ビタミンF (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349152

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ重松清さんの作品。

    ちょっと身につまされるような話もあり、痛かったのを覚えている。

  • 40歳前後の人生でいうと中途半端な頃に差し掛かっている主人公が、家族と向き合う物語。
    それぞれのお話で、あるきっかけが家族と向き合う契機となるのだが、それを経て家族というものを考え直させていく。
    はっきりとは描かれないが、そこには希望の光を感じさせる。
    中学生の女の子がいじめにあうお話の「セッちゃん」が、同じ年頃の娘を持つ自分としては、胸に迫って秀逸だ。

  • 面白かった。

    中年、に差し掛かってきた36歳はうん。うん。と、ついつい頷いてしまうような他人の日常を垣間見るような一冊。

    なんかこうね、わかるよ。それ。

    っていう。自分の子供、妻、夫、過去、未来、どれのどこをとっても、わかるよ。その気持ち。っていう話が全編通して語られており、36歳の私でそうなんだから多分、若い人はいつかあーって思うから読んだ方がいいし、もっと上の人は、あったなーそういうこと。って思うんじゃないかなー

    そして、人生と一緒で色々あるけど死ぬまで結果なんかわからない。

    っていうどんな結論も結局出し切らないそんな重松清の短編にどうしても自分を寄り添わせたくなるような本でした。

    多分私にもありそうだなこれ。って全編通して思えるからすごいよ。ほんと。

  • 「家族」について思い悩んでしまったとき、そのビタミン不足を補う短編集。正解のない問いであるからこそ、物語中の救いが、直接傷を塞ぐのではなく、栄養素としてじんわりと染み渡るのだろう。

  • おすすめしてくださった方曰く、噛みしめて読んで、と。
    噛みしめる前に、深く響いてくる物語。

    この世代のフツーの男性、家庭を持ったお父さんたちの日常の中の心の機微を通じて、家庭って?家族ってとひっきりなしに問いかけられる。
    主人公に移入するのはもちろんだけれど、彼らの子ども、昔の恋人、同僚など十人十色の境遇にも思いを馳せる。
    そして、もちろん配偶者にも・・。その立場だったら・・・想像すると苦しいような楽しいような・・。
    このままでも日々は波風たてずに続いていくけれど、もっと・・・という想いがリンクする。

    果たして家庭は帰るところなんだろうか。
    それともそこを基地として出ていく所なのだろうか。

  • 父親目線の短編小説。どれも話が終わると、いい意味で胸がきゅうってしめつけられる。私のお父さんも、こんな風に思ってたのかなとか、父親って実際は母親よりも強くなくて、不器用だけど一家の柱じゃなきゃいけなくて、苦悩するその生き様がすごく切ないし、私は好き。この小説大好き。

  • エスケープしてみたい
    このバスに乗って未来へ♫
    Creepy Nutsの二度寝が流れる令和の時代に
    昭和生まれのおじさんたちの平成の御伽噺は
    もはやタイムトラベルだ。

    何年も前に買った文庫本で、その時は
    重松清、直木賞、最泣の帯にひかれて買ったけど
    いまいちハマらず、放置された玉手箱

    38歳の今、最高のタイミングで開けたんじゃないかな俺。うん。是非37〜40代のパパたちに読んで欲しい昔話だ。

    時代は流れても、価値観がアップデートされても
    変わらない家族の形や、悩みや、痛みがあるのだと教えてもらえるんじゃなかろうか。

    『母帰る』のなかで、濱野さん(姉の元旦那)が言ってた言葉は非常に刺さった。家庭は帰る場所だと思ってない?ちがうよ?出ていく場所なんだよ?みんな大なり小なり出て行きたいって気持ちを抱えてる。君もそうだったでしょ?だから、東京に行ったんでしょ?っていう感じの。
    あれ、むちゃくちゃ真理だった。

    俺は。親が大嫌いで、家を出たくてしょうがない思春期をずっと過ごして。だからこそ絶対に帰りたくなる家を作ろうと思って、今の仕事を始めて、今の家庭を始めて。でも、どうしたっていつか終わりはくるから、出ていく人たちを止めることは出来なくて、自分自身すら出て行きたくて仕方なくなったりして。
    そんな矛盾を抱えて生きていたのに、最適解を出したのは御伽の世界の不倫して離婚した元マスオさんとは、いやはや。

    重松清は、子どもの心を描く奇才じいさん(超いい意味で)と思っていたのだけれど、等身大のおじさんを描くこととできるんですね。読みやすすぎる短編のなかに登場人物たちが、生きてるんだよなぁ。こんなこと偉そうすぎて、申し訳ないのだけれど、言っておきたい。すげえよ、清。

  • 親でもあり息子でもあり、若くないけど年老いてもない、そんな微妙な年齢に悩み生きる主人公たち。

    人の数だけ家族の形があるので、何が正解とは言えない。
    幸せいっぱいな家族はいなくて、どの男性もカッコ悪い。
    もがいて苦しんでるけど、それが生きるってことなのかなと。

    あまり感情移入ができなかったけど、自分に当てはまる登場人物がいたら、読みながら飲み込まれそうでつらいかも。

  • 30代後半の男性目線で描かれている短編集。自分とは異なる年代性別ではありますが、共感できるところも多々ありました。

  • なぎさホテルにて、が好きです。

    大人になりきれない父親の姿、葛藤。

    〈ほんとに来ちゃったの?〉

    いつまでも「もしも、」を追いかけるのではなく、
    「今ある幸せ」を見つめることが大事なんだな。

    そう思わせてくれる作品です。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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