チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.81
  • (271)
  • (446)
  • (353)
  • (54)
  • (10)
本棚登録 : 2913
感想 : 364
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169315

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • スターリン時代のソ連を舞台にしたミステリーで、実際にあった猟奇殺人事件をモチーフにしています。困難な状況の中で徐々に犯人に迫っていく捜査官が主人公。
    こう書くとありきたりな話しに思えますが、この小説が凄いのは、その時代背景の描写です。人々が密告と相互監視、暴力と恐怖により支配されていた時代。陰惨で閉塞的、絶望的な社会と、暗く寒く長い冬の描写が見事です。
    主人公は国家保安省の捜査官。国家のために人々を弾圧し、多くの無実の人々をも死に追いやってきました。やがて弾圧の矛先は自らとその家族にも向けられます。
    とにかく全体に陰惨で暗い話しなんですが、自分自身追い詰められながらも犯人を追う中で、徐々に人間としての尊厳と、人との絆を取り戻していく
    主人公の姿に救いがあります。
    読み応えのある、なかなかの作品です。

  • 訳者解説にもあるけれど、主役の登場まで長い。

    こんなに説明するなら、シリーズ化するつもりと想像する。時代背景からすると、いつ足を引っ張られて処刑されるかわからないけれど。

    前半ではたくさんの場面が登場するので、本筋としてどのシーンを押えておけばよいのか、判断が難しくて、気分的には苛ついた。

    何遍、前に戻って、この人どこで出て来た人だっけと、読み返したことか。

    それが証拠に、下巻に読み進んでも、すべて読み終わるまで上巻を持ち歩いた。今まで家に帰って、何回か確認した本は有ったけれど、こんなことは初めて。

    でも、結局読み終えてみると、無駄なシーンは無かったことが判り、丁寧に読んでよかったと思う。

    一応、ハッピーエンドと思われるが、不幸なままの人間が一人。この子と主人公レオ君の関係は、何事も無く済むとしたら不自然。

  • ロシア

  • う~んこれは面白い!面白いと言うには少々不謹慎かと思うほどダークで冷酷な時代背景。スターリン体制下のソ連の描写といい、レオやライーサをはじめとするキャラクター作りといい惹きこまれます。脇役かのように登場する子供たちの描写も印象的。ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、冒険など様々な要素が詰め込まれているが、ストーリーはようやく走り出したところではなかろうか。今後いかようも展開出来そうな予測不可能な状態。さあ下巻が楽しみだ。

  • 旧ソ連の時代。国家の体制にうおー!さおー!させられる国家保安省捜査官が猟奇殺人事件を追うことで生き方を取り戻していくというもので、正直、気持ちのいいハナシではありませんが、つづきが気になる、というイミではホントにオモシロかったです。

    http://blueskyblog.blog3.fc2.com/blog-entry-1522.html

  • これは当時働いていた書店で営業さんから勧められて読みました。いやーおもしろすぎ!!自分の中にある「おもしろい」というスイッチが全部押されているくらいに夢中になりました。

  • とりあえず、今の自分の環境がいかに自由であるかの確認と賞賛が得られる作品。
    そして、デビュー作とは思えぬ完成度の作品。びっくり。
    すごいよ。
    映画化が楽しみです。レオを取り巻く人間関係とその変化…とくに下巻の怒涛の展開にはものすごいエネルギーがあります。

  • 物語のメインである事件の内容も凄惨やけど、

    昔のロシアの日常がハードすぎる。

  • スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。


    読んでいて、「うぅー、痛いー」と思うこともしばしばですが、これ面白いです。
    ぐいぐい読めます。

  • 読みやすいのだけれど本が進まない。アナトリー・ブロツキーが無実だとわかった時の悲しさ以外進まない。残虐な犯罪が行われているにも関わらず、国家として犯罪を認めない為に、殺人者が野放しにされる。通常、犯人逮捕の敵は犯人自体の見つけにくさがミステリーとしては一般的だが、この本はいつもとは敵が違う。そしてその的は犯罪には一切加担していない、障害と呼ぶには大き過ぎる敵がいる。そこが面白い。プロローグが何だったのか、これから気になる。

全364件中 141 - 150件を表示

著者プロフィール

1979年、ロンドン生れ。2001年、ケンブリッジ大学英文学科を首席で卒業。在学当時から映画・TVドラマの脚本を手がける。処女小説『チャイルド44』は刊行1年前から世界的注目を浴びたのち、2008年度CWA賞最優秀スパイ・冒険・スリラー賞をはじめ数々の賞を受ける。

トム・ロブスミスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トム・ロブ スミ...
トム・ロブ スミ...
宮部みゆき
湊 かなえ
東野 圭吾
吉田 修一
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×