- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101250212
感想・レビュー・書評
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伊坂幸太郎さんのデビュー作。独特の世界観は当時でも斬新だったろうな。
突拍子な展開も面白くて先が気になり、ページをどんどんめくりたくなってしまう。そして、文体か読みやすい。
この作品はあり得ない設定なのだけど、妙に納得して引き込まれてしまう。
引き続きどんどん伊坂作品を読んでいきたい。 -
久しぶりの伊坂幸太郎さんの作品
独特な世界観で何とも言えない不思議な読後感
面白い
癖になるかも(笑)
デビュー作か。。。
案山子が喋る?!
田圃の中にずっと立っているあの案山子
勿論見たことは何度もあるが、自分にとっては何故か存在自体が怖いので、喋るとは更に怖い
他の登場人物もみんな個性的
もう謎だらけ
でもみんなの行動にはそれぞれ意味があって繋がって行く
とにかく『オーデュポンの祈り』と言えば頭の中にすぐ「喋る案山子」が浮かぶようになった -
不思議な世界で浮遊させてくれるような作品でした。
仕事を辞めてしまった主人公の伊藤(28歳)。
「人生をリセットしよう」と、こともあろうにコンビニ強盗を試みます。
この試みで、彼は二人の人物に出会います。
ひとりは、因縁の元同級生で刑事になっていた 城山。
もうひとりは、轟という謎の男。
轟に連れて行かれたのは “誰も知らない小さな島”。
ここからファンタジーが炸裂します。
この島の中心的存在がぶっ飛んでいるのです。
それは、150年立ち続けている優午という名のカカシでした。
優午は未来を見ることができ、喋ることもできます。
島の特別なルールに、伊藤青年は徐々に慣れていきます。
島の人たちの不可解な言葉や行動が散在し
一方で、城山が執念を燃やして伊藤を追いかけ続けます。
収拾がつかなくなり、読んでいて迷路に入ったような気分に。
ところが、最後の十数ページで 一気に景色が変わります。
部屋中にばらまかれたジグソーパズルのピースが
一瞬でシューッと一枚の絵になるように。
まるで、優午の魔法にかかった かのようでした。
伊坂幸太郎さんを読んだことがなかったので
お勧めをいただいて、まずデビュー作から読み始めました。
小説でしか味わえない不思議な世界。
アリスのウサギの穴に落ちたような。
少し前に読んだ「彼岸花に咲く花」もふと頭をよぎりました。
これから少しずつ、伊坂さんの作品にも触れていきたいと思います。 -
伊坂幸太郎さんのデビュー作
全464頁。やっと読み終えることが出来た。
もの凄くシュールな世界観だった。
人語を操り未来がみえるカカシ、優午。
何故優午は自分の死を阻止できなかったのか?
そして、閉ざされた荻島で百五十年以上語り継がれるこの島に欠けているものとは一体何なのか?
この2つの奇妙なミステリーが、読み手に何度も語りかけられながら進む為、終始気になって仕方がない。
そして次から次に登場する個性的な島人と、奇怪な事件が幾重にも謎を巻き起こす。
伏線のような隠喩が多用されながら、時に時空を超え、正体の掴めないまま進行する物語なので、相当に好みが分かれそうな作品だ。
最終的には、島での小さな出来事や、些細な言い回しにも全て意味が持たされているのが分かるのだが、私の場合、没頭して読まないと取り残されそうな構成だった。就寝前にうつらうつらしながら進めた頁は、翌日そっくり読み直す羽目になってしまった笑
それにしても、デビュー作にしてこの奇抜さと独創性!!
伊坂幸太郎さんの特異な世界観を堪能できる作品だと思う。ただ、決して読み易い方の作品では無いと思うので、同作家さん初読みには避けた方がいいかもしれない。
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今をときめく伊坂幸太郎のデビュー作。
読もう読もうと思いつつ、他の本を先に読んでからなどと後回しにしてしまったことを後悔しつつ、それでも今年中に読めて良かったと感動しつつ、ここに紹介します(前置き長い!)。
ジャンルで言えばファンタジックなミステリーというところでしょう。
仙台から少し離れたところにある、100年以上も鎖国状態の荻島に、コンビニ強盗に失敗して逃亡中の主人公が連れ去られて来るところから物語は始まります。
島で出会う奇想天外な人々には、全く度肝を抜かれます。
いつも反対のことしか言わない園山画家、
体重300キロのうさぎさん、島の規律として殺人を犯す桜という青年。
そして事件は「優午」という名の喋る案山子が殺されることから始まるのですが、この非常に知的な案山子が、長年島の羅針盤の役目を果たしてきているのです。
未来を見通す力のあるはずの優午が何故自分の死を知らなかったのか、そこから追求は始まります。
更に、この島には足りないものがある、それは何だろう?と質問が繰り返されるたびに読者も荻島で立ちすくんでいるような気分にさせられます。
卓越した伏線張りと小粋な会話にあふれ、時折主人公の記憶に現れる亡くなった祖母の言葉、というのも意味深に響くのです。
シュールな世界観ながらも、優午との浮世離れしたやりとりと、主人公を追いかける警察官・城山の残忍性とのコントラストが読ませどころでもあります。
作者である伊坂氏の、弱者への言われのない暴力を否定する強烈な願いを込めた作品とも言えるでしょう。
この後の一連の作品にも、登場人物がリンクしているといいます。
最初に読んだのがこの本だったのは幸運だったかもしれません。
皆さんもぜひ、伊坂孝太郎の世界にオルグされてみませんか? -
主人公と同じように、当たり前が当たり前ではない独自のルールを持つ世界に投げ出され、「いや、ちょっとまって、え、なに」と背中を押されて進み、この世界に慣れた頃に突如現実に戻って「これがデビュー作…だと…?」と唸ってました。
雰囲気や心情、状況を表現する言葉選びが絶妙で、知らない世界なのにいつのまにか頭の中に風景が浮かんでいる。昔あった出来事の挟み方も、本編を中断し切らなくて、好き。
伏線回収も気持ちがよかったです。 -
2020(R2)11.7-11.17
コンビニ強盗に失敗し、警察の手を逃れた伊藤は、気付くと見知らぬ島に。そこは江戸以来外界から遮断されている「鎖国の島」。
そこで起こる不思議な出来事と殺◯◯◯事件。
その謎を追ううちに伊藤には、この島に足りないものを見つける。
ファンタジーとミステリーが合体したような、不思議なお話。
途中までは時間がかかった。テンポがのんびりしている。でもそれは、後半に向けて必要な環境設定で、テンポが一気に加速したらページをめくる手が止まらなくなった。
と書けば、★5つのはずなんだけど…。
タイトルの「オーデュポン」の意味も理解できた。
「この島に足りないもの」も分かった。それをもたらしたものもよかった。
だけど、「で、それで?」感が先立ってしまう。
「なるほど!そういうことだったのか!」感が弱い。特に「この島に足りないもの」。なぜそれ?
その理由はきっと物語のあちこちに散りばめられていたのだろうが、読解力の乏しい僕にはそれが分からなかった。だから、あまりスッキリしなかった。
もしかしたら、その「スッキリしないと感じる展開も含めての不思議さ」を味わうのが本書の醍醐味だとしたら、僕は完全に伊坂幸太郎の掌で説教を垂れる孫悟空だ。