ぼくの小鳥ちゃん

著者 :
  • 新潮社
3.60
  • (447)
  • (474)
  • (1117)
  • (65)
  • (15)
本棚登録 : 4968
感想 : 541
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339184

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 動物を狩ったりしたことないからあれやけど、人間って、生きるために自分以外の生き物大切やなと思った。
    後、人間以外の生き物に抱く思いって何なんやろなーとか。
    恋人じゃなくても愛していい生物。他に愛人がいても愛していい生物。抱きしめたり触っていい生物。みんなで一緒に愛していい生物。でも少し独り占めしたくなる生物。
    絵から飛び出したようなストーリー。

  • タイトルに惹かれて衝動読み。
    白い羽にピンクのくちばしと足。そんな小鳥、想像しただけで愛おしい。
    性格も文鳥らしくわがままで自由奔放、でも寂しがりやでとってもキュート
    解説は角田光代。作品の舞台はどんな町をイメージするか、という問いかけもあったがわたしの中ではどこか欧米の田舎町だなあ。
    わたしも小鳥ちゃんになって優しい人のおうちで暮らしたい、そんな気分になるお話。

  • 「ぼく」の小鳥ちゃんへの感情って、何に近いのだろう。恋愛、父性......いや、やっぱり「小鳥ちゃんへの愛」としか言いようがない。ファンタジーだからこその、ずっと本物らしい感触をもって愛おしさが胸に広がる。優しい気持ちを思い出したくなったら、また読もう。

  • いったいどう読んだら正解なのだろう、この本は。
    ぼくと小鳥ちゃんと彼女の三角関係?その割に彼女の感情があまり露わになっていないけれど。

    そう。
    彼女が何のためにいるのかがちょっと読み取れない。
    何でもできて、何でも知っていて、運転が荒い彼女。
    小鳥ちゃんより彼女の方がよほど気になってしょうがなかった。

    ぼくと小鳥ちゃんの関係は、私の中では「幸福の王子」のネガだった。
    自分の持っているものを与えて、与えることで人を幸せにする王子。
    何も持たず、受けいれることで人(小鳥も)を幸せにするぼく。

    王子の願いをかなえるために献身的に飛び回る黒いツバメ。
    はっきりと自己主張をしぼくに認めさせる白い小鳥ちゃん。

    全てを与えてしまった王子とツバメは、冬が来た時に命が尽きた。
    全てを受けいれるぼくと小鳥ちゃんが出会ったのは、冬のはじめの頃だった。

    だから何となく彼らの住んでいる街は、石畳の道路と、石造りの建物でできているヨーロッパの街並みのように思えた。

    だとしたら彼女の役割はなんだ?
    ぼくと小鳥ちゃんで完結しそうな世界に平然とたたずむ彼女。
    いや、割り込んできたのは小鳥ちゃんの方なのだけど。

  • 優しい大人の絵本。
    僕と小鳥と彼女の三角関係。
    誰に感情移入するかで、きっと感想が違うんだろうな。
    子どもに読み聞かせるような語り口で、大人にならないと分からないような嫉妬を語る。
    小鳥ちゃんは、彼女に嫉妬しながらも、彼女を認めていて、僕も小鳥ちゃんの気持ちに気づいていながら、やっぱり彼女が好きで、そして小鳥ちゃんにも嫉妬をする。
    小鳥ちゃんは現実を受け止めることで、少しだけ寂しい気持ちになる。
    単純なようで複雑な、優しいようで残酷なお話。

  • ぼく(マンションの五階に住んでいる)
    ガールフレンド(運転が上手)
    小鳥ちゃん(くちばしが赤くて黒い目、白い身体)

    6階には老夫婦(小鳥ちゃんのおともだち)
    ガールフレンドはお洒落なお母さんがいる。

  • ピュアな児童書のような顔をしていておかしな人間関係を見せつけられた。末尾の解説も印象的。浮気する登場人物は基本的に嫌いになるが、相手が小鳥ちゃんだとモヤモヤはしても嫌いという感情は出てこない不思議。

  • 見た目や世界観が綺麗な本なのになんなんだこれは。

    角田光代氏の解説が最後に載っているんですが、概ね同じ意見だなとは思った。
    けれども読んでいてなんとなく不穏な空気はずっとあって、「初老の夫婦」が出てきた辺りから確信に変わったのだけど「小鳥ちゃん」という存在は「浮気心を具現化させたもの」なんじゃないかと思う。

    主人公が前回の小鳥ちゃんを度々思い出していることとか、老夫婦の旦那さんに小鳥ちゃんがとまっていることなんかがそれっぽいなと思う。

    彼女と上手くいっているし、それとは別に小鳥ちゃんとも上手くいっているという部分にいい所だけを都合よく摂取したいみたいな…ハーレムを望むようなどこか逃避感のある「浮気心」があると思う…彼女と小鳥ちゃんは全然上手くいってないのにブチ切れない彼女はすごいですよねえ。
    写真立てを何回も倒されたり、彼女がすすめてくれた小鳥ちゃん用のボレー粉に口をつけなかったり、彼女と主人公がスケートをしていることに嫉妬したり。
    この辺を見ると「主人公の母」を表してんのかな?または「浮気相手」?とも思ったけど、もっと抽象的な物のような気がする。

    逃げ出したいような浮気心を鳥のような自由なものにのせて書いたのかなって思うんですけどどうなんでしょう。
    ただ、そう結論付けるとしたらこの続きで小鳥ちゃんは洗濯機に入って今度こそ喚いたりせずにそっと一生を終えるんじゃないかな。それから主人公と彼女は教会で結婚式を挙げるような気がするし、いつかまた別の小鳥ちゃんがまたやってくるような気がします。

  • 発売当初からずっと大好き。

  • 江國香織5冊目くらい
    図書館本、文庫本
    3年前くらいに一瞬ハマって、やっぱりこの夢見心地は合わないかもと思って、今回は千夜千冊の影響で文学における少女性の立ち位置をもうちょいわかりたいと思って手に取った。
    短い。
    生活に余裕がある人々の生活…初版97年…現代の"大衆"?にはクロワッサンの香りがする夢の生活を爪先立ちで滑る主人公でなく、労働環境や税金や家族や未来にヘトヘトになる主人公が愛されるような印象を受けている。寝坊しちゃうボクを起しにきて朝食を作ってくれるカノジョ。もしかして異世界転生もの 春樹の「やれやれ」の感じ
    あえてひらがなで書く表現。
    挿絵がとても可愛い。

全541件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×