模倣犯(五) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (529ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369280

感想・レビュー・書評

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  • ある秋の朝、墨田川沿いの公園で発見された女性の右腕…

    加害者被害者、遺族、捜査関係者、、それぞれのドラマに圧倒され没入。読み始める前は5冊読破は難しいかなと思ったけど、あっという間でした~
    20年も前の作品、知らなかった僕は何をして生きてたのだろう…

    実は1冊目、勝手に一冊完結とかのシリーズ物だと思って購入したけど、5冊も苦じゃなかったなー
    90年代のコミュニケーション手段やメディアを思い出しながら、懐かしさにも浸ったり。

  • 5巻通じてあっという間に読み切った。
    単純に面白いだけでなく
    多くの登場人物に惹きつけられた。

    ただ、由美子の最期だけは納得いかない。
    真犯人崩壊のきっかけになる出来事として必要なのは分かるが
    あまりにも救いがない。

  • 強く窓を打ちつける風の音だけが響く深夜。遂にこの長い長い物語を読み終えました。偽善者は徐々に追い詰められる。そのスリリングな展開はクライマックスに相応しい。事件に関わった登場人物達の葛藤が交差し、やがて幕は降ろされる。真一や滋子の成長。義男のぶれない心。彼等を支える友人や家族。全てが無駄なくとても説得力を持って描写されてきた。作品に没入した。一瞬の静寂の中今尚余韻に浸っている。とても素晴らしい作品でした。大好き度❤️❤️❤️❤️❤️

  • 途中から犯人がわかっている流れなのに、のめりこんでしまいました。
    長編大作、登場人物もたくさん。脇役も忘れたころに登場。皆全て「人間」。。。主人公って誰だったのかな。
    最後は「家族の絆」に行き着けて少しほっとしたし、守っていくぞ、と少し引き締まった。

    凄い作品でした。



  • ピースの嘘がどんどん暴かれていく最終巻。有馬さんが言う通りで「世の中甘く見るなよ」と思う。人の人生を舞台だ演出だって好き勝手に出来ると思った時点で彼はろくでなし、だったんだろうと思う。基本的に親に問題があるんだけども。カズの思いがどこかで届いて欲しかった。時折言葉の使い方に古さを感じて、その違和感がちょっと残念だったけどとても面白く読めました。最初から最後まで頑張ってまともでいられたのは、真一と有馬さんと、刑事さん達だったなぁ。ピースの落ちたきっかけに少し物足りなさも感じました。

  • 初めは、5冊もある事で手に取った事を後悔したが、出会えてよかった。
    長さはそれほど気にならずに楽しめました。
    それぞれの立場、気持ち、他者との関わりがきちんと描写されていて、安心して読み進められました。この夏に、この作品と出会えて良かった。

  • ミステリーにはまったのはここ数年のことで、こんな長編小説を読んだのは初めて。
    1巻で引き込まれて一気読みしたものの、2巻で挫折しそうになり、それでも読み進むと後はもう止められず5巻まで読んでしまいました。
    あまりにも身勝手で悪賢くて残虐な犯人。もうこのまま最後まで犯人の思うままで終わるんじゃないかと思う時もあった。小さいけれども悪の筋書きに綻びが見えたところは「ハッ」として声を上げそうだった。
    真一くん、これからも有馬のおじいちゃんを支えてあげてほしい。

  • 胸糞悪い展開が多く、悪夢をみるほどだった。

    様々な視点から重層的に物語を描いた本作は、息苦しくなるような、どんよりとした雰囲気を出している。
    特に第2部は胸糞悪い展開ばかりで本当に読んでいて辛かった。バカみたいに人のいいカズには少し腹が立ってしまった。ホントに焦れったい。
    殺害シーンでは怒りと絶望が込み上げてきた。
    これほど読者を感情輸入させる作者はすごいなと素直に思った。

