ジェーン・エア(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102098011

感想・レビュー・書評

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  • 幼くして両親を亡くし、
    引き取られた先で虐待され、
    劣悪な寄宿学校では病で友人を失う…

    どんな環境でも自己を通す精神力と
    真面目に勉強をしたことに拍手を送りたい

    ヘレンの達観した人生観と
    諦めきって罰を受けているのが悲しかった

  • 今まであまり昔のお話とか外国のお話を読んでこなかったけど、修飾詞?修飾句?の豊かさにびっくりした。「好きな人をどうしても見ちゃう」って言いたい時に「どうしても瞼が開きたがる」みたいな表現をしてるところがあって、こんなふうに表現できるのか!って感動した。

  • 面白かったです!

    ヘレン・バーンズの清らかさと儚さに胸を打たれました。
    彼女の出てくるシーンは、すべてが神々しかったです。

    そしてロチェスター氏との、ロマンスなのかギャグなのかわからないやりとりには笑いました。

    やっぱり両片想いが、じれったいんだけどいちばん好きだわ。

  • 大好きな物語
    おそらく私を作った物語のひとつ
    上巻のクライマックスは
    ヘレンの美しい信仰と別れ

  • また読みたくなり、数十年ぶりか再読
    カバーは映画の1シーン ジョーンフォンテーン
    ハリウッドらしき映画、そうそうたるメンバーが登場する。

    主人公の、頭をしっかりあげて生きている所がいいな
    あの時代にね
    女性の自立して生きようとする姿と、貴族の世界とそこから離脱する姿 両方を同時にえがこうとしているのか
    いくつもの視点で読める本であり、見れる映画かも。
    映画は今見るとどう感じるやら

  • クリスチャンの考え方を学ぶ本のように感じた
    アルプスの少女ハイジに近しいものを感じた

  • 久しぶりの再読。まずは上巻。ジェーン・エアは、赤ん坊の頃に両親を亡くし、母の兄であるリード伯父の家に引き取られる。しかしこの伯父も間もなく亡くなってしまい、伯父の遺言でリード夫人はジェーンを育て続けることとなるが、彼女はなぜか激しくジェーンを憎んでおり、執拗に彼女を虐げる。三人のいとこたち、ジョン、エリザ、ジョージアナのうち、長男で年上のジョンがとにかく意地悪く暴君。幼いジェーンは暴力を振るわれ、反撃するとジェーンのほうが凶暴な子供として厳しく叱責され、幽霊が出る(とジェーンが思い込んでる)部屋に閉じ込められたりする。

    もうこのリード伯母さんが底意地悪すぎて、こういった孤児ものの悪役の中でも群を抜いて嫌な人。味方のいないこの家の中では、かろうじて子守りのベッツィだけがいくらか優しい。やがてジェーン憎さのあまり、リード伯母さんは彼女を10才でローウッドの寄宿学校に追いやる。ここの経営者ブロックルハースト氏という人物も教育者にあるまじきクソ野郎で、リード伯母がふきこんだジェーンについての悪口をすべて真に受け、全生徒の前で「この子は嘘つきだから、友達にならないように。みなさん無視しましょう」と煽動するような人物。もうムナクソ悪すぎて、お話なのにムキー!!となった(落ち着け)

    意地悪なリード一家から離れても、まだジェーンはこんな酷い目に…と思うが、ローウッドには幸いテンプル先生という素晴らしい生徒思いの先生もおり、さらにジェーンはヘレンという年上の親友を得る。ヘレンはこんな学校にいるせいか自己肯定感が低すぎるのが気になるけれど、聡明で優しい。ジェーンは、あれだけ自分を全否定してくる親族と暮らしていたのに、反骨心を失わず、自分を卑下しない精神の強さが凄い。

    ジェーンはリード家にいるよりはマシな日々を送れるようになるが、ただブロックルハースト氏が吝嗇なせいでローウッドでの食生活は最悪。そこへチブスが流行。栄養状態の悪い生徒たちはバタバタと倒れてゆく。ジェーンは幸い感染しなかったが、もともと病弱だったヘレンは持病が悪化、ジェーンがお見舞いに行って一緒のベッドで眠った晩に、ついに亡くなってしまう。ジェーンにとっては辛い経験だが、ヘレンにとってはその瞬間に友達が最後まで寄り添ってくれていたことは救いだっただろう。

