国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101331713

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優、読めば読むほど興味をそそられる。それにしても、鈴木宗男事件、そして外務省の内部事情が垣間見られて興味深い。国家捜査にひっかかって運が悪いといって済まされる問題ではないと思うが、それを受け入れる佐藤優。本当に強く、頭がいい人だと思う。そんな人が書く文章だから、惹き込まれるしおもしろい。ここに出てくる人たちのその後がとても気になる。事件の真相は、2030年に関連文書が公開されることに明らかになるとのことで、それはとても楽しみだし、それに対して佐藤優に改めて書物に纏めるなどし、改めて総括してもらいたい。

  • 遅まきながら国策捜査というものの真髄を知った。当時の政治的社会的背景から見ることにより、あの事件はなんだったのかということも、遅まきながら理解した。

  • 今さらながら。
    鈴木宗男氏と佐藤優氏については当時のワイドショーレベルの知識しかなく興味もなかった。
    ふと対ロシア外交と佐藤優氏に興味があり読んでみたところ…
    何だこの内容の濃さは、ほとんど小説ではないかと驚愕。いろんな驚きと学びが去来する異様な読者体験となった。
    ロシア外交とインテリジェンスの世界、政争と国策操作、拘置所と刑事訴訟手続きなど、それぞれ1テーマで出せそうな内容が出るわ出るわ。しかも内容が具体的かつ理論構成が整理されているので、素人にも分かるように書かれている。
    佐藤優氏の怪人ぶり(驚異的記憶力と博覧強記)とストイックな人生観に妙な感動を覚えます。
    戦争と平和があるのではなく、戦争は外交の延長にあるのが現実なのであれば、安全保障、食料、エネルギーを海外に依存している日本にとって外交は生命線であるはずで、ロシアや中国といった強大かつ文化的共感のない敵性国家とどう付き合っていくかは死活問題と思われる。
    氏の他著作を読んで勉強したい。

  • 魂は 一つだけじゃない。

  • 日本人の実質識字率は5%
    これに尽きる

  • むむむ。国策捜査は冤罪じゃない、だと。
    だれだってたたけば小さなほこりぐらいは出るということかね。


    P366 「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」
    P369 「国策捜査は冤罪じゃない。これというターゲットを見つけ出して、徹底的に揺さ振って、ひっかけていくんだ。引っかけていくということは、ないところから作り上げることではない。何かスキがあるんだ。そこに僕たちは釣り針をうまくひっかけて、引きずり上げていくんだ」
    「そうじゃないよ。冤罪なんか作らない。だいたい国策捜査の対象になる人は、その道の第一人者なんだ。ちょっとした運命の歯車が違ったんで塀の中に落ちただけで、歯車がきちんとかみ合っていれば、社会的成功者として称賛されていたんだ。そういう人たちは、世間一般の基準からするとどこかで無理をしている。だkら揺さ振れば必ず何か出てくる。そこにひっかけていくのが僕たちの仕事なんだ。」

  • 事件の概要やロシア外交について克明に記されている。

  • 面白い。
    佐藤優氏の人生の岐路となった一冊。他の対談本などで語られているように、その後の人生を物書きとして生きる為に絶対にホームランを打たなければならなかった著者の渾身の一冊。ポイントは3点。
    ・ミクロとマクロの書き分けが絶妙。外交官の背景、ロシア外交の裏話などは詳細に、細かい罪状などはあっさりと読者を置いていかないようにペース配分が非常に練られており良い。
    ・小説的表現が秀逸。西村検事との掛け合いはドストエフスキーの罪と罰を彷彿とさせる会話劇で、非常に愉快。
    ・国策捜査は時代のけじめ、として本事件をまとめているが13年後の2019年を予言しているとしか思えない。この頃から新自由主義に舵を切った日本は格差拡大とナショナリズムに苦しんでいるように感じる。この時代に知識人はそこまで予見出来ていたのならば驚愕だ。しかし、本書を読み終えたときには当てずっぽうで買いているとは思えないだろう。

    マイナス点としては、当時のニュースを知らない若い世代の人間が読んでもワイドショーも見ていないのでなんのことやら分からないが、本書は元々13年前の大人をターゲットにしているので仕方ないだろう。宗男ハウス、ググっちゃいましたよ、ネーミングセンスあるなぁ。

  • 【これは国策捜査なんだから】(文中より引用)

    日本中が騒然とした「鈴木宗男事件」とはいったい何だったのか。「外務省のラスプーチン」と呼ばれ、自らも逮捕された人物が語る「国策捜査」の内幕とは......。著者は、本書で毎日出版文化賞特別賞を受賞した佐藤優。

    本当に久しぶりに再読したのですが、国家権力というものを知る上でここまで優れた著作にはそうそう出会えないのではないかと思います。驚くべき情報量だけでなく、その一つひとつが濃密であることに驚かされるばかり。また何年かしたら戻ってきたい作品です。

    行間から匂い立つものが凄まじい☆5つ

  • 2007年に新刊で出た時に買ってそのまま積読。干支が一回りして、やっと読了。
    かつての日露外交の真相と国策捜査の裏側。
    当時は、マスコミを鵜呑みにして、ムネオは悪い奴で、それを裏で操っている怪しい人くらいにしか思っていなかったけど、見方を変えないとな。
    ロシアとイスラエルのつながりとか、もっと早めに知っておくべきだったことも書かれていて、12年間放置したことを少し後悔。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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