- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102169315
感想・レビュー・書評
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このミステリーがすごい!で海外部門1位に輝いた本書。
その肩書は伊達ではありませんな。
ストーリーテリング、キャラ設定、オチに至るまで 完成されたといってもいいほどの内容だわ。
冒頭、ロシアの飢餓の恐ろしさから物語はスタートします。
私たちにこの苦しみは分からないのかもしれないけど 圧倒的なまでの悲しさ、苦しさ。
それをド頭から見せつけられただけで、物語に引き込まれますね。
しかし、犯罪を認めないだけではなく 怪しい人物がいると
片っ端からつるし上げて 拷問(ここの静かな、しかしウッとくる説明がすごい)の挙句自白させられ、
あっという間に処刑させられてしまう 当時のロシア社会主義は実際にあったわけで
そこに生きていなかったことを幸せに思います。
冒頭の飢餓シーンが、後半どういう流れで入ってくるのかと思ったら あーそう来たかと。
壮大なカタルシスとともに、底無しの悲しみに包まれます。
幼い子供の命を救うために両親ができることは何なのか
それができなかった時両親ができることは何なのか
真剣に考えざるを得ない重みがのしかかってきます。
もともとはアンドレイ・チカチーロという実在の連続殺人鬼が題材ですが
それを真似るわけでもなく、一級のエンターテイメントに仕上げてます。
読むべし、そして考え苦しむことの喜びを知れ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文句無し満点!サスペンスの大傑作である。
単なる猟奇ものではなく、飢餓や圧政に苦しみそしてそれに立ち向かう人々を描き、人間の尊厳を描き出している。
これを読んだ後、海外ミステリーに手をだしたが、これを越えるものにまだ会えていない。 -
感想は下巻に。
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古本で購入。上下巻。
スターリン体制下のソヴィエト連邦。
国家保安省の捜査官レオ・デミドフは「国家の未来」を建設する「より大きな善」を信じ、“無実の”スパイを逮捕・尋問し続けていた。
ある日、モスクワの鉄道沿いで、腹を裂かれ口中に泥を詰め込まれた少年の死体が発見される。
しかし少年の死は列車による轢断、事故によるものとして処理された。
何故なら理想的な社会主義国家たるソヴィエトに、「犯罪など存在しない」のだから―
80年代のソ連で起きたチカチーロ事件を下敷きにしたミステリー。
「このミステリーがすごい!」2009年版の海外作品1位になった小説だそうな。
スターリン時代の閉塞感や人々の絶望など、作品が纏う重苦しさは尋常じゃない。
理想によって捻じ曲げられた現実と徹底した管理社会がどんな恐ろしい歪みを生みだすか。
だがそれがいい。
主人公レオが決して「ヒーロー」でないところも、またよし。
シリアルキラーを追い詰めるサイコサスペンスではなく、人間を描くことを目的にしているように思う。
訳者はそれを「再生」と書いている。なるほどなぁ。
作者がテレビドラマの脚本を手掛けていたこともあって、プロローグ・挿話の入れ方・アクションなどなど、構成が映像作品的。これがデビュー作だとは、すごい。
なんて思っていたら、リドリー・スコットによる映画化が決定しているらしい。
少し冗長かな、という部分もあるけど、一気読み推奨のオモシロ本。 -
舞台はスターリン体制下のソ連。国家保安省の捜査官だった主人公が、奸計にはまって田舎の民警という地位に落とされてしまうのだが、スピード感のある文章でとても読みやすかった。何より、国家の陰惨な世情が色濃く反映されていて、保身に走らざるを得ない人々の黒く淀んだ感情は、読んでいて気が滅入るほどだ。権力を失って初めて浮き彫りになった夫婦関係の危うさを抱えつつ、殺人事件の真相を追うことに夢中になりはじめた主人公は、その行動により己と周囲にどういう影響を及ぼすことになるのか……下巻が楽しみだ。
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凍てつくような寒さを感じる。面白い。
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旧ソ連の殺人鬼を元にしたミステリー。殺人鬼を追う捜査官のはなしなのだが、事件そのものよりもスターリン体制の閉塞感が強い。何気ない行動や言動が死に直結する怖さがある。全体主義って恐ろしい。ストーリーは前巻ではあまり進まず。
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こんな共産社会で暮らすのは御免だと思いながらもするする読み進みました。
ストーリーの流れが良くてなになにっ!?つぎ!次はどーゆー展開!?とヒリヒリワクワク…。
ソ連に関して無知な為、フィクションとノンフィクの間を知りたく、史実書も読みたくなりました。 -
続きがきになる
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下巻に感想を書きます