がらくた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339269

感想・レビュー・書評

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  • まだ三月だというのに海辺の日差しはとても強かった。白っぽくて刺すような太陽の光。肌がじりじりと焼けていくのが分かった。コンクリートの大きな段々に腰掛ける人の中には日傘を差す人も多く、自分も次は日傘を持ってこようと思った。次がいつになるか分からないけれど。前来たのは去年の夏だった。夜、ライティングを見たのを覚えている。黒のサマーニットにジーンズで、白い皮のサンダルを履いていた。

    はしゃぐ子供たちの声を聞きながら、砂浜に座り込んで文庫本を開く。物語も海辺で始まった。

    • 大野弘紀さん
      映画のように美しい、読書時間。
      映画のように美しい、読書時間。
      2020/07/05
  • 離れているときのほうが、
    相手を強く感じるって、なんかわかる。

    ミミがかわいい!目が離せない!

  • 好きって付き合うって何なんか分からん
    と友達に相談したら、持ってた本を貸してくれた
    読書習慣のない私は読むのになかなか時間がかかってしまった
    色々な考え方があるし、大人って、人間って、自分が思ってるより綺麗なものじゃないし、理想はあっても正解はないし、なにを思おうが自由だなと思った

  • 通勤途中に、大切に少しずつ読んだ。

    言葉一つ一つ、場面一つ一つが心地よくて、
    雨の日にしっとり読みたい作品。
    柊子さんの暮らしがとても理想的だった。
    母の部屋の隣に事務所を構え、週の大半母と食事し、時々夫に呼ばれると、食事を一緒にとったり、お酒を一杯飲んだりする。
    夫のことが大好きだけれど、誰かと関係を持ってもそれを咎めたりしない。
    とても自由で、とても優雅で、ちょっと変わっているけれど、とても素敵。

    一緒にいる人を大切にしたりとか、食事を大切にしたりとか、旅行で非日常を味わったりとか。日々あくせくしていない生活の描写が大好き。

  • なんだろう。
    再読なのに、前の感想が思い出せない。
    おかしな夫婦の物語、くらい。

    それなのに今回は!

    ラストの10ページのためにあったんじゃないの?この物語は、というかんじ。

    美海の感情に、共感。
    こんな感情、今になってリアルに甦るなんて。

    会いたいって言われて嬉しかったの。
    不行き届きなまねをして欲しいの。

    なんてストレートでなんてかわいらしい。
    たまらないでしよ、これ、男の人は。

    生まれ変わって美海になりたい。

  • 江國香織さんの本の中で神様のボートと競るぐらい好きな作品です。

    言葉では到底表せれ無い男女間の心理ゲームがいたいほど言葉で表せているすてきな本です。

    私達は、このめんどくさい感情の中に生きているんですもんね。

  • 綺麗な小説でした。江國香織さんの作品を読むのははじめてだったので、表現によってこんなに美しい小説になるのだなと感動しました。表現が直接的でないため、どんなシーンでも美しく綺麗に感じます。
    また、柊子視点の時からミミのことがとても気になっていたので、視点が変わりながら物語が進んでいって嬉しかったです。はじめ柊子視点で感情移入して辛い気持ちになりましたが、最終的にはミミに感情移入する形となり、物語の主人公はミミだった気がしています。
    柊子とミミは、それぞれの年齢や立場だからこそのキャラクターであり、「言えない/言わない」と「言う」の両極端の存在です。現時点でミミと年齢の近い自分は柊子のことを「言いたいことは言えばいいのに、辛そうだな、きっついなあ」と思ってしまいましたが、同時にミミくらい素直に生きたいな、とも思いました。自分が歳を重ねていくうちに言いたいことを言えなくなってしまうこともあるのかもしれない、年齢を重ねてからまた読み返したい作品です。

  • 江國さんの恋愛感がエロい。

  • いつまでもこんな恋愛至上主義の作品を書ける作者はすごい。子育てしているとそういったことが遥か昔のことに感じられ、自分とは程遠いことのように思えてくる。それでも恋愛のドキドキは楽しめた。野ばらの解説に納得。彼の本も読んでみたくなった。

  • 相変わらず美しい文体。癒される一冊。

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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