きらきらひかる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339115

感想・レビュー・書評

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  • 「全身が、哀しい果物みたいになってしまう」
    寂しい時にとてもよみたくなる。
    これから多分、何度も何度も擦り切れるほど読むと思う。
    ミントジュレップをがぶ飲みしたい。

  • 紺くん。とにかく紺くんが濃い。植木に紅茶をあげるところが気に入っている。そういう植物だって、おそらくありえる、と思わせるかおりさんすごいです。

  • 一番の三文小説ホモはお前だよ!と言いたい。
    綺麗な雰囲気と詩的な文体で読みやすかった。けども、笑子の言う睦月の「優しい」は、笑子にとってあまりに都合のいい「優しい」なので、そこんとこがモヤッとするなあ。
    自分でも分からない不安や嘆きを叱咤でも激励でもなく包み込む、そーいう相手って一度は夢に見るよなー。笑子の思考というかなんというかは、ちょっと分かる。

    上手く言えないけど…とにかく笑子は友達とか身近にいてほしくない。
    「してあげたのに」じゃあないけどさ、「どうしよう」って言うから「こうしたら」って言ったら、「そうじゃない何も分かってない」とか言うようなタイプ。もしくは言わなくとも黙って「何も分かってない」とか思っちゃう。
    結局自分にとって耳障りのいい言葉しか受け取らないと言うか。
    まあそういうことは本人が一番知ってるんでしょうが。

    あといくら優しくても不誠実だよね。

    確かに水の檻のようなお話だった…どこまでも透明だけど浸かると窒息する。

  • これよむびに、ここに出てくる食べ物「コアントロー味のシュークリーム」「フライドチキン」「干しぶどう入りのドーナッツ」とかすんごく食べたくなる。

  • 銀のライオン。

  • 何度も呼んでいる、江國さんの中で1番好きな小説です。

    痛いくらい切なくて、悲しくて。

    でも、笑子も睦月も紺も、ものすごく人間臭くて、どうしようもなく愛しいんです。

    人を愛する優しくて底のない気持ちが溢れ出してるお話です。

  • それなりに昔に出た小説だと思うんですが、全然感覚が新しい…というか、とても現代にマッチしていると感じました。結婚や育児や、そういう世間的な最大公約数に入れない人たちのお話。かと思いきや、ただの叶わない片思いの側面も孕んでいて、何だかままならない感覚に、悶えながら読んでいました。

    アルコール依存の妻とゲイの夫。心地いいだけのはずだった二人の結婚生活は様々な問題に直面する。現実的な親族や子供の問題だけでなく、自身の微妙な恋心や情緒の不安定さに振り回されながら、互い(紺くんも含めて)の関係を必死に模索する笑子に、わたしも振り回されました。

    カタルシスに向かうかと心配していましたが、ラストに励まされた。愛情というものがもつ「幅」を感じさせてくれます。

  • これはけっこうな傑作だと思う。奇妙であやうい(ようにみえる)夫婦関係が、夫婦双方の側から時系列で語られ、かつ睦月のパートナー、紺の存在が前面に出てくることによって彼らの関係をより重層的にしている。

  • 周囲にこの人の作品を好きだと言う人が何人かいることもあって、初めて江國香織作品を読んでみた。まあ嫌いではないかな。
    人間関係の数だけ、感情や関係性のパターンがあるのだなあと当たり前のように普段から考えているので、何やらすんなりと読める話ではあった。

  • 笑子の痛々しさが他人事じゃなく思える。愛や恋には、モノサシなんてない。わかってるけど…理解を得るのは難しい

  • 何回読んでも面白い、
    大好きな作品。

  • 設定に疑問。1:両親にカミングアウト、そんなに容易く? 2偽装結婚をするのはなぜ? 世間体か? 3:職場の勤務医同志でカミングアウトしていることが当たり前に書かれるが、ありえるか? 「ホモ」への偏見だらけの世間で、男の職場で、そんなことしたらどれほどのリスクが絡んでいるか。ましてや昭和時代の設定。4「ようやく好きになった女性」という表記。男は皆そうであるべきという前提が感じられる。「ホモ」は「アル中」のように治ったり欠陥のせいで出てくる症状か?

