ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中) (新潮文庫)
- 新潮社 (2004年8月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181592
感想・レビュー・書評
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■評価
★★★✬☆
■感想
◯カエサル無双が始まる巻。物語が動いていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
★3.5かな。
作家がこの人物を愛してやまないことが分かります、ノリが違うことはこの時代のことをあまり分かっていない読者たる当方ゆえに余計に分かるかも。グイグイ引っ張る形で読ませてくれます。
でも盛者必衰ではないけれど、本当はこの輝かしい人物の中にその後の没落の鍵があるんではないかと。そこを掘り下げて欲しいと思うのですが、どうもこの作家にそれを求めるのは酷のようです。 -
三頭政治確立からガリア戦役5年目まで。
あまりに巧みな政治手腕と軍事手腕。
帝政への道筋を自ら描いて一直線に進もうとしているかのよう。 -
カエサルが41歳で執政官になって、ガリア戦記途中までの話。ガリア戦記自体もすごいと思うものの、よく40までパッとしない状態で、いきなり三頭政治を成立させ、ガリア戦記を責任者として始められたな、と。しかも青年時代を振り返っても、芯は感じるものの、とても志・野望・深謀遠慮があったとは思えない。にも関わらず、時代の2トップであるポンペイウスとクラッススを抱き込めたな、と。結局実績や能力もさることながら、人心掌握術(術というほどチープなものじゃないと思うけど)がその人の最終的な評価を形作るのかもしれない。
P235
「あの人が、カネの問題で訪れた連中相手にどう対するかを眼にするたびに、わたしの胸の内は敬意でいっぱいになるのだった。それは、あの人がカネと言うものに対してもっていた、絶対的な優越感によるものだと思う。
あの人は、カネに飢えていたのではない。他人のカネを、自分のカネにしてしまうつもりもなかった。ただ単に、他人のカネと自分のカネを区別しなかっただけなのだ。あの人の振る舞いは、誰もがあの人を支援するために生まれてきたのだという前提から出発していた。わたしはしばしば、カネに対するあの人の超然とした態度が、債権者たちを不安にするよりも、彼らにさえ伝染する様を見て驚嘆したものだ。そういうときあの人は、かの有名な、カエサルの泰然自若、そのものだった」 -
ガリア戦役が佳境に入ってきた。
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主にガリア戦記です。
ガリア人&ゲルマン人相手にフランスとドイツ内を縦横無尽に戦いまわります。カエサルはすでに40代ですが、ものすごく精力的でびっくりします。春から夏にかけては、戦闘をして冬には戦闘ができないので、それ以外の属州の管理をまとめてやっておく。
いったいどんだけ働いてるんだよ!、ってくらい働きまくってます。
ブリタニア侵攻は、筆者の書き方面白かったですね。英国紳士も、カエサルが来たときにはまさに原住民だった、的な表現をしています。確かに、カエサルが来るまで、フランス・ドイツ・イギリスが全く文明化されていないわけで、今ヨーロッパの主要国として文化水準がさも高いようにしているのが面白いですね。実は、日本はまだ弥生時代なんですよね。。。。 -
ガリア戦記の真っ只中.ドーヴァーも渡る.
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カエサル、ガリアで大暴れの巻。
昔世界史で習ったときは、カエサルは「ガリア戦記」を書きました、くらいの知識だったんですが、このガリアでのキャリアがカエサルの主な戦果なのですね。
体格に優れ、かつ一度屈服させてもまたいつ裏切られるかわからないガリア人を相手に、連戦連勝です。
ローマ帝国が着々と支配圏を確立させていっているのがわかります。
後の巻ともかぶるんですが、面白いな、と思ったのは
「カエサルがローマの領土範囲を明確にイメージし、帝政時代のローマもそれに従った」というくだり。
あまりにも大きくなったローマですが、カエサルが明確に防衛ラインを決めて、かつ、この巻での戦いのように防衛圏内の平和を確立させる。
このような基礎固めがあったからこそあそこまで磐石な帝国ができたのかもしれません。