明日この手を放しても (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325811

感想・レビュー・書評

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  • <あらすじ>
    19歳で視力を失い潔癖症でしっかりしている凛子と、女にフラれていて、無遠慮で適当な兄真司。2人は非常に仲が悪い兄弟であった。
    しかし、父親が謎の失踪をとげ、漫画家の編集者として信頼していた西尾に騙されたりといったコトを通して、徐々に兄弟の仲がよくなっていく。淡々とストーリーは進むが、その中で、確実に兄弟愛を感じられるほのぼのしたストーリー。

    <感想・レビュー>
    これは家族愛というより兄弟愛を感じた。はじめは非常に仲の悪い兄弟だったのだが、さまざまな負の経験(父親の謎の失踪、漫画家の編集者に騙されるなど)を重ねるうちに、自然と兄弟の仲がよくなっていくのである。
    またこれは障害者(視覚障害)視点からも書かれているので、健常者の障害に関する考えも多少なりとは書かれている。
    兄弟愛と何なのか、障害者とは何なのかといったコトをメインで書いているので、非常に奥の深い内容となっている。

  • 兄弟のいない私にも「ありそうな…」と思わせる兄と妹の物語。
    近くて遠い、わかっているようでわかっていない(またはその逆)、その距離が切なくいとおしい。

    一見、単なる怒りんぼうの真司の怒りが、ちゃんと凛子の役に立っているんだなぁというのが読んでいて嬉しくなりました。

    人は悲しくても生きていかなければならない。
    12年は長く、子供のときとは違う大人の成長の物語です。

  • 19歳で失明した凛子と兄真司のふたりの軌跡を描いたお話。

    読む本がなくなっちゃって妹に借りた本だったから
    自分からは積極的に手を取らないと思うけど読んで新鮮でした。
    私は結構ジャンル広めに(読み物オンリー)だけど知らない作家さんは
    きっかけがないとなかなか手に取れないのです。


    話は淡々と展開するんだけど
    ほろってくるところがあったりで
    感動系です。

    私の欲しくても絶対手に入らないお兄ちゃんがうらやましい!
    やっぱお兄ちゃんほしい!
    お兄ちゃんにやさしくされたい!
    お兄ちゃんとビール飲みたい!
    昔はお兄ちゃんいるトモダチとトレード(笑)とかゆってたけど
    しかし、今はいもうとともなかよすさんなのでトレードはできないけど
    やっぱりほしいです!
    兄弟って不思議な関係だけどすごくいいなって改めて思える作品でした。

  • 初めて自分と同じ職業に人が
    小説に出てきているのを見た。
    結局は出向してるから仕事内容は全く違うけど。
    家族の繋がりに安心できる話。
    真司が好きだった。
    本質であるテーマを否定することで、家族という繋がりが浮き出て見える。

  • 読み始めて、いきなり物語りに引き込まれました。
    通勤電車の中で読んでいると、通過駅をどこまで意識しているかで「引き込まれ度合い」が計れます。そういう意味では、乗り越すほどでは無いにしろ、何駅か気付かないまま通り過ぎ、非常に引き込まれた話でした。
    しかし、途中からはそんなことも無くなり。。。。
    なかなか良く出来てはいると思いますが、ちょっと小ぶりな感じがします。
    でも、親父さんどうなったんでしょうね?

  • 単行本で発売された時から気になっていた作品。文庫になったので早速購入。
    「兄妹って、こんなものだ」と、同じく性格の合わない兄を持っている自分としては、妹にとても共感できた。イライラすることが多いけど、なんだか憎めない。大人になるにつれて、なんとなく受け入れることができるようになる。
    起こった事件に明確な結末がでていないところが、現実的に思えた。実際は、あやふやなまま流れていくことが多いもんなあ・・・。

  • 終わり方がちょっとあれー?と思ったけど、お兄ちゃんの人間っぽさがとっても好き。きっち凛子も。

  • 「きっちりんこ」と呼ばれるほど、きっちりしていないと気が済まない凛子。大学二年の時に、網膜色素変性症と診断され、その二週間後に全盲となってしまいます。
    そして、その半年後に母を事故で亡くします。
    物語は、そんな凛子が白杖を持って練習するところから始まります。しかし、なんとか社会復帰を考えられるまでになったところで
    今度は、漫画家の父が失踪します。その後も、仕事がらみで問題も多発し、不運の三重奏……。

    遺された兄と妹。障害を持つ妹に対し、全く優しくない兄
    「こんな役に立たない晴眼者なら側にいない方がましだ」と、凛子は、言います。
    妹・凛子と兄・真司の12年間が、交互に語られます。まったくかみ合わない兄妹が、少しずつお互いを見るようになり、認め合うようになっていきます。

    結局お父さんの失踪が不明のままで、心残りがありますが二人が少しずつ変わっていく姿が良かったです。

  • <19歳で視力を失った、潔癖症で完璧主義な妹・凛子。女にモテるのにフラれてばかりの、無遠慮で口喧しい兄・真司。父親が謎の失踪をとげ、2人きりの生活が始まった。近くにいると相手に合わせることさえ不満でも、遠くにいけばいつの間にか無事を祈り、あの人のために変わりたいと願ってしまう―複雑で決して派手じゃない、だけど確かな愛しさを描いた、兄と妹の12年間の軌跡。 >真治が私の理想のお兄ちゃん像になりそう!自分より年上の兄弟がいるってどんなもんなんだろうなぁ。

  • 兄妹だからって仲が良いとは限らない。

    当たり前なんだけどそういうことって忘れがちだったりします。
    それでもこの二人の絆には考えさせられるものがありました。

    こういうカタチで二人は支えあっているのだ、と。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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