    バブル時代に書かれたものだとすぐわかる。当時のおしゃれ小物がたくさん。でもそれは、時代の空気じゃなくて、この筆者がこういう物質が好きで、世間体や人の目を気にする人なのではないかと思ってしまう文があちこちにあった(具体事例省略)

  • 笑子、睦月の感情が鮮やかに表現されていた。特に、お互いを想い合っていることが、すごく伝わってきて。
    でもだからこそ、この終わり方はなんとなくもやもや。笑子ももやもや、睦月ももやもや、きっと紺も。読み終わってほやほやの率直な感想。

  • 愛のかたちはこんなふうにいろいろ。
    でも、こんなふうに相手のことを思いやれる関係はなかなか難しいもの。

    きれいな文章と小説ならではの設定を通して、
    「相手を思うこと」
    についてのヒントを与えてくれるいい作品だなと思いました。

  • 江國さんで一番好きだと思う。短いお話。
    病んでる大学生の頃にはまってたなぁ。
    アル中の主人公と同性愛者の旦那。
    同性愛っていうよりも愛したひとがたまたま男だったっていう方が正しい気がする。
    性行為もない夫婦生活だけれど、2人の間には確かに信頼関係があったはずだったのだけれど。


    主人公が紅茶を観葉植物にあげるところがすごく好き。絵画のおじさんに話しかけるところとか。

    そのシーンを映像化するのは難しいと思うので、映像化はみたくないのです。

  • なにをこんなに評価されてるのか、中身のない糞のような小説でした。独特な雰囲気とか、空気感が良いとかレビューされているが、このどっちつかずの雰囲気が一番最悪で、どこにでも転べる設定。

    ストーリーは
    ホモの夫と、精神不安定な妻と、ホモの夫の彼氏と、同僚のホモとが、パーティーなどをして子どもはどうすんの?とかの日常がただただ流れて行くという話。

    物語の山も谷もなく、刺激も悲観もなく、面白く無い。もう本当に時間を無駄にしました。

  • 上等だよ。全く上等だ。
    素直にいえば、恋をしたり信じあったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇です。

