岡本太郎に乾杯 (新潮文庫 お 55-1)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101346311

作品紹介・あらすじ

新しい芸術運動を志し、自らも実践者として生涯闘い続けた岡本太郎。その精力的な活動を、終戦直後の「夜の会」から大阪万博の「太陽の塔」まで鮮やかに再現する。博物館で縄文土器に衝撃を受けた話、烏を飼って可愛がったエピソード、ショパンもジャズも弾きこなすピアニストぶりなど、太郎の素顔に迫るエピソードも満載。秘書・養女として長年身近に接した著者ならではの快著。

感想・レビュー・書評

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  • 岡本太郎の秘書にして養女、岡本敏子さんによる岡本太郎の思い出です。

    「芸術は爆発だ!」の岡本太郎に劣らず、なかなか刺激的なエッセイです。何せ最初の章が「戦闘を開始する」ですから(笑)。岡本太郎が戦後、既存の日本美術界に戦闘をしかけながら突き進んでいく姿が語られます。岡本太郎も筆が立つ人なんですが、やはり自分のことになると主観的になってしまうので、少し引いた目線が欲しいよね…と思うときがあります。そこを絶妙の立ち位置で紹介してくださるのが敏子さんです。

    縄文やらパリ回遊展、ピアニストとしての側面が明快に紹介されます。個人的に好みなのは、大阪万博のお祭り広場の建設予定地に立ったときに「70mだな」とつぶやいたというエピソード。いきなりそのサイズで太陽の塔かよ!と仰天。また、それに対して「お祭り広場の屋根の下に納まるサイズにならないのか」と説得に来る、丹下健三門下の若者たちを次々に篭絡していくエピソードも笑えます。彼らの将来ってどうなるの(笑)。

    岡本太郎論は数々ありますが、一番コンパクトにその人となりを表している本だと思いますのでこの☆の数です。

  • 都庁の壁やらなんやら、当時の人たちは大切な物をずいぶんぶっ壊してくれたんだなと…
    岡本太郎の知らなかった一面を知れて面白かった。
    もっと読みたくなる。

  • 岡本太郎という人間は彼女の存在なしには成立しなかったろうなぁ、と改めて思う。
    秘書・養女という立場で公私ともに支える彼女。
    そしてそんな彼女を信頼する岡本太郎。
    その結果巻き起こるうねり。
    こういう愛の形もあるんだなぁ、と思う。

  • キテレツな部分ばかり取り上げられ、自らもメディアでサービスしまくる岡本太郎だったが、実は常に自分と戦い世界と戦い、自ら棘の道を選んで傷つきながら生きてきた。それでいて何事にも屈しない、誰のせいにもしないすがすがしい岡本太郎を「あんな可愛い人はいない」と愛おしむ敏子さんの文章に胸があつくなる。
    私は岡本太郎を知って「孤独」という言葉が好きになった。

  • 真に自由な人間という稀有なる存在・岡本太郎に、秘書・養女として50年近く寄り添い支え続けた女性が語る、みんなの知らなかった太郎の素顔。「岡本太郎」という近世日本の大事件を知る。


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