凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800806

感想・レビュー・書評

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  • 誰もが正しいのに、目的なり、手段なり、感情なりが対立する。そんな場面は現実にも枚挙に暇がないが、その全てが優しさと愛情から発しているなら、その対立はどれだけ哀しいのだろう。

    階段島の成り立ちに触れつつ、住人達の哀しき対立が描かれた巻だった。今を変えたい、今を守りたい、特にこの島に押し込められている住人には大事な命題だが、みんな出発点は大切な人を守りたい心だ。婉曲で優しい修辞がその心をあぶり出す。

    この対立はしかし、未来を作る対立だ。愛しあう対立、というのは、実は一番すてきなことなのかもしれない。

  • 七草と真辺はどこまでも相手のことにまっすぐすぎる。だから一緒にいられないし、一緒にいなくちゃいけない。複雑な関係だなぁ。
    これから安達がどうくるか…。

  •  新聞部を始めよう。これは、大地のためだから。安達が宣言した。
     安達を最大限に警戒する七草だったが、彼女の目的は全く分からない。
     ただ、魔女の堀を追い込もうとしているということだけは分かる。

     相変わらず大地が階段島からいなくなる気配がないのに業を煮やす真辺は、魔女に直接会いに行こうとする。
     その真辺に、安達は告げる。

    「魔女の正体は、七草が知っている」

     七草の元にかかってきた魔女からの電話、それは堀ではない誰かの声だが、その内容は階段島が崩壊するというもの。

     安達が何を目的にしているのかはわからないが、堀にとっては良くないことだ。
     七草が一人動き出す。その先にたどり着いたのは、かつて自分が捨てたものだった。


     一巻で七草が落書きしたピストルスターの絵を描いたのは誰か、
     郵便屋の時任だけが魔女と連絡を取れるのは何故か、
     そして、魔女の能力とは何か。

     階段島シリーズ4巻目、階段島を堀がどうやって作っていったかについて描かれる。

  • 完全に階段島の世界観を確立。そのうえで緻密で繊細な心理描写。ただただ脱帽って感じ。
    あらすじ(背表紙より)
    新聞部の創設。柏原第二高校に転校してきた安達は、島で唯一の小学生・相原大地のために部活動を始めることを提唱する。賛成するクラスメイトたちだったが、七草はそれが堀を追い込むために巧妙に仕組まれた罠であることに気づく。繙かれる階段島の歴史と、堀が追い求めた夢。歩み続けた7年間。その果てに彼女が見つけた幸福と、不幸とは…。心を穿つ青春ミステリ、第4弾。

  • 前巻で少しこの階段島に関して明かされてきたが、この巻でさらにいろいろと事実がわかってきた。
    まあこの世界はピュアだ。そういう人たちしか残っていないからみんなそれぞれ自分の信じるベクトルで純粋なんだろうから、普通の世界ではこういう人たちはぶつかりあって一緒に行動することすら難しいだろう。
    やっと面白くなりストーリーも動き出してきたところだが、これ9ヶ月毎くらいの刊行ペースだから次は夏ぐらい?
    前巻も真冬に読んだし、毎回そんなに空くと今までの内容忘れちゃうんだよな。もうちょっと早いペースで出てくれないかなぁ

  • 凶器は壊れた黒の叫び。

    壊れてしまった七草と、それを拾った七草。
    魔女の行方と真辺の想い。

    いろいろ急展開でドキドキしながら読みました。
    毎回続きが気になるんだなあ!

    『貴方より、わたしの方が幸せ。』

  • 巻を追うごとに面白くなってきた。
    ヤバい。初巻のレビューにごめんなさい。
    以下、ネタバレめっちゃ含む。注意。




    まさか、七草が!に、かなり驚いた。
    で、それぞれの七草が堀ちゃんと真辺を信仰していて、ビフォー七草が魔女の理想を諦めてしまう所は、もんのすごく、切ない。
    落ち込み引きこもり堀ちゃんは相変わらず、可愛い。
    でも、随分彼女の言葉が増えたよね。しみじみ。

    階段島が、善い魔女の理想としてスタートした経緯もよく分かる。けれど、スタート地点にして、堀ちゃんとビフォー七草は不幸を背負うシステムにもなっているわけで。
    善いことをする為に、都合の悪い部分ばかりを塗りつぶし、隠していかなければならない。
    それは、きっと優しい魔女では無理なのだ。

    それでも、堀の理想を守ろうとするアフター七草の意図って一体何なんだろう。
    ちなみに、真辺も魔女宣言する前に、捨てられた意味を受け入れる方が優先だろ!だし、大地くんは引っ張り回されてかわいそうの巻だし、郵便屋さんまさかの展開だしで、ツッコミ所は満載。

    でも、随分と霧が晴れて、一気に面白くなってきた。七草と真辺の正反対ぶりのモヤモヤが、究極的に煮詰まって欲しくもあって、楽しいし。
    もう一回、読み返したいくらい。

    ただ、ひたすら堀ちゃんは、幸せであって欲しい。

  • シリーズ最新作。
    『魔女』と『魔法』のふたつを、『分離可能なもの』として扱っているのがユニークだと思った。

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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