  • 睦月が素敵。

    この3人、微妙なバランスのなかで、とてもいい関係だなって思いました。

    あと、台詞がとっても綺麗で、音読したり、人に伝えたくなるようなものばかり。

    はじめての江國さん作品でしたが、これからも読んでみようと思いました

  • 私はひたすらドーナツを口におしこむ。
    薄めのコーヒーは熱く、レーズンはやわらかに甘い。

    油とお砂糖の味がして、
    私はまた泣きたくなった。

  • 江國さんの作品の中で一番好きなものです。

    初めて読んだとき、あまりに感情移入し過ぎて、自分はアル中で彼はホモなんじゃないか?!と現実に置き換えてみて、無性に切ない気持ちになりました。

    でも、不幸じゃなくて幸せな感じに近いんですよね…。

    笑子が飲んでいるお酒は、とっても美味しそうだし…。

    登場人物が脆くて、でも強くて、とても魅力的でした。

  • アル中の妻 ホモで恋人有りの夫

    設定とは裏腹に
    きれいでどこか切ない話

    睦月(夫)のやさしさが胸に沁みる

    悲しいくらいに純粋で
    だから、時に苦しくなる

    この本の空気がすき
    お酒が飲みたくなる

  • 物語に引き込まれて一気読み。

    どんな形でも愛は愛。


    あとがきの江國さんの言葉がホントにいい。

    「普段からじゅうぶん気をつけてはいるのですが、それでもふいに、人を好きになってしまうことがあります。」

    「誰かを好きになるということ、その人を感じるということ。」

  • やっぱり江國さんの文章が好きだ。

    まだこれで2冊目だけど、わたしの中で恋愛小説読みたい!→江國さんっていう方程式が出来つつある\(^o^)/

    江國さんが書く女性ってどこか弱いところを持ってるんよね。
    そこがよりリアルに近くて、

    それでいて風景とか人物描写が上手すぎて、簡単にそして鮮明に小説の中の設定が頭の中で妄想できる。

    真っ向な恋愛小説を書いてないところも面白い。なのに、ちゃんと恋愛小説として成り立ってるから。

    ホモの夫と精神病の妻って…?って感じやしww

    でも、江國さんの本はあいまいな結末で終わる。これもそう。

    私は何でも白黒つけたいたちやから、合わないところはここかもしれない。

    やっぱり読者はハッピーエンドを望むねんな、実は。

  • 人間の綺麗なところだけ切り取って細心の注意を払ってつなぎあわせたような作品。ところどころに透けるやりきれなさも、小さな綻びを必死に埋めようとする笑子も、すべてがいとおしい。
    こんな形の夫婦があったとしても、現実にはこうも相手を思いやれる二人は(紺も含めると三人かな)なかなかいないだろうな。
    夜に読みはじめて止まらず読みきった覚えがある。

  • 一気に読めました。

    3人がいとおしすぎる。
    笑子の気持ちすごいわかる。
    紺、て名前がすきすぎる。
    睦月のやさしさが痛い。

    江國さんのエッセイはすきだけど
    小説は苦手だった。
    でもこれは違いました。
    読んでよかったー。
    不思議と惹き付けられます。

  • 今まで読んだ小説で3本の指に入る位衝撃を受けたお話。読んでしばらくこの本のことしか考えれず『愛情』と『幸せ』についてずっと思っていた。この人物に惚れたとか、すごく共感を受けたとかではないから余計にたちが悪い。ただただあの三人をもっと幸せにしてあげたいなんて身勝手にも思ってしまう。この本には『愛情』と『幸せ』が詰まってることを知ってるのに。

  • 江國作品で一番好き!まさに、きらきらひかる。言い回しがいちいち素敵なのですよね。すれ違って傷ついて、でも好きで…って書くとなんだかありきたりな携帯小説(笑)みたいなんだけど、全然違う。もっと切実で、もっと強くて、もっと現実的な。素敵です。

  • 『きらきらひかる』を読み終えました

    江國香織作品は2冊目ですが、女性から見た恋愛観を寛容的に受け入れる準備が出来てなかったからチョッと辛かったです

    新婚だけど笑子はアル中、夫の睦月はホモで彼氏がいると言うギミックは別としても、限りなく優しく献身的夫の姿は、夫としてのある種の理想像なんでしょうか?(-_-;)

    笑子がなぜ精神障害を抱えるのかと言う背景は語られませんが、ある意味、普通の世の中の女性が日常的に浸る孤独感とか悲壮感を癒やすのは常に「恋愛」であって、相互関係のあるべき(あってほしい)姿を描いているんだろうと思います。

    男目線で見ると、こっちの方が精神病になっちゃうよー と思うほどむず痒くて、理解しがたい会話が永遠と綴られるんだけど、世間体との葛藤とか、泣きわけきながらも冷静に自分の状態と夫への愛情の深さを意識出来る感情の起伏表現は、ふんわりとして、独特ですね。

    で、江國さんのイメージって、『冷静と情熱のあいだ』のまさに情熱的熱愛を描く印象が強かったんですが、よく考えたら、後編は、辻仁成が書いたんでしたね。役割分担が分かりやすいって感じました。


    Android携帯からの投稿

  • 笑子が自分でも分からないけれど、涙を流しちゃうシーン。
    睦月がいいひとすぎて、でもなんだか腑に落ちなくて物を投げてしまうシーン。

    精神不安定な笑子の気持ちが痛いほど分かった。
    笑子が泣くと、切なくなると、紫のおじさんに歌ってあげると、、
    私も涙が出た。

    睦月の周りの人達が素敵な人ばかりだった。

    長編で読みたい。まだまだ読んでいたい。

  • 短篇集。だが話は全部つながっていて、あながち長編物語と言ってもいいのではないか。
    まだ理解出来ない節もあるのでまた読みたい。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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