- Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101197135
感想・レビュー・書評
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上下巻、合わせて約1500ページ。
第二次世界大戦直前のフランスを舞台に、各国のスパイ戦が激化する中で(!)一人の青年がカーレーサーを目指す青春小説(合ってるかな?)
しかも、彼は貴族の息子でありながら左翼運動で日本に居られなくなり、渡仏先でもスパイの嫌疑をかけられ、命を狙われながらもレースに参加するという、波瀾万丈すぎるストーリー。
主人公の「革命とレース」に惹かれるという気持ちにイマイチ共感できなかったのだが、何故か、ラストの一般道でのレース中、一瞬分かった気がした。
義正、シュミット、ベルニーーニの対決、ブガッティで揃えてくれたのは嬉しいサービスだった。
とにかく、いろんな事件がありすぎてコメント仕切れないが、日本の諜報活動は、ドイツやソ連のスパイ相手では自殺行為だったのではないだろうか。
在駐武官の仕事は、実際どんなものだったのだろう?興味が湧く。
二重三重スパイ疑惑で、登場人物皆が怪しく見え、緊張続きで何とか読み終えた。…疲れたが面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史冒険ものとして、秀逸なスリルがある。スパイものと自動車レースとが見事に絡み合って、渾然としてラストに収斂する。長さはまったく感じず。
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革命は富の濫費に対する反抗だが、それは生への濫費という前近代的感覚、万有の精神がなければありえぬ。人は革命であれレースであれ、その万有の快楽の極まりを見る。
行動する人間は全体を展望することができない。しかもこれは静謐な全体ではなく、揺れ動き、盛り上げ、熱狂し逸脱する危険な全体なのだ。(三島由紀夫)
善という道徳の目標は、過剰を惹き起こすきっかけになりはするが、過剰それ自体とは異なっている。(ジョルジュバタイユ)
革命とは。人は奇蹟を求めると同時に、期待したものが何物でもなかったものへと解消されていく無の瞬間を味わいたい。理念という魔物、その達成という栄冠に情熱を捧げる自分であって自分でない瞬間を人間という生き物は求める。 -
面白かった。
嫌いな人の気持ちもわかる。
展開が都合よすぎるもんね。
下手すりゃ喜劇になっちゃうのを、筆力で持ちこたえたって感じ。
それでもいいんだと思う。
ハラドキの極上エンタメであることで十分、これで満足。
戦後編も読みたかったなあ。 -
過去の既読本
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主人公の義正は、下巻に至ってもますます周りの過剰なサポートを受ける。脱獄とかレースに関係ないことが色々あって、最後にいきなりGPに出場する(資格とか要らないの?)。愛人は勝手に身を引いてくれるし、意中の令嬢は勝手にパリに来てくれるし、父親とも和解できたし、本当にこの人は持っている。極貧から徒手空拳で成り上がった北野晶夫の苦労を思うと、不憫である。そもそも義正が四輪レースに夢中になった動機が一目惚れとしか描かれていないのが弱い。最後に須崎老人が解釈して見せているが、到底納得できるものではない。
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スパイが入り乱れる様子や、自動車レースに賭ける熱い思いが伝わってくる。
人間関係も複雑に絡み合うので、混乱して登場人物表で確認したりして読んだ。
面白いことは、面白いのだけど、ちょっと詰め込み過ぎの感がある。
この長さにするのなら、本の厚さをもうちょっと考えて欲しかった。
「ソロモンの偽証」みたいに文庫化の時には1章を上下巻に分割するとか。
本が重くて長い時間読むと腕が痛くなり首筋が凝ってきて辛かったです。 -
やっぱ長いよ~。
中身が詰まりすぎて、何の話なのか
読んでてイラっとしてしまった。
途中途中を斜め読みで終了。
もちっとシンプルなのが好きだな~。 -
良かった! やっぱり時代背景と舞台設定がいい。さらに共感しちゃう青年主役と、彼に吸い寄せられる仲間達が登場する。この生命を何に使うのか? もう読み進むこと間違いなしかと。東西スパイ戦も絡み、物語ラストはレースさながら疾風怒濤のごとく読み終えました。良かったー!