- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101299525
作品紹介・あらすじ
「ねえ、サンタさんていると思う?」歳末の空港に響いたひとりの少女の声。数量化できない微妙な質感=クオリアを出発点として、物質である脳になぜ心というものが宿るのかを研究し続けてきた著者は、その少女の言葉をきっかけに「仮想」の不思議さに取り憑かれる。近代科学の到達点と限界点を明らかにしつつ、気鋭の論客が辿りついた現実と仮想、脳と心の見取り図とは。画期的論考。
感想・レビュー・書評
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脳科学者が多くメディア露出していたころが懐かしい。もう20年近く前の本か。クオリアがキーワード。意識している=脳の作用=脳の中は仮想、物理的な指標がそのまま意識化されるわけではない。「夕焼け空が赤い」「キンと冷えた朝」「あたたかな気持ち」などと表現できるがそれを物理的に指標に定義できても意識しているものは個人間で異なる。→『私たちは「現実自体」を知ることはできない。私たちが把握できるのは、意識の中に立ち現れる「現実の写し」としてのクオリアだけである。』
小林秀雄に大きな影響を受けている。章立てもされている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
存在を感じることと脳の働きの関係
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茂木さんが、仮想というキーワードを通じて、数量化できない領域の重要性を説く。
今のぼくには、ヒットせず。
申し訳ないが、斜めに読んで終わり。 -
正直薄い内容だった。
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久しぶりに再読してみた。今は芸人みたいな立ち位置にいる?茂木健一郎だけど、この代表作はスタイリッシュな文章でなかなかカッコイイので僕は好き。
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各人が独自に感知する現実であるクオリアの存在について科学的に示した。
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小林秀雄にも興味がわいてきた。2015.6.27
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けっこうおもしろく
脳と心理を解説 -
科学的世界観の限界を見据えようとした批評家の小林秀雄の思索に寄り添いながら、人間の脳の働きによって、サンタクロースのような仮想が生じることの不思議さを語ったエッセイです。なお、本書でいう仮想には、過去の記憶や他者の心に関する理解なども含まれます。
すでに著者のクオリアについての議論に触れたことのある読者にとっては、それほど目新しい内容は見当たらないかもしれません。とはいえ、個人的には、問題の不思議さを比較的読みやすいエッセイの形で軽やかに論じているところに、脳科学者でありながら文学的なセンスを持ち合わせている著者の才能を感じました。 -
河合隼雄さんの著書の中で紹介されていたので読んでみた。
脳と仮想というタイトル、著者である茂木健一郎さんの脳科学者という肩書き、から、脳と仮想(なるもの)のしくみと不思議的な内容かと思っていたら、そんな話はあまりなかった。
小林秀雄の講演からの引用、解釈など、むしろ、科学者らしからぬ、態度のように思えるけれど、全ては脳内現象であり、かつ、クオリアを肯定する立場からの主張と考えると、意外に納得できる。
他者への共感も仮想と表現するところに、脳科学者としての冷静さと優しさを感じた。