- Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101359427
作品紹介・あらすじ
姉の名前はどん子、妹はぐり子。突然の交通事故で、大好きだった両親の笑顔をうしなったふたりは、気むずかしいおじいちゃんの世話をしながら、手を取り合って生きてきた。そしてすべての苦しみが終わった日、ふたりが決めたのは小さな相談サイト「どんぐり姉妹」を開くこと。たわいない会話にこもる、命のかがやきを消さないように。ことばとイメージが美しく奏であう、心を温める物語。
感想・レビュー・書評
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R2.5.3 読了。
短いのになかなか読み進められず。仲良し姉妹の関係が良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初恋の人もだけれど、
魔法がとけないまま会わなくなった人は、
ずっと、とくべつかも。 -
35 合わないところで、少しずつ心の中のものをすり減らしていくと、人は病気になるんだ、と思って、人の強さそして弱さに驚いた。
36 人間ってそんなにわかりやすくできていて、ごはん以外のものも毎日食べているんだ。
雰囲気とか、考え方とかそういうものまで。
61 これまでにちょっとくらいショックを受けた経験があっても、私の魂の芯が圧迫されたわけではない。
そしてちょっとくらい考え方がおかしくなっていても、こだわっていなければ、やがて傷はふさがり、幸せはどこからでもにゅるにゅる出てくる。
それは多分生命力とイコールなのだと思う。
62 何よりも自分の芯を磨いて、あたためて、優しく包んで、もう一回芯としての地位を与えることだった。
63 両親が私にはじめにいっぱいくれたきらきらしたものを、一生かけて発酵させていくことに決めた。 -
よしもとばななさんの小説を読むの結構久しぶりかも。読みやすいし染みるなぁと改めて思いました。
この本はとくに短めだしわりと平坦というか、大きな事件はあまり起きない内容で、だけど大切な人の死と多少のオカルト的な要素というばななワールドは確かに存在していて、人が死ぬ小説とかオカルト的なものは嫌いという人も多いから好き嫌いは分かれると思うけれど、それだからこそ唯一無二の世界観なのだろうか、と考えたりした。
痛いからこそ傷ついている人に優しいし、登場人物たちも当然完璧ではないから作中でもがいたり苦しんだりしていて、それを読みながら読み手も再生していける感覚があるのだと思う。
幼い頃に両親をなくした姉妹は預けられた先で苦しい思いをしながら育ち、とくに妹のぐり子は思春期に死にかけるほどのどん底を味わったのだけど、大人になった2人を見るとより闇が深そうなのは姉のどん子かもなと思う。
すべて見て感じて落ちる時は落ちる妹と比べて、姉は見えていても感じないように紛らわすような生き方をしている。すべてにおいて、予防線を張っているので、恋愛も多くするわりにいつも最後を見ていて刹那的だ。
最初妹のぐり子は自分には姉という存在が必要だと思っていたけれど、もしかしたら逆なのでは?と気づくくだりにとても頷いた。
経験から受けた対処の仕方はそれぞれだ、と思う。似たような経験をしていても、全く違う風に出てしまう。
どんぐり姉妹という相談サイトを開設して、人からのメールを受けて返信をするという日々。内容はたわいのないものから、重たいものまで様々。
感受性の強いぐり子は読んだメールから影響を受けておかしな夢を見たりもするけれど、これもまた彼女の再生のための大切な要素なのだろうと思う。
よしもとばななさんの小説には「再生」というキーワードが欠かせない。だから優しいのだと、改めて感じた。 -
まだ数冊しか読んでいませんが、よしもとばななの世界は心の奥に眠っているもやがかかった感情が引っ張られる、そんな感じがします。
「両親が私にはじめにくれたきらきらしたものを、一生かけて発酵させていくことに決めた。」
発酵、という表現がしっくりきました。 -
これまでに読んだよしもとばななのなかで、いちばん明るく、ほのかにきらきらして、やさしい、と思った。死んだ人がそこここにいて、語り手はやや引きこもりがちなのだけれど、どこか閉じていない。文章がどこを読んでもきれいで、すうっと入ってくる。
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みなしごのどんぐり姉妹の不思議な話。
いつもと同じように、体を動かして働く大切さとか、夢と現実が結びつく不思議な話で展開していく。
最近のよしもとばななの本の中では、けっこう好きだった。
初恋の人に会いたくなる本。
札幌市の図書館で借りた本。 -
子供の頃に両親を亡くし、苦労したにもかかわらず、なんとなくほわんとした姉妹。タイプは違うけど、二人のバランスが好きです。
よしもとばななの世界。 -
やっぱり、よしもとばななさんの作品、好きだなあ。
幻想的なのに現実を生きていて、誰とも分かち合えない悲しさや寂しさをちゃんと抱えている、そして現実をしっかり見据えて深く考えながら、日々を過ごしている。そんな感じ。
「ハゴロモ」と似ているな、と思いました。あのしんとしていて優しくて少しずきっとするような感じ、とても似ている。でもどちらもちゃんと違う物語で、すてきな言葉や思考がいっぱい散りばめられています。何度も何度も、じっくり読みたくなる言葉たち。
本文36頁「人間って(略)ごはん以外のものも毎日食べているんだ。雰囲気とか、考え方とかそういうものまで」この文章が特に好き。 -
ゆるく私なりに一生懸命生きよう。
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ばななさんの作品はいつもながら心をほっこりさせてくれます。凹んでいるときやテンションが低いときに読むのがいいかも。
しかし、
こんな姉妹だったらいいのになー。。
と自分の状況と比べて若干悲しくなりました。 -
ひっそりと生きるときってあるよね。
もやがかかって世界が色褪せて見えるときもあるよね。
そんなときはもがいても仕方ないよね。
じっとときが過ぎるのを待つしかないよね。
わかってはいてもじたばたしてしまう。
生き急いでるわけじゃないけど(そう思いたいだけ!?)、どうしてなんだろう?
