チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169322

感想・レビュー・書評

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  • ロシアでは発禁となっているこの書は実在の事件に着想を得て書かれたものらしい。
    上巻でぐんぐん引きこまれた重圧的な雰囲気と殺人の残忍さに下巻でも読む手が止まらなかったのだが、犯人像が明確になるにつれ、予想もしなかった展開に驚きとともに笑ってしまった。
    こんな陳腐な理由で大勢の人間を殺すことができるのだろうか。
    レオとライーサの関係が良い雰囲気へと修復されていくのが救いだ。

  • 社会主義国家って怖い。誰も信じられない。夫婦でも、親子でも。

  • 海外モノのミステリーは日本ではドラゴンタトゥーの女というタイトルで有名な「ミレニアム」以来。ミレニアムは残虐だけど、重厚なストーリーで全シリーズ一気読みでしたが、この「チャイルド44」も残虐かつ、重厚で、ストーリーもよく練られていて貪り読んだ。
    旧ソビエトの暗い時代が舞台。とにかく面白かった。ミレニアムより残虐かな・・。
    続編が2つほど出ているようなので、早速読もう。
    この本は世界中で翻訳されていて、映画化もされているので、どう映像化されているか見てみたい。

  • 本好きで知られる故・児玉清さんが高く評価されていたので読みたい読みたいと思っていた作品。1950年代のソ連を舞台とした猟奇ミステリで、現実に起きた連続殺人事件「アンドレイ・チカチーロ事件」を下地にしているとのこと。

    上下巻合わせたあらすじとしては、1953年、スターリン政権下のソ連で、子供たちの変死体が次々と発見される。年齢は9歳から14歳、全裸で胃は摘出され、山間にもかかわらず死因は溺死。だが、“殺人は国家が掲げる思想に反する”ため、すべて事故として処理される。秘密警察の捜査官レオは親友の息子の死をきっかけに、事件解明に乗り出す。捜査が進むほどに、国家に行く手を阻まれ、さらに、愛する妻にも不当な容疑が。真実が容易に歪められるこの国で、レオは真犯人に辿り着けるのか…といったところ。

    下巻では、レオが際限なく殺されてゆく少年少女の遺体に共通の“しるし”が残っていることに気づく。知的障害者、窃盗犯、レイプ犯と、国家から不要と断じられた者たちが容疑者として捕縛され簡単に処刑される。愛する両親や妻を危険にさらしながらも真犯人に肉迫するレオだったが、そこには思いもかけない真実が…。

    猟奇ミステリであると同時に、スパイ小説・冒険小説・時代小説ともいえるエンタメ性に満ちた良作。しかも、これがシリーズ3作品の1作目ということで、残り2作も大変気になるところ。デビュー作とは思えない著者の技量に乾杯。でも個人的に「ドラゴンタトゥーの女」シリーズには届かなかったかなぁ。

  • (2015.07.17読了)(2015.07.09拝借)
    原題は、CHILD44 です。日本題は、カタカナに変えただけです。
    Child の複数形は、children だったような。44が人数だとしたら44 children とかになるのではないのだろうかと思うのですが、……。
    上巻にも、下巻にもタイトルの次のページに地図があります。本に出てくる地名がどこらあたりか見るためのものと思って、さほど気にしていなかったのですが、何度か見ているうちに、地名のところにピンが刺してあるように見えます。数えてみたら全部で44本ありました。それで、何のための地図だったのかがわかりました。

    レオ・デミドフは、妻のライーサにスパイ容疑がかかったため国家保安省から左遷されヴォウアルスク人民警察に異動になった。スターリン体制下なら本人も妻も家族も間違いなく処刑されていたと思われるところ、スターリンが死去したあとなので、命だけは助かった。
    異動先のヴォウアルスクで遭遇した子供の殺人事件の手口から以前であった子供の死亡事故との関連性を疑い、独自捜査をしてみたら、もう一人の子供の遺体が見つかった。
    ヴォウアルスク人民警察署長のネステロフの協力を得て調査をしてみたら各地で多数の少年少女が同じような手口で殺されていることがわかった。
    大部分は、犯人が逮捕され解決済みであった。
    物語では、犯人も登場して、子どもを殺害する場面も出てくる。犯人の名前、レオの小さいころの素姓が明らかになることによって、上巻冒頭との関連性が明らかになってくる。
    権力の手先として働いてきたレオが、自分の危険も顧みず人民のために働きだした結果の結末が、このようなことになってしまうとは。
    それにしても、44人もの子供の命を奪った犯人の殺人動機が、誰かに自分を見つけてほしいためだったとは。
    ドキドキハラハラのスリルとサスペンスを存分に味わえる本です。

