゴの消滅は心に大きな穴を開ける。スキピオとハンニバルが同じ年に亡くなるとは、全く映画のような展開だ。そして、ポエニ戦争後のローマの所業はどうしたことだろう。カトー1人のせいではあるまい。カルタゴは消滅させなくても良かったのではないか、とやはり思わざるを得ない。そして、カルタゴに対しても、どうしてその心意気をハンニバルが活躍していた時に出せなかったのか、と虚しくなる。あの時にローマのように挙国一致していれば、ローマではなくカルタゴが覇者となっていたかもしれない。
    これからのローマはどうなるのか。楽しみだ。

  • スキピオ大活躍。大盛り上がりのハンニバル戦記の最終巻です。
    ローマ強いですね。日本は文明築くの遅いですね。こんなに色々あったのに日本はまだ弥生時代なんて、なんて歴史の短い国なんだ。カルタゴなんて700年も栄えたあとなのに。
    中国だと秦の時代。とすると神話の時代からあんまり下ってないくらい?
    しかも日本の家屋は、火を守る前提で作られているから、人間はわりかし長い間、洞穴に住んでいたとかいないとか、誰か言っていたような。

  •  ずっと読めなかった塩野七生。何度途中で投げたことか(^◇^;)。遂に読めて感無量(笑)。

  • 四巻に記載

  • GSRアウトプット宿題

    1回目
    時間:15分
    目的:ハンニバルとスキピオの運命(といってもしっかり意識はしていなかった)
    概要:トロイ、アッピア街道、ローマ、ローマ軍、スキピオ、ハンニバル、ハンニバル戦争、マケドニア、カルタゴ滅亡、騎兵、象、止まらないのが弱点、斥侯、ファビウス、コルネリウス、カンネ、アレキサンダー、第三位、第二次ポエニ戦争、ザマの戦い、闘争、厳格な帝国主義、緩やかな帝国主義、カトー、寡頭制、布陣、これまでの敵なら、長靴の先、一敗地に塗れる、敗残兵、娘、弟、王、32歳、38歳、12年、あなたが私の立場ならどうします?、何をお求めです?、会談、後にした
    学び:ハンニバルとスキピオが話合いをした。

  • スペインからローマに戻ったスキピオが執政官になり、紀元前202年、有名なザマの戦いでハンニバルを破って第二次ポエニ戦争に決着をつける。その後、ローマはギリシャ、マケドニア、小アジアへと覇権を強め、紀元前146年、第三次ポエニ戦争でカルタゴを滅ぼして地中海全域を「マーレ・ノストゥルム(我らが海)」とする。

    この辺りの出来事やエピソードは、明らかにローマ人の側から、もしくはローマを通して見たギリシャ人の残した記録を元にしていると思われるが、カルタゴ側から見たポエニ戦争の記録は残っていないのだろうか。この時、カルタゴ人は何を考えていたのだろうと考える場面がいくつかあったので。

  • 稀代の戦術家も一人の力では、国を挙げて対抗するローマには勝てなかった。

  • 前巻に引き続き、ハンニバルが中心。ただし、ハンニバル死後のカルタゴの行く末についても書かれている。

    前巻は歴史小説色が強かったが、本巻は再び歴史評論色が強くなっている。

  • スキピオとハンニバルの死、カトーの台頭、マケドニアとカルタゴの滅亡……。ハンニバル戦争を終えて大きく動く地中海。
    ハンニバル戦争を超えて帝国主義へと傾いていくローマ。ローマの庇護を受けながら声高らかに自由を求めたギリシア。冷めた目で見るローマ。属州であることに自覚的であった方がまだいい。
    なんだかどこかの国の話にも聞こえて耳が痛いような、、、

  • ローマを圧倒し、脅かしたハンニバルが敗れ、姿を消していく。現代においてすら戦略家として評価されているハンニバルが、ローマ史全体の中ではこれほどまでに序盤に登場した脅威だったのか、というのが、世界史をちゃんと読んでこなかった身としてはとても意外で、面白い巻だった。

    ハンニバルや、これに対抗するローマのスキピオの活躍を描写する中で、著者が論じる「成功」や「リーダー」に関する論が面白く、ためになる。ちょっと長いが引用する。

    「年齢が頑固にするのではない。成功が頑固にする。成功者であるがゆえの頑固者は、状況が変革を必要とするようになっても、成功によって得た自信が、別の道を歩ませることを邪魔する」

    「優れたリーダーとは、優秀な才能によって人を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない」

    現代人の社会生活にも通じる至言だと思う。

  • とうとうクライマックス。
    ハンニバルとスキピオ。
    ひとつの時代が終わり、また新しい時代へと向かう

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