    ご都合主義というか、少し登場人物繋げすぎな気もした。
    ラストにかけては少し駆け足のように感じてしまった。未回収な要素が残ったように感じてスッキリしない…
    滋子が君恵と接触したのだから、ヒロミが舞衣と明美を殺したことを天下に晒して欲しかった。特に明美は滋子がルポに書いた女性でもあるのだから。
    カズがした電話相談の音声で、カズの無実をはっきり示してほしかった。
    それらの未回収はきっと活字になっていなくても、物語世界のその後でわかることだろう。でも私はちょっと白黒つけたい人だから、そんな粋な表現にはしっくり来ないところがあるのです…


    好きなシーン
    ・死ぬ直前のカズとヒロミ。走馬灯のように浮かぶ記憶がスローモーションになって、こっちの目にまで見えた。
    ・篠崎が由美子を心配するシーン。”あなたたち一家を正当に扱いましたか。その人間は正しくふるまいましたか。”
    ・滋子の山荘〜生放送までは、本当に手が震えるほど没入した。山荘ではホラー並に心臓がバクバクしたし、テレビ出演にてタイトル模倣犯の意味がわかる場面にはホント、スカッとした。その後、安否を心配してくれる夫の電話には涙が出た。
    ・ピース逮捕後にカフェを訪れた校長夫婦にも涙が出た。カズ、やっと報われたね。


    メインテーマというのは人間の醜さだろうか。犯罪により、被害者・加害者の家族や関係者、その双方に降りかかる地獄を描くことで、マスコミに付和雷同する人間の愚かさと醜さをさらけ出したいのだろうか。今では“マスゴミ”という言葉も定着しつつあるのだが、当時のことを加味すると作者の鋭さがより伝わってくる。

    あんまりメインテーマじゃないが、真面目に生きることの正さしさが自分には響いた。
    有馬や高井家のように真面目に働くこと、カズのように自分の人生に納得すること。それらは目立たないけど、とっても立派だ。地に足のついた生き方だ。マスコミみたいな虚業でチヤホヤされるより、よっぽど立派だ。

  • 模倣犯の意味がやっとわかった。
    1巻を読み終えた時は犯人が死んでしまったので、その思いを背負った仲間や触発された若者によって犯行が繰り返されるのかと思っていたが、そんな単純な話ではなかった。

    ピースの作られた表の顔がどんどん剥がされていった最終巻。
    はじめはピースの描いた物語が穴だらけだと気づいていたのはカズだけだった。
    しかし徐々に警察や滋子、真一や有馬さんが穴に気づき、疑惑を持ち、最後はニュースキャスターまでもが不信感を持っていた。
    はっきりとストーリーに描かれてはいないが、テレビ局や視聴者の中にも、ピースに違和感を感じる人は多かったのではないだろうか。

    表の顔を剥がされたピースはただの子供だった。
    誰からも生まれたことを許されない、特別になりたかった子供。
    子供だから大人は自分の良いように動かせると思っているし、反対意見には耳を傾けない、大声で怒鳴る。
    誰もやって良いことと、悪いことを教えてくれなかったから、表面はただニコニコしているだけのピースができ、この演出を思いついてしまったのではないだろうか。

    しかし最後に真一はめぐみに自分の気持ちを伝え、有馬さんは渇いていた涙を流し、カズの優しさは柿崎先生が知ってくれていた。
    みんな後悔ばかりで、幸せではないけれど、少しでも心が軽くなれたようで安心した。

  • やっと終結。前半がまだまだ網川の思うように進んでいて、腹ワタ煮えくりそうだったけど、プライドを傷つけられた時の網川の逆襲の仕方が自爆だったので、溜飲が下がった。世間体も頭も良かったのは、そうしなければ家族から捨てられてしまうという危機感から出来上がったものなのか。母親を殺したのは、裕福とは言えども縁組に入れてもらえない、本当の父からも拒絶されているという出来事が、自分の人生にうまく折り合いがつけられなかったからなのか。被害者の有馬さん、真一くん、久美ちゃんには本当に幸せになって欲しい。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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