- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101266510
感想・レビュー・書評
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綿矢りさは思春期の女の子のじくじくした感情を書くのがやっぱりうまい。
なにものにもなりきれず、自分だけが地面を這いずり回っているような、思い出したくない思春期を嫌でも思い出させる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初2~3頁は正直つまらん、と思ってしまい、文体もいつものあの静かで不穏で緻密で的確な感じとは程遠く、”あらさ”すら感じた。しかし、愛が美雪に執着し始めたあたりからこの小説の凄まじさにすっかりやられた。綿矢りさのすごいところはちゃんと”予感”させて予感を裏切り、尚且つ予想以上のコトをしっかり起こしてくれること。そしてあの終わり方の美しさ。あの美しさのためのこの”あらさ”ともとれる文体の選択だったのだなあと思い至り、なんか何重にもやられた気分。
そして話は逆だけど私も美雪と愛を薄めたような経験があり、今まで忘れていたけど思い出したよね。 -
怖れを知らない女子高生が、哀しい目の男子に恋をした。熱い想い、やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する、初めての恋。
強いなあ。どんな大人に成長するのかが楽しみだ。 -
思春期のダークサイドな気持ちの移り変わりを丁寧に描写していて、非常におもしろかった。この著者さんの本は初めて読んだが、別の本も読んでみたいと思う出来映え。大人でダークな感じは引いてしますが、思春期だとなぜか許容していますのはなぜだろう。。
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共感はできないけど読んでて痛くなった。ちょっと自分を見てるみたいで。綿矢りさの心情描写すごいすきだな
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結構な時間をかけて無理やり封じ込めようとしていた感情を、いとも簡単に解き放たれてしまった。登場人物につられるかのように、ほんとの気持ちを、美しいものも醜いものも自分自身につまびらかにされてしまうのが、病み付きになりそうに快感。生きてる実感が強くなる、めったにない体験をした。自分の調子も関係するのかもしれないけれど、すごい絵や音楽にあるぴんと、しんとした緊張感があるなぁと思う。
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誰かに認められたいと思いながらも、本音でぶつかっていない、(自分でもその本音がわからない)が為に、全て嘘っぽく見えて、自己嫌悪して。思春期だなぁ。 誰かを愛する、その愛の基準がわからない。最後2人に対する愛が芽生えた気がするけど、恋愛でも友情でもなく、それを超えた愛を持った気がする。 ひらいて、は、心を開いて。なのかな。
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後半からの駆け抜け方というか、暴走、爆発が、待ってました綿矢りさ!
「蹴りたい背中」以来、その表現の美しさと、拗らせた登場人物達が捨て鉢になりながらも泥に塗れて懸命に生きる物語ばかりで、ずっとファンでした。
「ひらいて」では高校生並外れた語りと表現で、「蹴りたい背中」の時の様なリアルな瑞々しさはなかったけれど、読み終わった後の高揚感は相変わらずです。 -
わたしには表現が難解で読み進めるのに時間がかかった。
途中からちょっと奇抜な展開になり、前半から苦手だった主人公のことがますます苦手になってしまった。