    疫病の流行は多くの生徒の命を奪うが、これがきっかけでローウッドの劣悪な環境が世間に知られて批判され、学校の経営方針自体は改善されることに。ジェーンはその後、ややマシな学校生活を送り、卒業後は教師として二年間勤め、18歳になる。尊敬し、心の拠り所としていたテンプル先生が結婚退職され、ジェーンは自分もローウッドの外の世界へ出ようと決意、新聞に家庭教師の広告を出す。やがて、フェアファックス夫人という人物から連絡があり…。

    ジェーンは、ソーンフィールド邸と呼ばれる家で、アデールという少女の家庭教師となる。当主のロチェスター氏は不在だが、家政婦のフェアファックス夫人は親切だし、アデールも悪い子ではないので、穏やかな日々が続く。ある日、やっと当主のロチェスター氏が帰還。30代半ば、けしてハンサムではないが男性的で、やや皮肉屋ではあるが一応紳士。もともと次男で、折り合いの悪かった長男の急死でロチェスター家の当主となったらしい。いろいろと過去に鬱屈があることを匂わせる。

    アデールは、ロチェスター氏がフランスで遊んでいた頃に夢中になったオペラダンサーの娘。当時彼がパトロンのようになっていたが、相手はイケメンと二股、彼を金づるとしか思っていないことが発覚して別れたが、のちに生まれたアデールを彼女はロチェスターの子供だと言い張る。母亡きあと、孤児になったアデールを、ロチェスター氏は気まぐれに引き取り、ここで養育することにしたが、本当に自分の娘だとは思っていない。

    さてそんなロチェスター氏は、最初はジェーンを皮肉にあしらうが、次第に彼女の率直さに好感を抱き、彼女を話し相手とするようになる。ジェーンも、話すと意外と楽しいロチェスター氏を憎からず思うように。ある晩、ジェーンが不穏な気配に目を覚ますと、ロチェスター氏の部屋から煙が出ている。水をかけなんとか消し止め、ロチェスター氏からは感謝されるが、犯人と思しきグレイス・プールという女中を彼は庇い、ジェーンにも口止めする。

    さてこのグレイス・プール、ジェーンがこの邸にやってきた当初から、たまにしか姿を見せない謎の女中。邸は主人不在のことが多いため、少人数の使用人しかいないのだが、このグレイス・プールはなぜか特別扱いされており、めったに姿を見せない上、夜中にお酒を飲んで不気味な笑い声を響かせるなど奇行が多い。今回も主人の部屋に火をつけたのにお咎めなしであることにジェーンは不審を抱く。この邸には秘密があるようだ…と思いつつ、それよりもジェーンはこの事件でロチェスター氏との距離が近づき、はっきりと彼への恋心の芽生えを自覚するようになる。

    だがロチェスター氏はふいに出掛けてしまい、しばらく戻らない。上流階級のことゆえ、他家とのおつきあいがあるらしい。やがてまたふいに彼は帰宅の連絡を寄越し、今度は大勢の客人を連れてくる。その中の一人であるミス・イングラムが、どうやらロチェスター氏の花嫁候補。美人でピアノと歌が上手く、彼女のほうでもロチェスター氏の財産が気に入っている様子。しかし性格の悪い高慢なお嬢さんで、アデールを子猿呼ばわりしたり、ジェーンにもあからさまに見下した態度を取る。

    彼女に対するジェーンの人間観察は辛辣。基本的にジェーンの人間観察眼は鋭いのだけどその分厳しく、彼女の幼い頃リード夫人が、いつも他人を盗み見ている等と彼女を批判したのは、こういう部分かな、とちょっと思う(苦笑)幼いアデールに対してのジェーンの評価もわりと容赦なくて、誰に対しても、だから嫌うとか意地悪するとかじゃないのだけど、とにかく点数が辛いの。ジェーンのキャラクターの特異さはこの部分だろうなあ。感情よりも理性が勝つし、男性並みに女性も自立したいという当時の女性にしては珍しいくらい独立心に富んでいる。誰にも頼れない彼女の生い立ちがそうさせたのでしょう。

