- Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101440163
感想・レビュー・書評
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先が気になり
夢中になって読んだ。
題名の恋
とは程遠い。
重く深く歪んだ愛の話でした。
私は80年代生まれなので、学生運動や闘争などの時代背景がわからなかったから。当時の大学生の心理状態や環境があまり理解できなかった。
でも、情景描写がとてもうまいと思った。
布美子のアパート、軽井沢での描写がすごくイメージできた。
真相を知っても、やはり片瀬夫婦、布美子には共感できない。布美子が強い意志、自分をもっていたら…事件は起こらなかったんだろうな…と思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
倒錯した恋模様に多少気後れしたものの、情景描写はまるで映画を観ているような雰囲気で、とても綺麗でした。
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自分が思う読書の醍醐味は、文字で表現されていない部分をどう解釈するかだと思っている。
本書でも様々な解釈があると思う。
その人を受け入れる理由、拒絶する理由。直感、感性、嫌悪...人間関係は複雑だ。
同じ物を見て美しいと思う人も居れば、醜いと思う人も居る。
そんな事を考えさせられる作品でした。
最終章でのマルメロの木はとても印象的です。
本書は間違いなく小池真理子の代表作です。 -
あとがきに「神が降りた」と著者本人が記す渾身の一撃。昨今、世間で起きる数々の異常な事件を考えると、あながち、現実感がない、と言い切れないかも。。。
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女子大生、布美子は知人の紹介で信太郎のところでアルバイトをすることになり、信太郎と雛子の片瀬夫妻と関係を深めていく。
布美子は片瀬夫妻に惹かれ、世間の常識から考えるとそれは歪んだ関係に思えるのだけど、片瀬夫妻との最初の出会いの描写が綺麗で、すんなりとこの関係を受け入れることができた。
この歪んだ三角関係は、突然出現した勝也に雛子が恋したことで崩壊する。
登場人物の誰一人として共感することはできないけど、心理描写、風景描写、ともに素晴らしくて、彼らの世界を「こういうのもアリ」と受け入れることができた。
軽井沢での描写、片瀬夫妻の生活、想像しながら読めて楽しめた。 -
2014.11
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母親に薦められて読んでみました。わー。好み分かられてる。というかこの作品を母親に薦められるのはどうなんだ…と思わずにはいられなかったけど。
解説で阿刀田さんもおっしゃってましたが、軽井沢の描写がすごく綺麗。置いてあるものとか、食べるものとかの描写がお上手なので、時代も暮らしも全然自分には掠らないはずが、情景が浮かんできて話に引き込まれました。全体の描写というより、記憶を引っ張り出す書き方が上手いのかな。人間がこういうイメージを持つとか、大変な事態のときになぜかこういうところに目がいくとか。
最後に明かされる秘密に関しては、実は好みの種類ではなかった。完全にこれは好みですが。雛子と新太郎が「そう」でなくても、作中みたいな関係性だったらますます好みでした。
タイトルが、ありきたりに思えて、でも読み終わるとまさにこれって感じ。面白かったです。 -
読み終わるのがもったいない。
軽井沢がでてくる作品は好きだが、これは特別。
雛子の声が直接頭に響いてくるようです。
ドラマはちょっと残念でした。笑 -
読みやすく、先が読みたくなる展開。小池真理子さんの他のも読んでみたくなりました。
しかし、何ヶ月も恋愛ものばっかり読みすぎて、そろそろおなかいっぱいかな。 -
恋のすべてがここにある。
幻想的で脆く儚く甘い完璧なまでの桃源郷のような世界は、恋でなければありえない。
完ぺきな世界が一人の男の登場によって、みるみる歪で、醜く汚くけがわらしいモノになっていく時のあの哀しさ。
これが心を燃やした同じ人なのかと感じてしまう、なにかが決定的に変わってしまった世界でもがき続ける苦しさ、憎しみ、愛おしさ。
そして至る何も感じる事もできないほど、ズタズタになる心模様。
その絶望的で退廃的な風景を鮮やかに描いている。
これは恋愛ではない。
強烈なまでの恋なのだ。
忘れられない強烈な恋をしたことがある人にお薦めする作品。