    【目次】
    三月二十二日
    三月二十三日
    三月二十九日
    三月三十日
    同日
    四月一日
    同日
    ロストフ州南東部 グコヴォの町の西 四月二日
    ◆三ヵ月後
    ロストフ州南東部 アゾフ海 七月四日
    モスクワ 七月五日
    同日
    ロストフ・ナ・ドヌー 同日
    同日
    同日
    七月六日
    ロストフ州南東部 ロストフ・ナ・ドヌーの北十六キロ 同日
    ヴァウアルスク 七月七日
    同日
    ロストフ・ナ・ドヌー 同日
    モスクワ 七月十日
    同日
    七月十一日
    モスクワの東百キロ 七月十二日
    同日
    モスクワの東二百二十キロ 七月十三日
    モスクワ 同日
    モスクワの南東二百ロ 同日
    同日
    モスクワ 同日
    ロストフ州南東部 七月十四日
    ロストフ・ナ・ドヌー 七月十五日
    ロストフ州 ロストフ・ナ・ドヌーの北八キロ 七月十六日
    同日
    同日
    モスクワ 七月十八日
    ◆一週間後
    モスクワ 七月二十五日
    謝辞
    参考文献
    訳者あとがき  田口俊樹

    ●仕事(95頁)
    自分のした仕事は意味のあるものだったのか、それともただ自分が生き延びるためにだけやったことだったのか。もちろん、生き延びようとすること自体は恥じなければならないことでもなんでもない。それは大多数の国民の職業みたいなものだ。
    ●大切な目的(106頁)
    二人は共通のゴールをめざすチームだった。自分たちの命よりも大切な目的のもとに結ばれたペアだった。ライーサはこのことに生きる意欲を与えられ、また興奮もし、ただ生きるだけのために生きるような暮しにはもう戻りたくないと思った。
    ●行列(131頁)
    レオとライーサはヴォロフスキー通りの食料品店に並ぶ行列の最後尾についた。店内にはいるだけで数時間かかり、はいってもまず注文を言い、そのあと代金を払う二番目の列に並ばされる。さらにそのふたつの列のあとに品物を受け取る三番目の列が待っている。

    ☆関連図書(既読)
    「チャイルド44(上)」トム・ロブ・スミス著・田口俊樹訳、新潮文庫、2008.09.01
    (2015年8月9日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    少年少女が際限なく殺されてゆく。どの遺体にも共通の“しるし”を残して―。知的障害者、窃盗犯、レイプ犯と、国家から不要と断じられた者たちがそれぞれの容疑者として捕縛され、いとも簡単に処刑される。国家の威信とは?組織の規律とは?個人の尊厳とは?そして家族の絆とは?葛藤を封じ込め、愛する者たちのすべてを危険にさらしながら、レオは真犯人に肉迫してゆく。CWA賞受賞。

  • ネステロフの漢気。

    犯人との関係はちょっと出来過ぎか。

  • 最後まで一気に読んだ。
    とてもおもしろい。
    主人公はとてもタフだ。
    連続殺人犯とまさかの関係。
    上巻出だしの話しの意味がここに結びついていた。

  • 面白かった。途中で犯人がわかるのだが、そこからでもドキドキした。三部作らしいので、続けて読みたい。

  • 2015年5月読了。★3つ

  • 1978年から90年に実際にあったアンドレイ・チカチーロ事件を題材にソビエトの建前を描き出している。当然この本はソビエトでは発禁になった。

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著者プロフィール

1979年、ロンドン生れ。2001年、ケンブリッジ大学英文学科を首席で卒業。在学当時から映画・TVドラマの脚本を手がける。処女小説『チャイルド44』は刊行1年前から世界的注目を浴びたのち、2008年度CWA賞最優秀スパイ・冒険・スリラー賞をはじめ数々の賞を受ける。

トム・ロブスミスの作品

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