空を飛ぶ恋: ケータイがつなぐ28の物語 (新潮文庫 し 22-71)

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制作 : 新潮社 
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101208053

作品紹介・あらすじ

伝えたい気持ち、いえなかった言葉、ときめく心が空を駆けめぐる。彼女から彼へ、娘から父へ、夫から妻へ、男から女へ、ケータイがつなぐ心と心。終わってしまった恋、忘れられない過去、まだ始まらない未来があなたに呼びかける。ひとりぼっちの部屋から、街の片隅から、遠い国から、もどかしい想いを乗せて飛ぶ言葉たち。当世一流の人気作家たちが紡ぐ、28のケータイ・ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  •  ケータイが繋ぐ人と人の絆を描く28編。これは「週刊新潮」誌上にて2003年11月20日号~2006年3月16日号までKDDIの提供により掲載されたショートショート作品をまとめたものだそうだ。つまり、KDDIの広告として短い小説を毎月掲載していたらしい。こういう取り組みは結構よく見かけるもので、提供する企業によって設定された一つの共通テーマのもとに複数の作家が作品を寄せるので、作家の意外な一面を見ることができたりするのが醍醐味である。

     本書では島田雅彦、小池真理子、大岡玲、阿川佐和子、重松清、堀江敏幸、唯川恵、石田衣良、高橋源一郎、藤田宜永、川上弘美、吉田修一、谷村志穂、立松和平、藤沢周、高樹のぶ子、佐野史郎、佐伯一麦、椎名誠、平野啓一郎、星野智幸、柳美里、町田康、金原ひとみ、俵万智、高村薫、中村文則、北村薫と、そうそうたるメンバーがケータイをテーマに作品を寄せている。ジャンルも経歴もバラバラな作家たちはいったいどんな物語を紡ぎだすのだろう。

     瑞々しい愛情、大人のほろ苦い恋愛、家族の絆、かけがえのない友情。人と人を繋ぐ強い「想い」を届けるのはケータイが飛ばす目に見えない電波だ。
     いつの間にか僕らの生活になくてはならないものになってしまった携帯電話。総務省によれば人口普及率は今や80%を超え、90%に迫る勢いだという(2009年6月末現在88.5%、PHS含む)。
     生活の深いところに入り込み、やがてスマートフォンへと進化を遂げようとしている携帯電話。この小さな機械が人間のコミュニケーションを変貌させていることに嫌悪感や言いようのない不安感を感じている人はまだまだ多いのかも知れない。
     メールや電話ばっかりしていないで、直接会うべきだ。人間のコミュニケーションの基本はそれだと僕も思う。しかし、この小さな機械が言いようのない孤独を埋めてくれることもあるのである。

     オンラインで君と繋がっている。孤独で眠れない夜、布団の中で携帯電話を開けば手のひらサイズのディスプレイの向こう側には友人や恋人や、たくさんの絆が繋がっている。
     テクノロジーが人と人の繋がりのあり方を変化させようとしている。だがそれは人類に欠けた「何か」を補完してくれる変化なのかも知れない。

     もちろんそんな話が本書に収録されているわけではない。だが、28編の物語を読み進めるうちに、携帯電話が持つ可能性に思いを馳せてしまったのだ。
     もちろん話はそう単純ではない。そこに弊害もたくさん現れてきているようだが、きっと人類はそれも乗り越えていくのだろう。
     結局、人は人と寄り添うことで生きていくのだ。僕はメールを打つボタンの感触に、君の手のひらの温かさを確かに感じている。そんなコミュニケーションが、空を飛んで空間を超えて可能になっていく。
     28人の作家が描く28の絆の物語。読者は大切な人の姿を思い浮かべながら読み進めるだろう。それは決して遠い未来のものではなく現在の物語なのである。

    ※ちなみに椎名誠は沖縄を舞台とした「ナブラ」という作品を寄せているのが沖縄に住む僕としては嬉しかった。

     暗闇の中、君はケータイをそっと開き、そのディスプレイが小さな光を放つ。その柔らかな光が君の顔と、手の届く未来を照らし出している。

  • この長さの話を連ねられてもどれも発展しきらないから読んだ気にはならない。大岡怜のが一番よかったかな。

  • 28人の作家さんが書いた携帯電話にまつわる短編集。
    、、、。
    思ってた以上に超短編(^_^;)
    まぁ、この本の厚さで28人の作家さんが参加してるんやから仕方がないと言えば仕方がないけど、、、。
    アタシには少し物足りんかったなぁ。
    あと、フォントサイズと行間の広さにも少し不満あり(*_*)

    ☆島田雅彦………大事ななくしもの
    ☆小池真理子………虹の彼方に
    ☆大岡玲………絵文字
    ☆阿川佐和子………拾い主からの電話
    ☆重松清………オーヴァー・ザ・レインボウ
    ☆堀江敏幸………月の裏側
    ☆唯川恵………大人の恋
    ☆石田衣良………渋谷で七時
    ☆高橋源一郎………その日
    ☆藤田宜永………じんじん
    ☆川上弘美………不本意だけど
    ☆吉田修一………荷解き
    ☆谷村志穂………恩返し
    ☆立松和平………明日はきっと
    ☆藤沢周………夢観音
    ☆高橋のぶ子………運命
    ☆佐野史郎………狂い咲き
    ☆佐伯一麦………海からの信号
    ☆椎名誠………ナブラ
    ☆平野啓一郎………一枚上手
    ☆星野智幸………定年旅行
    ☆柳美里………7時間35分
    ☆町田康………断崖で着信する
    ☆金原ひとみ………MOBILE AMEBA
    ☆俵万智………パールピンクの窓
    ☆高村薫………ケータイ元年
    ☆中村文則………着信
    ☆北村薫………ふっくらと

  • 「ふっくらと」北村薫 (『1950年のバックトス』に収録)

  • いろんな作家さんが書かれた『携帯』をテーマにした短編小説集。一通り読みましたけど、意味の分からない物語も混ざっています。

    最後の北村薫が書かれた『ふっくらと』と、その前の中村文則さんが書かれた『着信』は良かったです。

    最初の物語がいきなりホラーっぽかったので、それで引いてしまった部分もあります。

  • 図書館にて。
    こんな人まで?という人も筆者として名を連ねていて楽しめた。
    携帯がいまやいろいろ人生に影響を与えているんだなと思った。

  • 島田雅彦、小池真理子、大岡玲、阿川佐和子、重松清、堀江敏幸、唯川恵、石田衣良、高橋源一郎、藤田宜永、川上弘美、吉田修一、谷村志穂、立松和平、藤沢周、高樹のぶ子、佐野史郎、佐伯一麦、椎名誠、平野啓一郎、星野智幸、柳美里、町田康、金原ひとみ、俵万智、高村薫、中村文則、北村薫による28のケータイストーリー。なんて豪華な顔ぶれでしょう。

  • 読む Reading
    日本の人気のある現代作家28人が、「携帯電話」をテーマに書いたショート・ショート(超短編)集です。字が大きく、写真も入って読みやすいです。あなたはどの作家、どの話が気に入るでしょうか。

  • ケータイの部類に入るかと思ったけど、ちゃんとした作家さん達が書いてらっしゃるので。
    読みやすい一冊でした。
    軽く何か読みたい時にはイイかも。

  • 携帯にまつわるショートショート。
    どれもオチが弱く、めぼしい物語はなかった気がする。
    まぁ「ケータイ」がメインだから、これくらいの軽さでいいのかな。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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