沈黙の春 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102074015

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、米国の生物学者レイチェル・カーソン(1907~64年)が1962年に発表し、DDTをはじめとする農薬などの危険性を、鳥たちが鳴かなくなった「沈黙の春」という象徴的出来事を通して訴えた作品『Silent Spring』の全訳である。日本語訳は、1964年に『生と死の妙薬―自然均衡の破壊者<科学薬品>』という題名で出版され、1974年に原題をそのまま訳した『沈黙の春』として文庫化された。
    世界で初めて環境問題に目を向けさせたその思想は、人類の歴史を変えたものと言われ、カーソン女史は、米国誌「TIMES」が1999年に発表した「20世紀に最も影響力のあった偉大な知性」20組24人に、ライト兄弟、アインシュタイン、フロイト、天文学者ハッブル、DNAの二重らせんモデルのワトソンとクリックらとともに選ばれている。
    また、本書は、米国の歴史家R.B.ダウンズが1978年に発表した「世界を変えた本」27冊に、『聖書』、ダーウィンの『進化論』、マルクスの『資本論』などとともに取り上げられている。
    本書によって農薬の残留性や生物濃縮がもたらす生態系への影響が公にされ、それにより、米国はじめ各国において農薬の基準値が設けられるなど、環境保護運動が世界中に及ぶことになったが、本書発表から半世紀の間にも、人間の文明は進歩し(それ自体は良いことのはずなのだが)、そのために、生態系の破壊に限らず、地球温暖化や(バイオテクノロジーによる)生命への挑戦など、当時は想像すらしなかった新たな問題を生んでいる。
    60年前に発表された本書の内容自体は、今となっては広く知られたことであるし、また、一部には後に疑問符が付けられた部分もあるのだが、今我々が本書から学ぶべきは、一部の人間しか疑問を持たなかったことに正面から取り組み、それを明らかにし、その問題を世に問うたカーソン女史の姿勢なのだと思う。

  • 農薬、化学薬品によって無差別に虫や動物、植物等が滅びてゆく。
    1970年頃の研究結果の話しだが今は?

    何が良い悪いの話しではないと思った。農薬や化学薬品で助かった事もたくさんあるだろうし、この本に書かれているようにめちゃくちゃになってしまった事もある。

    ただこれからは普段使用している製品を見直し環境に配慮していこうと思った。

  • 環境を変える動物人間。

  • 2021.03 『世界の古典 必読の名作・傑作200冊』より
    http://naokis.doorblog.jp/archives/Koten_SatoMasaru3.html

  • ページをめくるごとにより強い農薬が登場し、ドラゴンボール読んでるんかなと勘違いしました。
    内容はアメリカに関してだが、近年は日本も農薬大国として問題になっている。最近見た記事ではADHDの原因となる農薬を日本は未だに広く使用しているという。農薬のみならず環境破壊は深刻な問題である。幼稚園児ですら自分が汚したものは綺麗に掃除に努めるが、どうも大人は汚したままでも許されるらしい。その汚染を掃除するのは今の幼稚園児だと思いますが。
    この本と美味しんぼを読破すると偏ってはいると思いますが、環境破壊について学べるかと。

  • まだ途中。なかなか読み進められないけれど。自然環境に対しての把握しておくべきことが書かれていると感じる

  • 農薬や殺虫剤の悪い面は書かれているけど、反対のいい面については一言も触れていない。物事はどちらの面もみないといけないのでこの本を読んで無農薬信者にはしるのは危険だと思う。

  • 2020年 30冊目
    『沈黙の春』
    殺虫剤はその特定の害虫だけじゃなくて他の生き物や人間の生命にも影響を及ぼしてる。化学的コントロールではなく生物学的コントロールが進むべき道だっていう話。

    自然の均衡を人間の欲が壊して結局ブーメランを受け自滅がかってる所はナウシカを想起させる

  • 農薬=悪とは言っていない。自然のコントロールを壊さないことが大事。ただ農業自体が自然に手を加えるものなのだから、スタートですでにコントロールを乱していることにも注意を払わなければならないと思うのだが、そういった記載はない。

  • 私には難しい、けれどたくさんの生き物のデータや世界中の場所から情報を集めていることがうかがえて、知的に刺激される面白い本だった。

    終始、人間の作った農薬、殺虫剤の恐ろしさを説いている。
    殺虫剤、除草剤は狙う虫ばかりでなく、魚や鳥、ニレの木など環境全てに強い影響を与えてしまう。なぜなら生き物は単独で存在しているのではなく、他の生き物に食べられたり影響しあって環境が作られているからだ。また減らしたい虫自体は抵抗力を持ってしまう。天敵の方が薬にやられてしまい、減らしたいはずの虫が増えてしまい効果が薄くなる。

    私の家庭菜園のプランターでも毎年アカダニに悩まされていて、昨夏はじめて農薬を使った。確かに一時的には減ったが、しばらくすると復活していたし、何よりパッケージの使用方法に使用回数の制限が厳しく書かれていて怖かった。(ちなみに使用できる回数よりアカダニの方が圧倒的に強かった)
    本と符合する。

    この本が書かれていたのは1964年とのことだが、その後のベトナム戦争で枯葉剤が使用されて、自然環境だけでなく人間にも甚大な悪影響を与えていたことを知り、ショックだった。この本であんなに何度も何度も危険性が警告されているのに。
    また悪者のDDT、戦後の日本人にシラミ駆除のため振りかけていた気がするが、それは大丈夫だったのかな。

    終わりには化学薬品に頼るのではなく、別の国から天敵を取り寄せる方法などが紹介されている。
    けれど今度は外来種の問題も頭をかすめるし、あとがきでは農耕での品種改良も奇形なのだ、と書かれていて難しいな!と思った。

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著者プロフィール

レイチェル・カーソン:1907-64。アメリカの生物学者。研究の傍ら、大ベストセラー作家に。1962年公害問題を『沈黙の春』で厳しく告発、環境問題の嚆矢となる。『センス・オブ・ワンダー』は1956年に雑誌発表、未完のままに死後単行本化された。ほか著書に『潮風の下で』『われらをめぐる海』『海辺』などがある。

「2024年 『センス・オブ・ワンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

レイチェル・カーソンの作品

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