チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169322

感想・レビュー・書評

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  • 動機は微妙な気がしたけれども面白かった

  •  レオが左遷されたヴォルスクでも、子供が殺害されていた。捜査するレオは、妻ライーサや署長の協力で、ソ連国内広域に同様の事件が起きていることを突き止める。しかしそれ以上の捜査は、国家の反逆者とされてしまう。
     結末はちょっとできすぎかと思いましたが、いやぁ面白かった、極上のサスペンス。ソ連の管理社会の緊張感が、面白さに輪をかけています。
     映画化は当然だと思いました。でもなぜ映画は、あんまり印象に残らなかったのだろう。もう一度観賞してみたいです。

  • 母さんの場合・・・が生きる理由だった。
    ・・・に話しかける方法だった。
    映画とはまるきし内容が異なる好例。

  • ソビエトは何人の同胞を殺したのか、自白や罪のでっち上げなど、KGBの凄さがわかる。

  • 2021.08.01

  • 上巻に記載。

  • ■面白い! 
    ソ連、スターリン治世の暗黒時代。エリート捜査官である主人公が部下の裏切りにより地位を剥奪され、いつ死の強制労働行きが宣告されるかわからないところまで身を落とす。主人公の夫婦仲は完全に崩壊、モスクワの両親まで命の危険にさらされている。……上巻はひたすら主人公をとりまくソ連全体主義の恐怖の実態が、まるで作者が見てきたように臨場感たっぷりに語られる。それはまさに地獄絵図(……あぁ、プーシキンが亡くなってたった100年くらいでこの国はこんなになっちゃったのかぁ!?)。こんなありえへんような悲惨な状況下で主人公はこれからいったい失地回復できるのか? そして姿を現さない殺人鬼を追い詰めその正体を暴くことができるのか? ………下巻に続く。
    ■………しかし下巻になると急に、主人公を護送列車の中の囚人たちがかばってくれたり、立ち寄った村の人たち総出で助けてくれたり、事件解決後は当局が手のひら返しで祭り上げてくるし……けっこう都合がいい展開じゃん(もちろん主人公にはつぎつぎと試練が与えられ何度も死にそうな目にあうのだが)。………つまりなんだか上巻とテイストがちょっと違うのよネ。
    でもそれを踏まえてもう一度言わせてください、これ、面白い! 
    ■猫に罠を仕掛けた幼い兄弟のその後、中空の1コペイカ硬貨の由来、自由主義者の気のいい教師イワンの正体、両親を殺され孤児院送りになった姉妹の救出などなど、スピーディーで多事多端な展開の中にも伏線はきちんと回収していってるのだが、……ちょっと僕なりにアレ?っと思ったことがあったので最後にそれだけ挙げておこう。
    ・レオに尾行されていた仕事帰りのライーサとイワンは自宅とは反対の方向に電車で向かった。あれはふたりでどこに行ってたというのだろうか?
    ・医師ザルビンがライーサのレイプに失敗して帰ったあと秘密警察本部で何をしたのか? ……というのはすぐクズミン少佐みずからがわざわざフルーツをもってレオを見舞ったからなのだが、あれはなんか意味があったのか?
    ・結局、「獣医ブロツキーの拷問による自供にライーサの名前があがった」というのはレオを陥れるためのクズミンによる罠だったのか? それとも彼の愛国心を試すテストだったのか?
    ・ワシーリーは背中からライーサにナイフで刺されて殺された。それで、”ワシーリーは殺人鬼との決闘で死んだ”と言い訳するのはちょっと無理があるのでは……。

  •  舞台はソビエト連邦のレーニンがまだ生きていたころの時代。
     主人公のレオは国家保安省の捜査官。いわゆる正しい国家を保つために取り締まる側だ。
     共産主義社会下で犯罪は起きない。そんな正しくない人間はいないのだ。
     ゆえに子供たちが殺された事件はないものとして扱われている。


     以下ややネタバレあり。

     レオの妻のライーサは美しく、そして教師をしている。そしてその彼女にスパイ疑惑が掛けられたことから物語が始まる。
     共産主義社会下でスパイ疑惑が掛けられたということは、スパイであるということだ。
     レオは妻をとらえるように言われ、そうして、妻を捕らえることができずに、地方に飛ばされ尊敬されることのない人民警察という職に就くことになる。
     命がけで守った妻。けれども、本当に妻を愛していたのだろうか。そして妻もレオを愛していたのか。夫婦の関係は状況の変化に伴い急激に冷めていく。

     そして、子供がまた一人死体で見つかった。

     共産主義社会下で起きた事件というだけで面白いし、レオとライーサの関係の変化も面白い。
     続編もあるようなので楽しみ。

  • このミス海外編2009年版1位。海外編では1,2を争う面白さだった。最初から意外な展開が続き結末の想像がつかない。前半は、悲惨な状況で明るい展開が見えず読み進めるのが少し苦しい時間が続く。苦しいのはお勧めしにくいのでちょっと減点。後半は希望が見えてきて一気読み状態でした。夫婦お互いの視点からの心理描写が丁寧で信頼関係で結ばれてからは安心して読めた。全体的に少し長いけど飽きずに十分楽しめました。

  • 下巻は展開もめまぐるしくすごく面白かった!

    犯人がアンドレイだろうというのは明かされる前からわかるように書かれてるものの、まさかのレオの過去でえっ!?!?!って一瞬思考停止したし、スリル満点の逃走劇はハリウッド映画をみてるようでスピード感もあって良かった。

    ワシーリーの歪んだレオへの執着心もなんかすごいものがあったなぁ。
    『なんなんだ、この感情は?この男を憐れに思った?馬鹿な。これほど嫌っているのに。』227頁
    とか、
    『どうしてそんな男が恋しいのか。』260頁
    とか。
    なにかが変わればもしかして仲良く出来たのかな?いやでもワシーリーのあの性格じゃあ無理だったんだろうなあ。

    アンドレイの殺害動機は、えっ!?そんな理由!?って驚いたのでもっと深く掘り下げて欲しかった気もするなあ。
    こんなに長い間追いかけてきたのに対決の場面からラストにかけては少しあっさりしてたかなと。

    でも面白くて一気に読めたので、今度は映画版も観てみたい。

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著者プロフィール

1979年、ロンドン生れ。2001年、ケンブリッジ大学英文学科を首席で卒業。在学当時から映画・TVドラマの脚本を手がける。処女小説『チャイルド44』は刊行1年前から世界的注目を浴びたのち、2008年度CWA賞最優秀スパイ・冒険・スリラー賞をはじめ数々の賞を受ける。

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