文字渦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101257723

感想・レビュー・書評

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  • なかなか難しい

    ラスト10ページまで読んでたんだけどその後放置してた。
    考えてもよくわからないのでなんとなく読みました。スペースインベーダーの話とか、ルビの話とか部分部分で面白い(わかる)ところもあった。自分は歴史が弱いので、強い人はもっとわかるのかも。

  • 文字が人類のように進化を成し遂げ、時には争い、波乱を生き抜く幻想的な異次元が描かれている。自分だけの解釈では満足出来ず、色々調べたり、他の人の考察を見ながら読み終えた。

  • 文字がひとりでに動き、呼吸し、世代交代し、他の文字を制圧し、テキストからの脱出を試みる。ざっくり見ればメタフィクションであるが、それだけでは語れない異常な文字空間が広がっている。著者の他作に漏れず、理解不能な部分は大いに含まれているが、その圧倒的な理解不能性に酔いしれた。

  •  文字と全力で遊んでいる小説という印象。一般常識に疎い私は気付くのがだいぶ遅れてしまったが、犬神家のオマージュが出てきたあたりで確信に変わった。作者のギャグセンスがいまいちツボに合わない私としては、ところどころに仕掛けられたボケ・ユーモアを鼻で笑うことしかできなかった。
     だが、日本語で使用される文字がデジタルデータとなることで失われる、文字同士のつながりやそれぞれの個性、そして、これは私の勝手な考えなのだが、(本来文字の持つ)創造性についての指摘が後半にあり、この点について大いに学ぶことがあった。
     もじとはえでありなにものにもしばられずじゆうないきものであると

  •  生き物の定義を何とするかにもよると思うが、もしそれを変化・変容し続けるものだとするならば、確かに文字は生きている。

      「文字は時間と空間を渡る手段だ」

     この一文を気に入っている。

  • 岡野幸夫先生  おすすめ
    62【専門】913.6-E

    ★ブックリストのコメント
    文字をめぐる12編の奇妙な短編小説群。文字による表記の可能性をとことん追求し、妖しい世界を編み出す。読むのに骨が折れるものもありますが、読書好きにはたまらないでしょう。原典(?)である中島敦の「文字禍」も読んでみよう!

  • ――


     もじ、もじもじ。文字どおり「文字は災いの元」、ということでもあるし、文字の渦に呑まれるようで今風に云えば文字沼にどっぷり、ということでもあるし、
     全く当然のように使っている文字に不安を抱かせると云う意味では、確かに禍、テロルである。

     言語学SFミステリ、とでも云いますか…言語学と云うよりはもっと本当に身近な、漢字ミステリ? なんだろガンプラ好きすぎてオリジナルのMSV作ってる、っていうのとやってることは変わらないんだけどそう云っちゃうのもなんだかなぁ(笑 



     読みやすい、ってー言葉はそろそろ褒め言葉にならないのかもしれないけれど、実際のところどんな内容も読みやすく書けるというのは基本的な技術としてもちろん必要でしょう。無闇に難解にしようとするのは「わかりやすいね」って云われるのが嫌であまのじゃくしてる子供と同じで、それは自分がわかっていればいいや、という閉塞に向かっていく。つまり、表現ではなくなる。
     難しいことを難しく云うのは簡単で、じゃあそれをどう読ませるか。しかもそのひとの作品なら、とかじりついて読んでくれるひとにではなく、ふと手に取ったひとに読ませるのか。
     そのために言葉遣いがある…んだけれど。

     結局読み進めて行けば行くほど、テキストの不確かさというか不安定さというか、流動性みたいのに泡を食って、自分が遣っている自分の言葉すら危うくなっている。けれど混乱しているのではなくて。むしろ冴えざえと見渡してみて、はて自分はこの文字というものの、何をどう理解して遣い熟していたつもりであったのかと、まだ驚いたままで居る。

     これぞ小説、というエンタメではないけれど、これは小説でしか出来ないだろう。
    試み、というには剣呑すぎる挑戦。
     まじでインベーダーゲームである。


     評価…評価ねぇ…

  • ハードSFは、作家の世界に入り込むのが難しいものが多いが、これは最たるものだと思う。難解な翻訳ものを読んでいる錯覚に陥ってくる。理解を超える未知なるものに出会えたことが、震えるほど嬉しくなる。

  • 謎の「阿字」にまつわる超古代から未来、異宇宙も登場する短編集。と、思っていたら阿字ってあるんですね、検索したらたくさん出てきました。登場するたくさんの漢字たち、どこまでが造字でどこから本当?でも、文庫本だと読めない(見えない)ので電子版で拡大しないと厳しいです。

  • いきなり読めない漢字が次々に出てきて難しい顔して読んでたら、実はすっごく馬鹿馬鹿しい話で笑っちゃった。また読む!

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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