文字渦 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101257723

感想・レビュー・書評

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  • 円城塔「Boy's Surface」「Self-Refarence Engine」をくぐり抜けてきた身には、一話目の、兵馬俑の俑を作る職人と始皇帝の話を読んで、何だこれ、ぜんぜん読みやすい、と思ったのだが、その感慨は二話目以降でしばしば裏切られ。文字が主人公の連作短編。前近代の日本や中国が舞台の話もあるが、時にそこに近未来のテクノロジーがまぎれこみ、文字が自由に動き出したり。脳みその普段使ってない筋肉がフル回転したかのような読書体験は「誤字」の章。途中から、ルビが本文と独立して語りだす仕掛けに、これはどう読み進んだらいいのか…と頭の中が痒くなる思い。それも含めて、よく思いつくなあという奇想の連続を楽しめました。/現代の境部さんと遣唐使の境部石積はやはりつながりがあるのかな、と思いつつ、武則天の新字発明は、従来の字世界に混乱をもたらし、唐の日本への矛先を弱めるための、石積の策謀-時に唐の外交官にイスラム勢力との同盟すらほのめかす-が冴え渡った結果だといった見立てがおもしろく。/

  • 文字、文字、文字。とにかく、拘った世界観は相も変わらず。今回は文字です。生きているとかって、文字を見て思うのかどうかではなく、思ったみたらこうなる。さらに隅々まで潜んでいる文字、文字、その描写。世界観はこうやって作られる。クラクラするほど堪能できます、その細やかな世界に。

  • 913-E
    文庫

  • p.2021/2/3

  • 文字SFというジャンルがあるかは知らないが、これはジャンル最高峰の一冊だと思う。
    中国史や日本史に詳しくなりたいと思うようになった。

  • 「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」。始皇帝の陵墓づくりに始まり、道教、仏教、分子生物学、情報科学を縦横に、変化を続ける「文字」を主役として繰り広げられる連作集。文字同士を闘わせる言語遊戯に隠された謎、連続殺「字」事件の奇妙な結末、本文から脱出して短編間を渡り歩くルビの旅…。小説の新たな地平を拓いた12編、川端康成文学賞・日本SF大賞受賞。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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