- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101247052
感想・レビュー・書評
-
江戸時代の橋は駅のよう。
待ち合わせ場所だったり、いつもすれ違うひとがいたり、橋が行動範囲の境目だったりする。
橋が出てくる物語が集められた『橋ものがたり』。
幸せに終わるものと心苦しく終わるものと混ぜこぜだけれど、やはりできればいい感じに終わってほしい。
誠実な人が実は、なんてことない亭主が実は、という人の二面性なども描かれていて面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の「約束」で、「うわぁ、こんなピュアな小説しばらく読んでない」と感動しました。
ややこしいミステリや小難しい文学などに疲れ人・飽きた人なんかには特におすすめです。(と言うとこれが浅い小説だと評価してるみたいですが、決してそう言いたいわけではなく、深さと大衆受けの二段構えがめちゃめちゃしっかりしてるやつだと思います、多分)
江戸市民の平凡な男が主人公、そこに女が絡んでくる、というのが一貫した型になっています。起承転結があって、登場人物達の心の動き方もわかりやすく、読後感が良い、かつちょっと切なさもあり…みたいな話。全編、基本的には同じ型の話になってます。
良くも悪くも、今は生きやすい時代だなと思いますね。。自分がこの時代に生まれていたらあっという間に死んでると思う。 -
橋をめぐって繰り広げられるさまざまな物語。
なかでも冒頭の「約束」が強く印象に残る。
二重三重の展開と美しいラストシーン。
いいものを読みました。 -
目次
・約束
・小ぬか雨
・思い違い
・赤い夕日
・小さな橋で
・氷雨降る
・殺すな
・まぼろしの橋
・吹く風は秋
・川霧
江戸は水の都だったので、大小合わせてたくさんの橋があった。
だから日常的にわたる橋はもちろんあるのだけれど、それでも比喩的に橋を渡るということが別の世界へ出ていくことのように、大きな意味を持つ。
基本的に互助社会であった江戸の生活で、互助の網から外れてしまった人たちに向ける作者の目は優しい。
ハッピーエンドばかりではない。
せつなく切れてしまった絆もある。
追いかけたいけれど橋を越えることができないときもあるのだ。
それでも。
人生をあきらめない。
思い描いたしあわせと違うしあわせの形もある。
人が生きる形を様々に見せてくれるさすがの藤沢周平。 -
えっ、どうしてこんなに評価高いの??
たまたま家の本棚にあった。もともと短編集はあんまり好きじゃないが、とりあえず手にとった本。
一つ一つが、ふつーに何でもないお話だし。いや、ふつーに何でもないのは別に嫌いじゃなくて、すごいどんでん返しとか事件とかなくても好きな本は好きなんだけど、このお話からは、何もピンとこなかったという方が表現としては正しいかも。
しかもちょいちょい色気入れてきてて何だかいやらしいし。。
途中で読むのをやめちゃうのは嫌なんだけど、もう続き読むのやめちゃおうかなーっていう気に何回もなった。 -
江戸下町の人情が溢れる短篇集。
架空の物語のはずだけれど、やはり、こういう人たちが生活して、いろいろな人生送っていたんだろうなと思わずにいられなかった。 -
時代物っていうだけで、なかなか手をつけずにいたけれど、とっても優しいお話が多くて読みやすかった。一話目から吸い込まれるように一気読み。
甘い。きゅん。