凍える牙 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425207

感想・レビュー・書評

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  • 男性不信の刑事、音道貴子と、女嫌いの滝沢刑事の最悪なコンビが、人を殺すよう訓練されたオオカミ犬「疾風」を追います。男社会の警察の中で対立しながらも表には出さず、行動で示していく貴子には好感が持てました。刑事も犯人も、家族というもののあり方がひとつのテーマになっていたと思います。疾風と貴子との心の交流も心に響くものがあり、単なる刑事物では終わらない深みのある作品になっていると思います。

  • 音道・滝沢コンビの第1弾。
    男社会の警察という職場で働き、生きていくの女性の大変さ。
    でも、それに負けないがんばり屋の音道の姿に力強さを感じる。
    そして話の鍵を握るオオカミ犬。
    この話を読んでオオカミ犬に会いたくなった。出来れば疾風に。

    後の音道・滝沢コンビ再開の話は読んだことがあったが、二人の出会いの詳細がわかりおもしろかった。

    2012.7.24

  • 10年以上前に読了、主人公の女刑事や、コンビを組むベテラン刑事など好ましいのだが、メインとなるトリック(?)がどうもいただけなかった。

    〇〇にあんなことさせたらダメだろ~

    以来この作家さんの本を読んでない。

  • 直木賞作品ということで手に取ってみた。
    だが、何とも長く感じられ早く読んでしまいたくて仕方なかった。
    終盤のオオカミ犬の追跡のシーンは良かったが、全体的にすっきりと
    しないことが多い。
    例えば、犬を本当に愛する人が犬を殺人の道具に使うとか、
    会社を燃やしたいだけなのに人に火をつけてしまうとか、
    同時に二人が同一人物を殺そうと考えていたりとか、
    今更の復讐劇とか。
    刑事の地道さや警察社会は垣間見れたが、目新しさは無い。
    最後の最後に経緯が全て説明されるスタイルも好みでない。

  • 二日で読んだ。止まれなかった。読みながら、やめるタイミングが分からない、と思った。物語が軌道に乗ってからは、まさに疾風のごとく読んだ。久々の乃南さん。そしてまたも女刑事が主人公。今回も、とても魅力のある女刑事だった。最初の方はあまり感情移入できなくて、近くに感じられなかったけど、読み進めていくうちに、だんだん音道貴子と一緒に走ってる感覚になった。疾風を追って、バイクでひたすら走るシーンは、なんかすごかった。読んでる方も、疲れた。一緒に走ったから。貴子が転んで、疾風がそれを待っていたかのようなシーン。なんか、そのあたりで感動して泣きそうになってしまった。なんていうか、疾風のことを思うと切なくなる。病室で笠原に貴子が言った、「家族じゃ、ないんですか」って言葉もなんかすごく悲しいというか、切なくて。そしてその、疾風のラストも本当に悲しくて。切なくて。なんて言葉で表したら良いんだろう。最後、泣いた。疾風は、どう感じていたんだろう。ただ、飼い主のために。ただ、自分に愛情を注いでくれる信頼してる相手のために。そんな、育てられ方で、そんな、人生で、良かったんだろうかと思う。でも、それが疾風の幸せだったんだろうか。貴子と滝沢のコンビも良かったなあ。コンビって、なんだかんだやっぱりこういう、あったかい関係になるから好き。すごい、いいお話を読んだ。なんだか感動した。音道貴子シリーズ、全部読みたいなあ。それにしても、タイトルの「凍える牙」とは。なんとも良いタイトル。読了して、改めてそう思う。

  • 主人公の孤独な女性刑事に大いに共感。

  • 話がすごくテンポよくおもしろかった。この人の本はたぶん初めて読んだが、読みやすくどんどんひかれていった。
    主人公の強さはすごいなーと思ったけど、いつか崩れてしまうのでは?と不安定な感じもした。気持ちはわかるけどもっと力を抜けばいいのに、と。ちょっと同感しにくいところも多々あった。
    推理小説チックでもあった。そのジャンルも初めてだったのでなかなか楽しめて読めた。

  • オオカミ犬疾風はすごい能力の持ち主。びっくりした。

  • 2つの切り口での連続殺人事件を追うベテラン刑事の滝沢と数少ない女性刑事の音道。特殊な薬剤を利用した放火殺人と凜とした立ち振る舞いで人を魅了し、誰にでも尻尾を振るわけではなく本当に大切な人を家族のために殺人を犯すウルフドック。
    刑事という男社会の中で苦しみながら立ち向かう音道と少しずつ認めていく滝沢のやり取りと飼い主たウルフドックの絆を楽しみながら読み進められました。

  • 冒頭の意外性ある殺人シーンは面白く、その後も野犬らしきものに襲われて次々に死んでいくという意表をつく展開。中盤までは期待させるものでしたが、その後の事件解決までのプロセスや、謎解きとしての作品の魅力に乏しく、読後は圧倒的なオオカミ犬の存在感が際立っていた。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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