ジェーン・エア(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102098011

感想・レビュー・書評

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  • 薄幸な少女が男尊女卑の社会に抗いながら成長し、幸せを勝ち取っていくおしん的苦労ものにメロドラマが合わさった内容かと思いきや、どうしてなかなか面白い。上下巻合わせればかなりの長編なのだが、要所要所で顔を出すシニカルなアイロニーや社会に対する冷静な観察眼が読み手を飽きさせない作りになっている。妹エミリーが『嵐が丘』で描いたのが荒れ狂う感情の暴風雨そのものだとすれば、姉シャーロットが描いた世界は感情の暴風と世間の荒波に揉まれながらも、懸命に理性の錨を打ち下ろそうとする一隻の船の冒険記の様なものではないだろうか。

  • 高校時代に読んで以来、一番好きな本の一つです。大学の卒業旅行でブロンテ姉妹の故郷を訪ねるくらいに好きでした。
    めちゃめちゃ久しぶりに読んだけれど、やっぱり好き。メロドラマチックで、これはどうかな?!ってところもいっぱいあるけれど、ジェーンの意志の強さに惹かれます。

  • 親を亡くし、孤児院で育った女性が、自由と自立を求めて生きる姿を描く。
    ジェーンがロチェスター様と出会う部分からが面白かった。
    メロドラマ的。
    少女マンガによくあるような夢見がちな感じで、恋愛模様が描かれていて、ライバルが出て来て嫉妬したり、相手に裏切られたり。
    波瀾万丈だなぁと思う。
    文庫本上下巻で、しかも分厚いけれど、
    下巻のあたりはどんどん読みたくなる。

  • 映画を観る前に読んでおきたいと思い、デジタルで購入。
    はっきり言って何が面白いのか解らない。私の読解力が低いのかもしれないけど、文学を読んでいると言うよりも「英文を直訳した文章を読んでいる」だけ。ストーリーは理解できるけど物語に入ることはできず、すりガラスの向こうで演じられている劇を見ている気分。
    下巻も買ってあるので読まねばならないけど、かなり苦痛かも。

  • 媚びないエアさんが大好きです。

  • 映画を観て、原作がどういったものか気になり読んでみました。

    翻訳本は訳によって読みやすさが左右されるので、読むときは躊躇しますがこれは大丈夫で一安心。
    上はまだ恋愛ものというよりは「ジェーンの成長物語」。ジェーンは不幸な生い立ちで育ったけれど、弱さを持ちつつ、わりとさばっと静かに強かにしているので、応援してしまいたくなります。

  • 「レベッカ」と似てるのかなと思って読みはじめたけど、意外と幼少期がたくさん描かれていて上巻をグイグイ読めた

  • 身寄りのない少女が、新天地をもとめたはずの寄宿学校で、預けられていた家での辛い生活とはまた異なる性質の過酷な生活に身をおき、その中でも尊いまでの自立の精神と純粋な心を失わず、勉学に励み、自らの道を切り拓くべく、職を求め、はじめての地、ソーンフィールドに赴きます。

    ジェーンの視点で一人称で語られる物語のため、非常に接しやすく、また、少しシーンに飛躍があったり、「むむ、なんで?」と思う箇所では、「読者よ、・・・・」という呼びかけでジェーンが読み手に語りかける注釈が入るので、「あ、そういうことなのね」と同じ時間を過ごしているように、自然に物語につきあうことができました。

    とはいえ、全体を通して、あっさりとした記述が続くものの、ぐったりと疲れます。
    それだけ、ジェーンの体験が容赦なく、読んでいるこちら側にも伝わってくるからでしょう。
    実際、ローウッドの寄宿学校に転入して初めてだされた食事のおかゆは、ページを通じて耐え切れない匂いを発してきそうでしたし、ソーンフィールドでの恐ろしい体験や不安に陥らせる出来事も、「かんべんして~!」と逃げ出したくなるぐらいの心情にさせられます。
    この物語は、幼い日を過ごしたリード家での生活、ローウッド寄宿学校での日々、ソーンフィールド館での家庭教師としての生活、そして、結婚の夢が破れ、ソーンフィールド館を飛び出し、セント・ジョン牧師とその妹達に助けられ身を寄せるという風に舞台がめぐります。
    それぞれ、過ぎ去った舞台はその後つながりが断ち切られるのかと思うと全くそうではなく、最後まで物語は連なっていくので、全体を通して、ジェインの波乱に満ちた人生に立ち合った気持ちがして、一喜一憂して、ぐったりと疲れるのです。このぐったりは、別に、不満ではありません。
    しかし先程、他に言葉がみつからなくて「一喜一憂」と書きましたが、ジェーンの生活の中で心から「喜ぶ」という感情は、ほとんど見当たらないように思います。随所に「美形ではない」とする(そこまで言わんでも・・・なぐらい。)ロチェスター氏に対する自分の思慕の感情に気がついてからも、どこか、「進むまい」「期待しすぎないようにしよう」と抑制する気持ちが働いているようだったし、相手も自分のことを想っていることがわかり、結婚に向けた日々を過ごしながらも、幸せに溺れないように、と距離を守るジェーンの様子は、幸せが簡単に手に入るものではなく、また、永遠でもないと、どこかさめた見方が人生の中で身についていたからでしょうか。

    大久保氏の訳は、言葉遣いがとても穏やかで、一貫して毅然とした態度のジェーン像をあらわすのには、このしなやかな表現によるものが大きいと感じました。
    また、自然や情景の描写は繊細で、登場人物の言葉もとても細やかに流れているので、映像を見ているような臨場感がありました。
    50年前に訳されたとは思えないほど親しめる文章で、上品で、とても好きだと思いました。

    読み終わった時、ぐったりしたのが素直な気持ちですが、これは、何度も読み返したくなるだろうな・・・と早くも思うので、本棚の、わりといい場所をあげるつもりです。

  • ほんの奥付を見ると、初版が昭和29年。
    私が購入したものが昭和60年56刷。上下共に400円。
    ここに書き込む前に、ネット書店を見てみると、装丁は全く変わらず、値段が約2倍になっていた。
    それだけの時が経ったのだなと少々感慨深いものがあった。

    久しぶりの再読であったが、やはり、時代を超えて残っていく物語は心に訴えるものが多い。
    文章も美しいし、登場人物の心のあり方も好きだ。
    検索した時、映画化されることを知った。
    見てみたいような、見たくないような・・・
    原作に忠実に再現されるなら見たいが、現代風の解釈が入ると、世界が壊れそうで嫌だと思う。

  • 高校生の頃に読んだのを、久しぶりに読み返してみたら記憶より面白かったです。前半と後半でリアリズムとロマンとの主義に分かれていると解説されていますが、前半のジェーンと親友との会話が物語全体の基調になっているのが、今になるとわかります。

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