旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255194

感想・レビュー・書評

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  • 旧約聖書を大雑把に楽しくある程度理解できるお得な1冊。

    「アイヤー、ヨッ」と叫んでほしいというのが冒頭の1文。これはアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフの主要人物の頭文字。この4人をおさえれば、アブラハムの事蹟は理解しやすくなるといいます。
    本書はアブラハムから書き起こし、有名な出エジプト記を経て、ソロモン王までをそこそこ詳しく描き、その後で神話的部分について触れています。要は比較的馴染みのあるアブラハムから入ることで旧約聖書に入りやすくする構成になっています。
    韻文の多い預言書、すなわちイザヤ書、ダニエル書は駆け足で通り、ヨナの物語については少しだけ紹介するに留めているのも、旧約聖書の複雑さを回避するのに役立っていると思いました。
    著者は「私のこのエッセイ…。好みはともかくらくには読めるだろう。読まないよりはましだろう。西欧の文化に触れるとき、旧約聖書について多少なりとも理解があれば、かならず役に立つ」と自著を評しています。本書で旧約聖書の全体像が不十分ながらでもつかめれば、もうちょっと難度の高い本もスムーズに読めそうです。
    旧約聖書についての入門の入門書としてお勧め。旧約聖書をスルメに例えるのは賛成ですが、ときどき著者がつぶやく駄洒落は少々寒いです。

  • 阿刀田高著『旧約聖書を知っていますか(新潮文庫)』(新潮社)
    1994.12発行

    2017.10.16読了
     阿刀田高さんの短編小説を読んだことがあるけど、その時に抱いた印象と違って、この本は開けっぴろげで、まるでエッセイを読んでいるかのように、さくさく読むことができた。冒頭、いきなり民謡のかけ声から始まり、最後は聖書をスルメに喩えて終わる。聖書の基礎の基礎から入りたい人は間違いなく、この本はおススメ。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000002387387

  • まんがみたいな本。
    そう思うのは最初の数ページを読んだだけでも
    感じずにはいられない。

    でも、
    非常にわかりやすく書かれた本。



    「アイヤー、ヨッ」
    アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフの頭文字


    聖書は新旧2つある。
    旧約はユダヤ教の聖典。タナクとも。

    キリスト教はイエスの福音を伝える
    新約に重きを置くが

    旧約を決して無視せず
    充分な感心を保っている。




    ・アブラハム
    ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神。

    ある日、アブラハムは神の啓示を受けて
    妻サラ、甥のロトとその妻子を連れて
    カナンへ行く(現在のイスラエルのあたり)



    ロトたちはソドムで暮らすことになった。


    アブラハムに子どもがいなかったのめ、
    召使いのハガルをサラは差し出し、
    身籠もりイシュマエルを生む。



    一方、
    ソドムの街の乱れようは
    あまりにもひどかった。


    ある日、旅人2人がロトの家を訪れ
    家に迎え入れた。

    男色の町ソドムは旅人を差し出せ
    という人もいたが、
    旅人は自分のことはいいから
    家族を連れて逃げ出すよう言う。

    ところが
    振り向いてはいけないと言われていたのに
    ロトの妻は後ろを見て、たちまち潮の柱に。

    子孫を残すために
    ロトの娘たちは父を酔わせ
    肌を重ねて身籠る。
    それぞれ男の子がうまれ
    モアブ人とアンモン人の祖先になる。



    また、
    サラは神のお告げ通り身籠もり
    イサクを生む。

    アブラハムは神の声を聞いて
    子どもイサクをいけにえにしようとする。

    その直前で
    神に試されたことを知る。

  • 齋藤孝さんの本で、紹介していたので読んでみた。宗教関係のことはほとんど無知に近いので、教養を増やすために読んでみた。
    著者のおやじギャグや体験談などを交えて、フランクに書かれているためとても読みやすかった。登場人物が多いので、混乱することもあり、戻ったりしないといけないところもある。読みやすく書かれているこの本でこそ、そんな風なのであるから、旧約聖書の原書を読むのは相当な労力がいるんだろうなと、思った。
    アダムとイブ、モーセ、ソロモン、バベルの塔など「名前は聞いたことあるが詳しくは知らない」みたいな話しが、こんな話だったんだと知ることができた。これだけでも、教養を少し獲得できたのかなと思う。この著者の、他の知っていますかシリーズも挑戦したいと思う。

  • 宗教に対してかなりフラットな視点をもつ著者によって、旧約聖書を面白く書いてある。池上彰の本で紹介されてたので読んでみた。 9話以降は飽きてしまい流し読みになったけど、ふむふむと読めた。聖書より著者の脱線した話の方が面白く気になってしまった。

    西洋美術館などに行くと、聖書の知識がちょっとでもあればもう少し楽しめたのかな〜と思うことがある。何事も、知らないよりはうっすらとでも知っている方が良い。

    モーセとかダヴィデ、ソロモンは神話の中の人だと勝手に思っていたので(無知)、旧約聖書は途中から歴史書になるんだと分かっただけでもまあまあ勉強になった。

  • 2015.8.12.Wed
    阿刀田氏の解説本シリーズ。基礎の基礎を面白く説明しているシリーズであり、『新約聖書を知っていますか』を筆頭に全ての作品に目を通したい。
    神話に近い初期。アダムとイブ、バベルの塔、ノアの箱舟。
    歴史観を形作る中期。アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨゼフ、モーセ、ダビデと続くユダヤ教の預言者たちが出てくる。
    カトリック教との繋がりを押さえるにはやはり、新約聖書について知る必要があるだろう。
    イスラム教とユダヤ教がエルサレムを巡って今でも争っている理由の一端を垣間見た。この土地を巡って、バビロン捕囚があったり、モーセの海割があったりと歴史的に興味深い争いがある。現代に生きる歴史観と教養を学ぶことができたので、中東地帯の争いを客観的に見ることを心掛けたい。

  • 旧約聖書の物語を、噛み砕いて軽妙に紹介されている本。作者も言うように、とにかく名前が覚えられなくなる。
    グローバル化が進む中、世界の色々な人とのコミュニケーションを楽しむためには、相手の国のことそして自分の国のことをやはり知っておきたい。
    なかなか名前は覚えられないけど、2回目3回目と必要な時に読み返したい。

  • 分かりやすい旧約聖書。著者の構成力に脱帽。すなわち、スルメの胴体から論じ、頭、そして脚。

    この構成を取ることにより、飽きずに興味を持って読み進めた。また、著者の分からないことは分からないという姿勢にも好感が持てた。所詮、異教徒が大部分の日本人。分かるはずもないのだ。

    ただ、分かろうと努力することはものすごく大事。混迷する中東情勢の理解の第一歩になる好著。

  • 何となく聖書に興味あるけどそこまでは興味ない、という人にはぴったりの本。アイヤー、ヨ!

  • イスラエル/アラブに対する解像度がかなり低いのが気になった。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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