運命共同体のようなどんぐり姉妹、うらやましくもあり切なくもある。 -
文庫化したので再読。
以前、読んだ時はぼんやりとした話だと思ったが、
自分自身、父が亡くなるのではないかという体験をした今、
ぐり子の壊れ具合がちょっと分かる。
もちろん両親を失ったどんぐり姉妹の歩んだ人生を思えば、
軽々と共感はできないし、
あそこまで極端に壊れてしまうと共感のしようもないけれども、
人や世界とつながることはとてもパワーがいるから、
パワー欠如でフェードアウトしてしまうのは分かる。
そんなぐり子も、不思議なメールの仕事を始めることで
もう一度世界とのつながりを確信する。
自分と直接つながっていなくても、
自分の行いが誰かと、その誰かとつながるさらに別の誰かと。
やっぱり時間は偉大な特効薬なのだなと思う。
父隆明が最後に読んだ娘の作品だというが、
このまま書き続けろといったというのだから、
娘であるばなな女史はうれしかったのではないだろうか。
いや、むしろ父のほうが娘のことを誇らしく思ったのかなぁ? -
沢山の死が書かれていた。両親や祖父や初恋の人やメールの差出人の夫や。それでも著者の小説を読むと生きようと素直に思える。姉妹は確かに愛されて育ってそれを世界に返すように無償で知らない人の話を聞く。身近な人に云えないことを誰かに話したいと思うことは私にも有る。沢山。現実と夢を往復する妹はこの世界も夢かも知れないと姉と話す。もしそうでも日常が愛しい。誰かのために些細な何かをしたい。
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わたしも夢と現が混じり合った旅みたいな生活ができるようにする!いろんな人がくれた愛とかキラキラしたものを、一生かけて発酵させる!うらやましがらせるためじゃなくて、きれいな景色を共有するために写真を送ったりしたい!
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よしもとばななさん。
ガサガサした心が整うかんじでした。 -
セピア色…傷ついた心が癒えるまでは世界はそういう風に見える気がする。
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すきだなー、こういうのんびりじわじわ。
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優しいメールを返す姉妹の話
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主人公の姉妹が実際に姉妹のご本人と重なってしまった。
ちょっとずつでも今を大事に前進。 -
じんわり。
口にするものだけでなく、私たちはいろんなものを食べているんだということが腑に落ちる。
雰囲気や、考え方。
環境をよくしたり、空気を停滞させないようにするって大切だな。 -
20160416
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世界が自分にはどのように見えているのか、再認識したくなるような作品。
他のレビュワーさんを見ても思うけど、
思わず書き留めて置きたくなるような素敵な言葉がたくさん綴られている。
個人的に凄いなあと思うのは、風景描写なんかほとんどなく、読者のイメージに委ね、共感度合いを高めているところ。
文中に
"それでも、こんな風に美しい夕方に~"
とあるけれど、具体的な景色の描写はまったくない。
それぞれ読者が十人十色の夕方の風景を思い浮かべ、登場人物と自分を重ね合わせてゆく。
日記のように身近な小説、とでも言うべきか。 -
よしもとばななの世界でした。
死。
成長期の境遇がいかにその後の人生を左右するのか。
目に見えない繋がり、直感、魂。
人は動かない時と動く時を繰り返して生きている。
心が落ち込んだ時、がむしゃらに動き回るタイプと
引きこもって落ち着いて考えたいタイプとに別れることに非常に共感。
短いお話にぎゅっと詰まっていました。 -
20151128
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何が起きたかよりどう感じたかが中心のような、感覚的な小説なんだけど、その言葉のあてがい方が絶妙。
起きることをそのまま受け止めること、波に抗わずちゃんと流されること、自分なりに心のけじめをつけていくことにより前にすすめることなどが表現されてて、安心できる。
そして旅に出たくなる。 -
「大人になるってどういうこと?」への助走みたいな。
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「先がなくてもいいよ。一分でも一秒でも、いっしょにいられるだけいっしょにいよう。しっかりと暮らそう。もしそれが積み重なって一日でも二日でも多くいっしょにいられれば、それでいい。」
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どん子とぐり子という姉妹が
両親の突然の事故死の後
親戚の家を転々とし
最後に祖父を看取ったあとに
ふたりで`どんぐり姉妹´というネームで
相談サイトを開設する話。
もう少し その相談のやり取りを
読みたかったですが
ばななさんのいつもながらの
ゆったりとした優しい時間が流れる
物語が心地よかったです。