ケインとアベル 下 (新潮文庫 ア 5-4)

  • 新潮社
4.25
  • (216)
  • (113)
  • (106)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 1215
感想 : 88
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102161043

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 結末は若干拍子抜けの面もあったが、あっという間に時間が経つほど夢中になって読んだ。

  • 上巻に引き続きどんどん読み進め、ほぼ一気読みだった。上下巻通しての感想を一言で表すとすれば「どっちもどっち」という言葉が一番しっくりくる。お互いに対する憎悪もさることながら、めまぐるしく時代が変わっていく中で年老いていく二人はどちらも新しい時代に適応しきれなかった部分もあるように思う。戦争、ビジネス、復讐など様々な要素がこの小説にはあるが、アメリカや世界全体で価値観が大きく変わっていく過程と、自分の個人的な恨みに固執するあまりその流れに乗り切れなかった哀れな男の物語と言えるのではないだろうか。

  • エンタメとしては面白いし、人生訓にもなる。

  • オチは分かった と思ったら大昔に読んでたみたい 面白いよ

  • かっこいい人は、良いことをしても公にしないってのがよくわかる。それで、人の口から広まってその人の価値が高まる。

    リチャードはそんな人でした。しかも、自分の発言や行動が相手や社会にどんな影響を及ぼすか、そんな広い視野を持った素晴らしい人間でした。

    リチャードとアベル、色々なすれ違いや感情の入り乱れもあったが、最終的には心が温まる結末でした。


    欲望にまみれすぎても家族や周りの人との人間関係が崩れる。自分のためよりも、その人たち一人一人を思った行動が、良い人達に恵まれる方法なんだなと思いました。良い小説でした。

  • 以下、物語をふりかえるための備忘。
    ・アベルの人生は、初めから危機一髪。生まれた時から九死に一生を得る。
    ・ロスノフスキ家はポーランドの名家。アベルもポーランドを誇りにもてるように育つ。
    ・ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国に締め付けられたポーランドの運命が、アベルの運命と重なり、彼の人生に大きく影響。ヴワデクのときのアベルの運命たるや悲惨の一言。
    ・ケインの方の投資力の磨き込みはすばらしい。きっちり帳簿をつけるということやきちんと銘柄を分析することなどの規律が大切。投資をする上では、確かに高い資本回転率、高い成長率、信頼のおける資産の裏付け、有望な取引といった条件を満たす銘柄をいかに見つけるかといったことが効果的。
    ・ケインの方も、実は悲惨な境遇。父を亡くしただけではなく、その後、未亡人となった母親がどうしようもない男にひっかかって死んでしまう。しかし、ケインは順調にハーバードへ行き、個人口座100万ドルを21歳までに増やした。
    ・アベルも、ついにアメリカに渡り、勤勉に働き、学び、プラザホテルからリッチモンドコンチネンタルの副支配人になる。裏からのケインのサポートによりアベルはホテル王への道を歩む。
    ・他方で、ケインも親友の父からアポイントを受けてレスター銀行頭取就任。就任時の取締役会のハンドリングが見事。
    ・その後、2人の間で、醜い互いの応酬が繰り返される中で、アベルの娘、ケインの息子が恋に陥る。互いの親は激怒し、2人は家を出る。
    ・アベルが逮捕され司法取引で釈放、その意趣返しで、ケインがレスター銀行頭取辞任させられる羽目に。
    ・最後は、フロレンティナとその息子のウイリアム・アベル・ケインに託される形で物語が一旦終わる。

  • 続きが気になり、上巻に続いて図書館で予約して借りた。

    ニューヨーク巨大銀行頭取WASPのウィリアム・ケインとポーランド人の移民叩き上げ、世界にあまねくバロンホテルチェーンのホテル王アベル・ロスノフスキ。
    二人の敵対する関係はどうなるのか?

    下巻も引き込まれてました!
    80年代出版ということもあって、ちょっと人物像がいかにもなステレオタイプに感じなくもないけれど、またその感じが古き良き時代を彷彿とさせるのだ。

    二人の出生から挫折、成功、危機、孤独、老い、死までを壮大なスケールで描いている。
    お互いが知らなところで、相手に大きな危機を救われていたということを、知る機会は訪れるのか?というのが一番気になるところだったが、そういう風に落としどころを持ってくるのか〜、と唸った。

    うん十年ぶりのジェフリー・アーチャー。
    十分堪能した^_^
    2020.2.8

  • ポーランドの田舎で、私生児として生まれたヴワデク(後のアベル)
    ボストンの名門ケイン家という資産家に祝福されて生まれたウイリアム
    というおいたちのこのふたりが主人公で、章を交互に振り分けて語られる一生の物語は
    きびきびしていて、息もつかさずに読まされ、ストーリーは確かに面白いと思う。

    聖書創世記の「カインとアベル」を下敷きにしているかなと思いながらも、
    「ポーランドの悲劇」と「アメリカンドリーム」が合体して、
    まっとうに頑張ればどんな困難も克服出来るというカタルシスが得られる。

    ただし読後、思想的なものや哲学的なものが浮かばない。
    まともは不条理に勝るというのかな・・・!

  • 最近、本自体読むことが少なくなり、読んだとしても自分のお気に入りの作家・作品しか読んでないことにふと気づいて、知人が勧めていた本作を読了。

    おそらく本作最大のネタ、どんでん返しに途中で薄々気づいてしまったので、そのネタが終盤に明かされたときの驚きは残念ながら大してありませんが、それでも、充実の読後感でした。

    20世紀初頭の同年同日にポーランドとアメリカでそれぞれ生まれ、一時は戦争捕虜となりながらも死の淵からなんとか生きながらえてきた男と、銀行頭取の子息として誰もが羨むようなエリート街道を突き進んできた男、文字通り対照的な2人の男の物語。

    自分自身とはそれぞれかけ離れた存在なので、感情移入するようなことはあまりありませんでしたが、それぞれに魅力的。(余談ですが、2人とも女性へのアプローチは、わりと一目惚れのような感じなんですよね。そのあたりは時代を感じました。笑)

    一番印象的なのは、物語に登場する重要なキーアイテム、銀の腕輪の扱い方です。
    アベルの運命を時に死の手前に差し出し、時に死の淵から救い出した腕輪が、物語を大きく前進させるそのストーリーの運び方が見事だなぁと思いました。

    ちょっと御都合主義的だと感じる物語の展開もありましたが(彼らの子供の話)、それを割り引いても、かなり面白かったです。

  • 下巻の後半から面白さはちょっと失速しますね。
    でもまぁ、主人公の二人が年老いて勢いが無くなるから、
    ある意味リアリティがあるとも言えますが。
    総評としてはとても面白かったです♪

著者プロフィール

ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Howard Archer)
1940年生まれのイギリスの政治家、小説家。一代貴族の貴族院議員。オックスフォード大学卒業後に政治家に。大ロンドン議会議員、庶民院議員(3期)、保守党副幹事長などを歴任したが、 1973年に投資で失敗して財産を全て失ったことを契機に、1974年10月の総選挙時に政界から退いた。
1976年に発表した『百万ドルをとり返せ!』が大ヒットして借金を完済、1985年に政界復帰し党副幹事長を務め貴族院議員に列されたが、偽証罪によって2001年に実刑を受け服役。2003年以降、作家活動を再開した。
代表作に『プリズン・ストーリーズ』、『クリフトン年代記』シリーズなど。

ジェフリー・アーチャーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×