    そんな冷静なジェーンなので、ロチェスター氏への恋心と同時に、自分と彼の身分の違いも自覚している。絵の得意なジェーンは、まずみすぼらしい家庭教師の自分の自画像を描き、それから一番良い紙にミス・イングラムの肖像画を描いてみる。それを並べてみて、自分を戒めるという、すごい感情コントロール方法を編み出す。ジェーン…そこまでしなくても…(でもここまでくるとちょっと面白い)

    客人たちとロチェスター氏は毎日華やかに遊ぶ日々を続けていたが、ある日一人の訪問者が現れる。彼はリチャード・メースンと名乗り、彼の名を聞いてロチェスター氏は青ざめる。そしてある真夜中、彼の悲鳴で目を覚ましたジェーンは、騒動に気づいた他の客を部屋に帰らせたあとロチェスター氏に手助けを求められる。メースンは怪我をして血だらけになっており、ロチェスター氏は医者を呼びに行く間彼に付いているようジェーンに頼む。どうやらこの事件もグレイス・プールの仕業らしいが、やはりロチェスター氏は彼女を解雇する気配もなく、翌朝グレイス・プールは普通に召使たちの噂話に加わっている。ジェーン彼女への疑惑を深める。

    メースンは医者と共に密かにソーン・フィールドを去り、相変わらずジェーンはミス・イングラムに嫉妬の日々が続くが、そこへ、リード伯母からの使者がやってくる。実はリード家ではかつてジェーンを苛めていた問題児の長男ジョンの放蕩でトラブルが相次ぎ、さらにそのジョンが急死(自殺の可能性)、ショックで卒中を起こしたリード伯母が、ジェーンに会いたがっているという。ジェーンはロチェスター氏に休暇を願い出、リード家に赴く。

    瀕死の伯母は、そんな状態になってもまだ意地悪。ジェーンの従姉妹たちは姉妹仲が悪く、ろくに母親の心配もしていない。すっかり大人になったジェーンは、伯母の仕打ちを許そうと思っているが、伯母のほうではジェーンを憎み続け、自分の過ちを認めることは敗北だと思っているらしい。だがついに、ジェーンの父方の親戚からジェーンに遺産を譲りたいと連絡が来たのに、ジェーンはローウッドで死んだと嘘をついたことだけは打ち明けてから亡くなる。上巻はここまで。最後までリード伯母さんが意地悪なままなのが、容赦ないなあという印象。

    ジェーンとロチェスター氏の間の恋は、遠回りすぎて現代の読者にはなかなかピンと来ない。というか、あんまりロチェスター氏の魅力が伝わって来ないので、恋愛面におけるジェーンの気持ちに共感できない。映画なんかだと結局なんやかんやで美男美女にされちゃうから(原作ではそうではない)、そんなもんかなあと思うのだけど。小説だと、あまり男性に免疫のないジェーンが、とりあえず身近にいる、複雑な内面と孤独を抱えていそうなタイプの男性に惹かれてしまっただけのように思う。しっかりしてるけどまだ18歳だもんね、みたいな。問答無用で激情に巻き込まれてしまう「嵐が丘」とのそこが一番の違いかも。

  • 主人公ジェーン・エアの友人ヘレン・バーンズの存在がとても強く印象に残っている。
    『辛いことがあってもそれを避けることができないのなら耐えることが義務、忍耐をしなければいけないのがあなたの運命。』
    『憎しみにうち勝つ最上のものは暴力ではない、傷を癒やす最良のものは復讐ではない。』
    現代に生きるわたしの心にもなにか響くものがある言葉たち。

    後半、ジェーンが主であるロチェスターに恋をした時にもこのヘレンの言葉を思い出す。
    「あなたは人間の愛を、あまり重要に考えすぎているわ。あまりにも一途すぎるわ。はげしすぎるわ。」

  • 感想は下巻に。

  • コレクターズ版世界文学全集、訳は同じ方。装丁が素敵。
    ながーらくなんとなく知ってるだけでしたが、いや、こんなに魅力的なお屋敷小説だったなんて。
    初めのうちのイギリス中上流、女学校の暮らしぶりもそうですが、家庭教師目線の小説は読んだことなかったので。
    いや、そもそもあまり名作って読んだことないので、全てが新鮮。こんな面白いなら、小学生のうちに読んでおけばよかったです。
    なんでだろ、訳が良いのか、結構超えちゃってるとこもあり。
    後半は彼がうざかったですが、大団円でよかった。

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