トリモノート (新潮文庫 も 39-2 nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800615

作品紹介・あらすじ

ときは十九世紀が迫るお侍さんの国。齢十六のお星が藪の中で光る円盤を発見した。この円盤、なんとひとりでに穴が開き、中には見たことのないものばかりが並ぶ。お星と幼馴染の舟彦、ふたりのティーンエイジャーは、現代から時空を超えてきたとも知らず、さまざまなアイテムに興味津々。これで難事件を解決できるかも? 技術の進歩=犯罪捜査の進歩、笑いあり涙ありの科学的捕物帳(トリモノート)

感想・レビュー・書評

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  • LINEノベルにて読了。
    あの怪作『キャットフード』の作者ということで相当覚悟して読んだのだが、全く毒気のないストーリーに逆にびっくり。
    もしも十八世紀後期のお侍さんの国に、未来のテクノロジーが持ち込まれたら? というifもの時代劇ミステリ。
    外来語続出の軽妙な語り口で判る通り、あくまでライト感覚のパラレル捕物帖なのだが、テクノロジーの便利さが必ずしも犯罪捜査の証明に直結しない難しさや、有名な大岡裁きを更に捻ったラストエピソードなど、読ませる部分もある。

    あと登場人物の名前(舟彦、お星、三六、渦之丞etc)がいかにも元ネタありそうな感じなのだが、結局判らなかった。
    SF作品っぽいけど、実際どうなんだろ。

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★☆☆ 9
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★☆☆ 6
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★☆☆ 9
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》72 B-

  • 侍が闊歩する時代に、岡っ引きの娘が見つけた光る家には
    奇妙なものがいっぱい。

    今の警察が普通に使っているようなものが
    何故か存在する光る家。
    そこから主人公と、その友人が道具を失敬して
    事件を解決しています。

    事件そのものも、どうにか道具の存在を伏せて
    つじつまが合うように解決しているのが面白いです。
    が、結局その光る家はなんなのか、誰か管理していないのか
    どうしてそこにあるのか、は謎のまま。
    タイムスリップしたのか、宇宙人なのか、等々
    匂わすものも何もないのが、ちょっと残念です。

  • 十八世紀後期の侍がいる国のとある場所が舞台。山の中で見つけたタイムマシンの中に現代では普通にある物でもその時代ではありえない色んな道具を発見する岡っ引きの娘、というのが始まり。確かに技術の進歩は犯罪捜査の進歩。幼馴染の舟彦の考え方は現代では当たり前でもその時代ではなかなか難しいものだろうと思う。そういう意味では今の私たちの考え方が普通ではない時がいずれはくるのだろうな。

  • スノーホワイトがとても面白かったので読んでみましたが…ぶっ飛んだ設定は同じなんですが、うん、普通f^_^; 可もなく不可もなし。共感できたり、魅力的なキャラがわたしにはいませんでした。

  • オーパーツを使った時代物ミステリ。といってもミステリというほどのものではなく、現代の捜査ツールがあれば瞬時に解決できるようなものばかりなのだが。しかし、発想は面白かったし、それぞれの捜査ツールがどれほど役に立つかということも感じられてよかった。
    当事者らがわからないことも説明してくれる親切設計だが、そこのところは蛇足な気もして、好みが分かれそう。

  • この一つ目小僧(カメラ)綺麗な絵が描けるんじゃ。

    ときは十八世紀後期のお侍さんの国。齢十六のお星が藪の中で光る円盤を発見した。この円盤、なんとひとりでに穴が開き、中には見たことのないものばかりが並ぶ。お星と幼馴染の舟彦、ふたりのティーンエイジャーは、現代から時空を超えてきたとも知らず、さまざまなアイテムに興味津々。これで難事件を解決できるかも? 技術の進歩=犯罪捜査の進歩、笑いあり涙ありの科学的捕物帳(トリモノート)。

  • なんとかお父の手伝いがしたいお星。
    頭のよい幼馴染、舟彦。
    冴えない岡っ引きのお父。
    怪しい者をとっちめて自供を得るようなやり方では見極められない真実がある。
    奇妙なカラクリが犯罪の動かぬ証を形にし、冤罪から人を救う。
    著者のゆるーい筆致で描かれる科学捜査のすゝめ。

  • 昔に現代の道具があったらどうなるか、みたいな話。
    道具が現代のものなのはいいけれど、登場人物まで現代の人っぽいのはどうなのだろう。現代の人のような発想なのに、現代の道具に新鮮に驚いているのが、とても違和感があった。

    「一つ目小僧ノ巻」
    「うぐいす茶碗と指おばけノ巻」
    「髪結屋の悲劇ノ巻」
    「渦之丞vs舟彦ノ巻」

  • この作者さんは特殊設定下でのミステリが得意なわけですが、今作はそれが生かされておらず非常に残念。
    今回の特殊設定は、江戸時代に現代の鑑識用具があったら岡っ引きがどう活用するか、ってところなんでしょうが、なまじ我々日本人は時代劇等でイメージが出来上がってる世界観の中に、そこを無理矢理放り込んでくるので違和感が半端ない。(さらに登場人物が微妙に設定時代にそぐわず、現代人に見えるときがある。会話とか描写がね。時代小説は向いてない感じ……)

    おそらくこの設定を生かしたいなら、江戸の時代劇設定にせず、現代の発展途上国や架空のファンタジーの国、とかで良かったのではと思ってしまう。
    それか、どうしても江戸時代設定にするなら、いっそのことリアルに妖怪も存在する世界にして、お星ちゃんが妖怪検知の能力に秀でており、舟彦は鑑識用具を活用し、二人でそれぞれ長所を生かして協力して事件解決とかね。
    なんにせよ、この作家さんのアレンジ力を考えると、非常にもったいない。はっちゃけ度合いがもう一つ足りなくて損してる印象を受けてしまう……。

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著者プロフィール

1984年、香川県生まれ。京都大学大学院理学研究科修士課程修了。京都大学推理小説研究会出身。2010年『キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人』(講談社BOX)でデビュー。〈名探偵三途川理〉シリーズは他に『スノーホワイト』『踊る人形』(以上、講談社文庫)、『ワスレロモノ』『トランプソルジャーズ』(講談社タイガ)。近著に『そのナイフでは殺せない』(光文社)。

「2020年 『死者と言葉を交わすなかれ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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