電車をデザインする仕事: ななつ星、九州新幹線はこうして生まれた! (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206561

作品紹介・あらすじ

1泊2日25万円の超豪華寝台列車なのに予約は満員の「ななつ星」。「縦長の目」が印象的な800系新幹線「つばめ」。斬新で魅力的なデザインはどのようにして生み出されたのか。「最高レベルのものを提供し、お客様に圧倒的な感動を五感で味わってもらう」というコンセプトを軸に、JR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車が大成功した経緯と今後について語る、プロデザイナーの発想術。

感想・レビュー・書評

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  • 効率重視でものづくりが行われていく世の中であっても、ストーリーを重視して設計することが仕事の達成感につながるという想いが強まりました。

  •  デザイナーの水戸岡鋭治さんが、その仕事やデザインの心構えについてかかれた本。
     デザイナーという仕事が、どんなことがあるか、努力すべきことは何かを詳しく書かれています。

     電車などの公共デザインは万人に受け入れられることが必要で、その上でデザイナーがどんなアイデアを織り込んでいくかを求められるそうです。
     水戸岡さんは、それまでの電車にはあり得なかった木などの和の素材を取り入れて九州新幹線をデザインなさいました。発想の奥には、日本の伝統や心地よさを追求したのだと感じられます。
     その他、 この本の刊行までに水戸岡さんが手掛けてきた列車が数多く載っています。

     これから進路を考える中高生にもいいですし、大人にもデザインの仕事にが垣間見えますのでお薦めします。

  • この人のデザイン自体は秀逸以外の言葉が浮かばない。ただ文章は自慢話が鼻につく。一つ一つの仕事を丁寧にと言う割には自分の仕事は全部スムーズに行ったみたいな書き方するし、もうちょっと失敗談的なものが欲しかった(明らかに天才型の人なので無理なのかもしれないが)

  • 0012
    プロダクトのことはよく分からないけどデザインということで興味を持ち読んだ。
    どの章もどの分野のデザイン、というか仕事の通ずるものだった。
    私はデザイナーにはなれないのかなとも思った。

  • 「ななつ星in九州」に代表される水戸岡鋭治氏のデザインの数数。わたくしはかういふ、庶民に関係のないものには関心がありませんでした。むしろ背を向けてゐたといふか。
    それよりも沿線住民が便利になるやうなダイヤを組み、ごく普通の人が利用しやすい列車を走らせていただきたいと思ひますので。

    しかし本書を読むと、水戸岡氏がデザイナーとしていかなる覚悟と信念を持つてゐるのかが理解でき、今までどちらかといふと斜に構へてゐた自分を反省したのであります。いやあ失礼しました、申し訳ない。誰に向つて謝罪してゐるのかと問はれると困るが。

    まづ、水戸岡氏がしばしば口にする「正しいデザイン」。これは、売らんが為のデザインではなく、使ふ為のデザインであること。即ち、美しいデザインではなく正しいデザインであると。公共の下僕になれとまで発言してをります。
    また、デザイナーの仕事に於ける三要素として、「比較しない」「不都合を受け入れる」「対立構造をつくらない」を挙げてゐます。デザイナーの仕事とは、まさに不都合の連続ださうで、デザイナーが好き嫌ひを言つてはならない。不都合から逃げてゐると成長がない。つまり不都合を受け入れる事で能力が伸びてゆくと。これは他のジャンルでも言へさうです。

    イラストレーターとデザイナーの相違についても述べてゐます。イラストレーターといふのは、アーティストである。スタア的な存在と申せませうか。一方、デザイナーといふのは一人で仕事ができる訳ではない。職人の面が強いさうです。
    デザイナーの中には、公共の為といふ視点を忘れ、スタア気取りで「自分の個性」とやらを出したがる人がゐるみたいですけどね。

    常に公共の中に身を置いた人の事を考へる水戸岡氏。彼の仕事が多方面から受け入れられ、多くのファンを生む道理も分からうといふものです。
    デハデハ、今日の日は左様なら。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-801.html

  • 20190427 下京図書館
    鉄道ファンのための本ではない。デザイン、設計に興味があれば、必ずや響くであろうフレーズがいっぱい。必読といえるかもしれない。

  • JR九州の特急列車のデザインで知った三戸岡氏の著作。前半はデザイン全般、後半に「つばめ」や「ソニック」など個別の列車デザインに関することを配した構成。JR九州のコンセプトであるD&S=デザイン&ストーリーという考え方が素晴らしい。基本的には観光列車に傾注しているJR九州だが、九州新幹線も含めて、乗客がゆったりと過ごせる座席数というデザインで列車を運行するというのは、経営的にアリなのだ。もし首都圏の特急列車で同じようなデザインがされたら、例え自由席がなかったとしても私は受け入れることができそうだ。

  • デザインだけでなく、そこにストーリーを持ちこまないと

  • 文庫で見つけた
    ななつ星も含めた新しい話を

  • 色々な列車などの外装や内装のデザインが紹介される後半部分は、ここまでこだわるものなのかと唸らされるとともに、読んでいて、この列車に乗ると楽しいだろうなと感じた。
    デザインという仕事は、いわば独断専行の職人気質のもので、奇抜なデザインは天才肌の職人による産物だと思っていたが、実は相当にコミニュケーションを必要とする、様々なニーズの翻訳的仕事であり、チームプレーにより完成するものだと知り、デザインの仕事に対するこれまでの認識を改めた。恥ずかしながら。

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著者プロフィール

1947年岡山県生まれ。県立岡山工業高校デザイン科卒業。サンデザイン(大阪)、STUDIO SILVIO COPPOLA(ミラノ)を経て、72年ドーンデザイン研究所設立。87年「ホテル海の中道」アートディレクション担当。88年「アクアエクスプレス」で鉄道デザインに進出。JR九州をはじめとする車両デザイン、公共デザイン、建築物・商業施設デザイン等に携わる。

「2023年 『水戸岡鋭治 デザイン&イラスト図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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